あらすじ
ローム川で耳にした、『狼の足の骨』 の噂。 教会勢力は、どうやらその骨を自らの権威誇示のために利用しようとしているらしい。 自分と同じ類の狼のものかも知れないその骨を、ホロが放っておけるはずもなかった。 詳しい情報を得るために、ロレンスたちは港町・ケルーベで女商人・エーブを待ち伏せることにする。 だが、ケルーベの町は、貿易の中心である三角洲を挟んで、北と南が対立している町だった──! 放浪学生・コルが旅の供に加わり、ますます盛り上がるホロとロレンスの旅路。 絶好調のエポックファンタジー・第8弾!
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まさかの商業ファンタジー、楽しみながら貨幣経済や商取引が学べてしまう恐るべき(?)ラノベ!
中世ヨーロッパ風の世界観というと様々な作品がありますが、本作はメインとなる要素がかなり異色。主人公は25歳の行商人ロレンス、武器とするのは商人としての知恵や経験、発想力や交渉術とバトル要素はまるで無し、剣も魔法も使いません。
商人なので勝負事は商売関連なのですが、これがまたどういう訳か物凄く熱い!
騙し騙され裏を読んで裏をかく……全霊を掛けた商売の駆け引きはバトルにも負けない緊張感があるんですねー。
ひょんなことから狼っ娘ホロと旅することになるロレンスですが、この狼っ娘が侮れない。
少女の姿ながら数百年を生きる賢狼で知恵も機転も凄まじく行く先々でロレンスはもちろん歴戦の商人達も唸らせます。しかし普段は飄々としつつ時折弱さや儚さを見せることもあり……二人の行く末にも注目です!
緻密なストーリー構成で推理モノや裁判モノに通じるハラハラ感とカタルシスがあり、それでいて文体はとても読みやすい本作。ラノベを敬遠する人にもぜひ読んでもらいたい一作です!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
ホロッホロ8巻目。
前巻が短編だったから1巻飛ばして続くロレンスと、6巻からくっついてきたコルの旅はローム川を下り港町ケルーベへ。
追いついたロレンス一行のその速さにエーブは驚きを隠せない。
一度は命を俎上に乗せられた身であるが、そこは商人、エーブから狼の骨に関する紹介状を得る。
教会が求める狼の骨、
ローム川の市場を巡る川を挟んだ南北の対立、
この街もまた、不穏な空気が漂う。
そしてついに事は起きる。
北の漁船が南側につかまり、そのまま教会へ持ち去られた。
この事件が示す真実はなんなのか。
ローエン商会のキレ者の若き館長、キーマンが言う。
壮大な絵を描き、再び途方もない額の金を奪おうとするエーブが言う。
「このことを決して口外するな。後悔することになる」
両方の板挟みに遭い、どちらにつくかで買っても負けても、どちらにせよ利益と損失を得ることになる。
この小道を通すことはできるのか。
以下、9巻の下巻に続き、ロレンスとホロの旅は続く。
ところで狼と香辛料ってアニメ三期やってくれんのかや?
Posted by ブクログ
本編に戻り、相変わらずの知的な表現に酔いしれる。
会話のやりとりの直接的ならぬ間接的な比喩な表現などは他の小説では味わえないかもしれない。
コルを含めての3人旅となり、どうなることかと思ったけど、予想以上にコルには好印象を得た。
命のやり取りをしたエーブとの再開も、旧知の仲のような振る舞い。商人は利益が見込めれば決闘した相手とも握手をする。
一巻完結と思いきや、後半は次の巻へ持ち越し。
最後の場面でのローエン商業組合とエーブからの誘い、ロレンスはどちらと組むのか。どういった利益、損得を天秤にかけるのかが楽しみ。