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Posted by ブクログ 2019年06月26日
産科を舞台に妊娠出産にまつわるドラマを圧倒的なリアリティを持って描く人気シリーズの第2巻。
「未成年妊娠」「無脳症」「被膜児」「喫煙妊婦<前編>」の4編が掲載されています。
中絶や妊娠中の喫煙といった身近なテーマが扱われている一方で、「無脳症」のようにお母さん(妊婦さん)とお父さん(パートナー)に...続きを読む重大な決断を求めるエピソードも。ハッピーエンドばかりではない現場発のプロットが多いからなのでしょうか。
そして、当事者に重大な決断を委ねなければならない、出産においてはあくまでも脇役である産科医のサクラ先生の言う「助けられないとわかっている赤ちゃんのために 医者はその家族と一緒に悩むことはできない 僕ら(産科医)は無力だ」という言葉にものすごいリアリティを感じます。
無脳症をお母さんに告げる直前にサクラ先生が自ら頬を張って気合を入れてから臨まなければならなかったように、産科医のお医者様は日々こんな状況に直面し、こんなことを考えながら仕事をしているのでしょうか。月並みな言葉ですが、頭が下がります。
そして、妊娠出産って、いつ自分たちが同じように決断を求められることになるかわからなかったってことで、そういう場面に遭遇しなかったのはやっぱり奇跡だったな、って思うのです。
この巻から助産師の小松さんともう一人の主人公と言ってもよい3人目の産科医四宮先生が登場して、徐々に群像劇の色を濃くしていきます(この巻では端役で、利益と訴訟回避のことしか考えていないように描かれている院長にすら後でドラマがあります)。そして、時には熱く時には冷静に対立するサクラ先生と四宮先生のやり取りは、今後の名物です。
それにしても1巻にほぼ1回ずつ、読んでいて涙がこらえきれないシーンがあります。ネカフェなどでは読みにくい本です。
以下、各エピソードに一言ずつ。
「未成年妊娠」
出生数が100万人を切ってなお減り続けるという報道を見ました。一方で、この巻では人工妊娠中絶が20万人とされています。最新のデータを調べると平成28年度で16万件だそうです。
自殺者数が2万人、交通事故で亡くなった方が3千人。がんで亡くなった方が37万人。
単純に数を比べてることに意味はありませんが、でも16万というのはそれくらいの数字です。ちょっと粛然とします。
中高生の妊娠はドラマ等でもよく取り上げられる(確か「3年B組金八先生」にもありました)テーマですが、このエピソードは産婦人科医や妊娠させた男性とその父の視点に踏み込んでいて貴重です。元気に育っている赤ちゃんの中絶をしなければならないサクラ先生の心中が「赤ちゃんに胸を張れるくらい幸せになってくださいね」との一言に見事に言い表されていると思います。
実際の現場で、一組一組の中絶希望者にここまで丁寧に対応するのかどうかはわかりませんが、そうしたい、という気持ちは取材元になった人たちはきっと持っているのでしょう。
あと、お湯を入れたての「ポヤングソース焼きそば」をチラ見するサクラ先生の視線が悲しいw。
「無脳症」
症例としては「ブラックジャック」で読んだ覚えがあります。ただ、こちらは症例そのものではなく、医師にも救いようがない赤ちゃんの中絶を決断する母とそして父がテーマ。
無力さを自覚するサクラ先生、どうにかして赤ちゃんを救う方法がないかと必死で模索するお母さんに挟まれて、この漫画では普段影が薄いことが多いお父さんの悩みが描かれます。生きていくことができない赤ちゃんを中絶しなかったがためにお母さんにもしものことがあったら「自分の子供をずっと憎んで生きていかなきゃいけないんだぞ」。だから中絶して欲しい。
そんな気持ちをお母さんになかなか素直に伝えることができなくて、サクラ先生に背中を押されてそれを伝えようとする直前、玄関の暗がりで、まだ赤ちゃんが男の子かどうかわからないのにテンションが上がって買ってきてしまったグローブを胸に抱いて涙するお父さんの姿。自分のお腹を痛めることができないだけに、かえってその涙は胸に迫ります。
1巻で同じことを書きましたが、やっぱり涙腺崩壊。
そして、再び語られています。
「多くの妊娠出産を見れば見るほど思う 出産は奇跡なんだ」。
「被膜児」
助産師の小松さんと四宮先生登場。
サクラ先生の駆け出し時代に珍しい症例の「被膜児」でお世話になったベテラン助産師の小松さんが聖ペルソナ産院に帰ってきました。
そして、もう一人の産科医「四宮先生って笑うんだ」と言われる四宮先生も登場します。
「喫煙妊婦<前編>」
ちょっと調べてみたら、平成22年の女性の喫煙率は、20台12.8%、30台14.2%。一方、同じ年の妊婦さんの喫煙率は5%。こういうデータの読み方をしていいのかどうかわかりませんが、妊娠を機に禁煙した人は相当程度いると言っていいのでは。
そこには人間ドラマはないのかもしれませんし、この漫画でもTVドラマでも語られませんが、でも、頑張って禁煙したお母さんに拍手。
そして、頑張っても禁煙できない妊婦さんを通じて、妊娠中の喫煙が胎児に与える影響が語られます。やっぱり夫婦揃って禁煙しないとダメだよね。
そして、そんな妊婦さんに冷然と「タバコを止めない妊婦は 母親になる資格がない」と言い放つ四宮先生。サクラ先生も、彼が笑ったところを5年間見たことがないそうな。
でも、そんな四宮先生も、病室のベッドで優しい表情で絵本を読み聞かせする一面があるのでした…。で次巻に続きます。
匿名 2023年11月02日
ほんっと色々と考えさせられます。
私は順調に何もなく子供を産めたけれど、それでも毎回検査の時はちゃんと育っているのか不安だった事を思い出しました。
なまいきざかりの息子に怒ってばかりじゃだめだなって思いました。
この巻の1話目の話は自分の子供に読ませようと思う。無脳症の話は悲しくて涙が出るけど、最後には無事出産出来て良かった。赤ちゃんが健康に元気に生まれてくる事は奇跡。
赤ちゃんが産まれる!って。
産まれるまでって、幸せなことばかりではないんだな…って、改めて感じました。
どう表現しても陳腐な言葉になりそう……。
四宮先生と小松さん出てきたー♪
大好きなキャラです!
無脳症の赤ちゃんの分娩シーンでは泣けましたね…
出産ってホント一人一人違うんだなって思います…
・大脳皮質形成不全症:背骨から後頭部の脳幹までは発達したが、その先の脳半球が形成されていない状態=
脳がない=胎内では生きられても、外の世界では生きられない。助けられる方法はない。
・頭の部分が完全に形成されないため、出産時に開いた頭蓋骨で、母体を傷つける危険性あり。
・この状態で妊娠を継続す...続きを読むることはリスクを大きくしてしまう。母体死亡もあり得る。
・出産は時に大きなリスクを伴うことがある。しかし、それは赤ちゃんを無事に産むためのものだ。
・「助けられないとわかっている赤ちゃんのために、医者はその家族と一緒に悩むことはできない」
「…じゃあ、悩み苦しむのは川村さんだけだと?」「そうだよ、産科医(ぼくら)は無力だ」
・「確かに赤ちゃんを産むのは奥さんです。しかし、妊娠・出産は夫婦で乗り越えるものです。
その結果が残酷な場合の時はなおさらです。
旦那さんご自身の気持ちは僕にではなく、奥さんに伝えてあげてください。とても大切なことだと思います」
・「この子を忘れないでいてあげよう。生きられるオレ達がちゃんと生きていかなきゃ、お腹の赤ちゃんに怒られる」
・「この子は頭がなくて、お腹の中で苦しかったんでしょうか?」
「いえ、とても居心地が良かったはずです」「…よかった」
・(出産は病気ではない。だから皆幸せなものだと思い込んでいる。
多くの妊娠・出産を見れば見るほど思う。出産は奇跡なんだ。
だから人は純粋に喜んだり、嘆き悲しんだりする。その奇跡を前にヒト(産科医)など無力なのかもしれない。
それでも、たとえそうだとしても…僕はコウノトリだ)
書籍でも持っている作品です。
独身時代から新刊出てはすぐ購入していた作品で、結婚して引っ越ししても手元に置いている作品です。
特にこの巻の『無脳症』の回はシリーズ全体を通しても泣ける話です。
今どんなに立派な医者でも初めて対応する症例ってのはあるんだなぁ
お医者さんは一度は手術を失敗してしまったり救えなかったことがあるんだろうか
大変な仕事だ
Posted by ブクログ 2022年02月19日
未成年妊娠
男の子のお父さん、かっこよかったなぁ‥
産む、産まないを自分たちで判断できないくせに生意気言うな、はごもっともだし、でもその上で産まれてくる子は自分たちの家族でもある、もごもっとも。娘のことばかり考えてしまうけど、その先の命にもしっかり目を向けてということね。
無脳症
産まれた子はどんな...続きを読む姿で息絶えていて、それを見たときに親はどんな気持ちになるのか‥このまま産むことを直視できずに妻が死んでしまったらその子供を憎むことになってしまう、は旦那さんの心の叫びだよね。そんな二人に元気な赤ちゃんが産まれて本当によかった。
被膜児
鴻鳥先生の過去の話。ひよっこでも先生、って医者は大変な責任だろうなあと。
Posted by ブクログ 2021年01月15日
最善を尽くしながら「産科医(ボクら)は無力だ」と語る鴻鳥サクラ。
中絶に悩む高校生の妊娠も、無能症の胎児に揺れる夫婦の言葉一つひとつも、涙なしに読み進められない。
サクラの研修医当時のエピソードが明かされ、四宮ハルキ、助産師の小松さん…徐々に広がる、サクラを取り巻く世界。
親になるとは。赤ちゃ...続きを読むんを迎えるとは。奇跡と残酷さに翻弄される産科医療を駆け巡るいのちは切なく儚い。
子供を産みたいのにうめない、産まれてもこの世界で生きていけない、そんなあかちゃんをおろすなんて決断、難しいです。頭ではわかってはいるんだけど、口にだせない。思わず涙でちゃいました。普通にお産して顔をみて、すぐ旅にでる我が子。想像するだけで、涙がとまりません。
自分も出産しましたが、産院には色々な妊娠を経験しているひとがいるんだと改めて思いました。子どもが無事に生まれて生きることの奇跡を感じさせられます。
2巻は未成年妊娠、無脳症、被膜児、喫煙妊婦がテーマ。この中で特に印象に残ったのが2話目の無脳症の話。
無脳症とは背骨から後頭部の脳幹までは発達したけれどその先の脳半球が形成されていない、つまり、脳がないという症状。そうすると、赤ちゃんは胎内では生きていけるけど、外の世界では生きられない。
そんな診断...続きを読むをされた女性の話。
お腹の中で元気に動いていて胎動を感じられるのに、中絶しなければならない現実と向き合う過酷な話。
Posted by ブクログ 2017年07月30日
【あらすじ】
高校生同士のカップル……。妊娠していると知った彼女は、中絶手術を受けるために単独で病院へ向かう。しかし、未成年者の場合、パートナーの男性と両親の同意書が必要だと知る。ぶつかり合う二つの家族。中絶か出産か、決めるのは親か子か、産科医が出来る事とは!? <収録作品>「未成年妊娠」「無脳症」...続きを読む「被膜児」「喫煙妊婦<前編>」
【感想】
今回もいろいろと考えさせられた。どんな出産でも、100%安心な出産なんてないんだと知った。お母さんは自分の命を懸けて、自分の子どもを産んでいるんだと思ったら、自分の命がすごく大切なものに思えた。
Posted by ブクログ 2015年01月08日
ほかのところで教材として
使ってほしいといっていたけど
保健室においていてほしい。
中・高校においてほしいぐらい。
最初の未成年の妊娠をテーマにしたものが
とても秀逸すぎます。
中絶をするにもこの子の場合は
費用もよりかかってしまう中期中絶だったのです。
この中絶は何かはわかることでしょう。
死...続きを読むの出産です。
殺すための出産です。
ほかの作品では
特殊な異常を扱っています。
特に無脳児に関しては…
生きていけないのです。
脳みそが存在しないため。
その苦しみはそうなってしまった
本人しかわからないのです。
わが子を当たり前に抱けるわけではないのです…
3巻目はしばらくあとに。
Posted by ブクログ 2014年04月11日
多くの人に読んで欲しい漫画のひとつです。
生命とはなにか?生きるとはなにか?が毎回、一つの症状やテーマにそって私達の心に訴えかけてきます。
生命の生きる力って本当に不思議ですね。
Posted by ブクログ 2013年11月01日
2巻も号泣必至。
前巻よりも鴻鳥先生や周りの人たちのドラマを感じた。
最後のお話が前編で終わっててすごく続きが気になる。
モーニングを買おうかと思ったけど、もう別のお話が進んでるようだし、3巻の発売を楽しみに待ってる。
Posted by ブクログ 2022年03月19日
高恋製の妊娠、無脳症、豚足好きの助産師小松さんはベイビーの正体知ってるし研修医の頃のさくらのこともしってる、笑わない四宮先生、喫煙をやめない妊婦から四宮先生が笑わなくなった5年前の話
施設出身の謎のピアニストという裏の顔を持つ産科医の命をめぐる闘いの日々を描いた医療漫画の第二巻。
人工妊娠中絶とは産科医が医者の中で唯一与えられている生命を奪う行為である。
母体の健康上の理由、経済的な理由、あるいは暴力的な理由などさまざまである。
特に学生など未成年の妊娠は中絶する事が多...続きを読むい。
ある高校生カップルも妊娠してしまった事から中絶しようとするが未成年は親の同意が必要なためいろいろ躊躇してしまうが結局親に話して同意書にサインしてもらうことに。
しかしその高校生カップルは最終的に産み育てる決断をする。
最初は反対していたそれぞれの親も子供たちを支えていく決断をするのだった。
他にも無脳症の胎児を人工妊娠中絶する話などいろいろ心に来るエピソードが多かった。
中絶というと今までは何となく眉を顰めることが多かったけど色々な理由があってそこに至るんだろうなぁと思うようになれたのでそれだけでも本作を読んでよかった。
絵がきれいになったww
無脳症のエピソードは涙なくしては読めないです。
親として何もしてやれないのが辛いと思う。
それとは反対に三人目も女で不満そうな妊婦にムカッとしてしまいました。
未成年妊娠はなんかきれいごとで終わってしまいましたね。
産んでからが大変なのに、結婚できるかもわからないし...続きを読む、養育費とかどうするんだろ。
Posted by ブクログ 2016年05月08日
小松さんとしのりん登場♪総合病院でここまで親身になる先生っているかな?中絶の章で思う。ベイビーのチケット8000円、で、10分で終わることもある、って…?まぁ本筋ではないから良いんだけど。相変わらずこの方の絵はどうも苦手。泣き顔なんかは妖怪ぽくて…汗 そこは医師に頼むことじゃないだろう、とか、それは...続きを読む八つ当たりじゃない?とか思うのですが、こういう事もあるのでしょうね。煙草を止めない妊婦さんについてはしのりんと同意見です。そして無脳症のお話。やって来てくれるのは新しい命なんだ、と私も思います。私の経験として。
Posted by ブクログ 2016年02月14日
妊婦さんたちの不安定な気持ちについては、頭では理解しているつもりだったが、自分の心で十分な理解・サポートはできていなかったかもしれない。
随分と時間が経ってからの反省。
Posted by ブクログ 2017年06月02日
未成年の妊娠ってドラマなどで見かけたりもするけれど、現実だと出産に至るまでも厳しい問題なんだろうな…と思いました。中絶は決して簡単なことではないし、一生心に残ることなので、しっかり知識を持っておくことは大切だと、改めて感じました。
Posted by ブクログ 2014年07月26日
産科医療について学ぶのに本当にいいマンガ。未成年妊娠、無脳症、被膜児、喫煙妊婦の話し。中期中絶はお産と同じだということは知らなかった。出産は病気じゃない、奇跡なんだという言葉が心に入ってくる。
Posted by ブクログ 2013年10月04日
産婦人科医を主人公にした作品。レギュラーキャラクターも出てくるが、「ブラックジャックによろしく」のように芝居がかった病院内人間ドラマに展開せず、あくまでもそれぞれの症例を中心に物語が回ってゆくところが面白い。
Posted by ブクログ 2013年09月21日
うむ、やっぱり涙ぐんだ…
お父さんが良かったです。
少しわがままを言うと、泣き顔が皆一緒だな〜…と。まあ、ストーリー漫画だから良いんですけれど!
産科医療について学ぶのに本当にいいマンガ。未成年妊娠、無脳症、被膜児、喫煙妊婦の話し。
前巻よりも鴻鳥先生や周りの人たちのドラマを感じた。
ドラマの星野源さんの印象が強いですが、
とても味のあるドクターですね。
悪いことは悪いと言い切って下さるドクターが、
もしかして、今は、少ないのかもしれませんね。
このマンガをよんで、いろんな立場や年齢の人たちの出産についてじっくり考えられさせました。
マンガという媒体だからこそ伝わってくる感情もあったと思います。
Posted by ブクログ 2017年04月12日
人工妊娠中絶は年間の出産件数のおよそ1/5 中期中絶は終わったあと役所に赤ちゃんの死亡届を提出しなければなりません 身重みおも 無能症の治療法は存在しない 被膜児=破水せず卵膜を被って産まれる児 煙草を吸うと血管が細くなってしまうので赤ちゃんに十分な酸素と栄養が届かなくなります 常位胎盤早期剥離 下...続きを読む屋 鴻鳥 四宮 小松 豚足 私は煙草を止めない妊婦は母親になる資格がないと思っていますから