まさきとしかのレビュー一覧
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夫と離婚し、北海道の実家に戻ってきたら澪子。
実家で、母、兄のノーリー、姉の香波と4人で暮らすことになった。
澪子の虚無な日々が、コミカルながら(コミカルだからこそ)切なく感じた。私も歳をとったのだ。若い時なら他人事として読んでいただろうに。妙に迫る現実感。人生折り返し地点あたりで、私のこれまでの人生ってなんだったんだ?と思うのは、つらいよなぁ。
できることも、やりたいことも、なにもない・・・という澪子の現実が、自分のもののように感じた。
私自身は、趣味もあり友達も少しだけどいて仕事もして子どももいるけど、それでも澪子のこの状況にとてつもない共感を覚えた。私自身の根本は虚無感溢れる人なのだ -
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ネタバレ女を2人殺したと話すクズ(小野宮楠生)を弁護する宮原貴子。
彼女が調べるうちに、全ての言動がただただ小野宮の宍戸に対する一途な愛を表していたのだと知ると切なくて苦しい。
守りたかった宍戸も、利用していただけの吉永に殺されて。彼女を守るために貯めたお金も、結局は宍戸を苦しめていた母の手に渡ってしまった。
世界に色を見せてくれた宍戸を失った彼の生きていく理由はあるのかな。彼女の罪を被って最後まで服役することが生きる理由になったとして、その後は?小野宮の気持ちだけが何年も宙ぶらりんで、このあともたった一人残されて。こう書いている私も、最初に宮原が警戒していたように、小野宮の虜になっているのかもしれな -
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浮気され離婚して実家に舞い戻った澪子、41歳。
バツ2でパニック障害持ちの姉。
バツイチの母。
引きこもりの兄。
仕事も見つからない。主婦だったはずなのに料理もそれほど上手くない。
引きこもりの兄ノーリーがかなり気になる存在だった。
一番変わり者と思いきや、たぶんこの人があの家族の中で一番真っ当だった。
家族って不思議だな。
知っているようで何も知らないし、知らなくてもいいのだと思う。
家族のことだって羨んだり妬んだり、心の中で下に見て自分の位置を確認することだってあるだろう。
それでもいい、という安心感と、半ば諦めのような複雑な気持ち。 -
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初のまさき先生作品でした。
ざっくり書くと家族の話なんですが、玉瀬家は家族全員バラバラで、全員がちょっと変わっているので、読んでいてその変っぷりに驚いたり疲弊したりするのに、どこか既視感があるのは、その変の一部が自分と似ている部分があるからだな、と思いながら読み進めていました。
登場人物が恐らく全員変わっていて、ちょっと不器用に生きていて。他人と比べて自分の方がマシだと思ったり、やっぱり自分の方が駄目だと凹んだり。
バラバラな家族に対して、煮え切らない気持ちを抱いてはいるのに、全てを手放す勇気も度胸もなくて。どうしようもない毎日が、劇的に変わることはないけど、昨日よりちょっとだけ、背伸びする -
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ネタバレ勝手にちょっとコメディータッチかと
思ってたら、そんなことなく結構重いし
結構辛辣。
正直でてくる全員好きになれない。
唯一ノーリーはよかったな!1番思いやりがあった。
母親や姉はデリカシーのかけらもないし
澪子の自己肯定感が低くなるのも分かる。
途中でたまたまスーパーで会う友だちも
嫌な人すぎて、なんだこの人はと思ったし。
とにかく澪子が辛い体験をしまくる
たまたまバイト募集の張り紙を見ててそのオーナーに声をかけられ働いてと言われて働き始めたら
使えない扱いをされ、最終的にみんなで話し合ってあなたはもう来なくていいからと言われる。
そうかと思えば悪徳商法ぽいコールセンターに
あた -
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雨の中、滅多刺しにされて殺された戸沼暁男。
浮気相手で婚約する予定だったという佐藤真由奈。
戸沼暁男の妻である杏子。
その娘の史織、息子の優斗。
梶原と我城が捜査を始めるが…。
みんながみんなタイトルのとおり、いちばん悲しいと思っていて、同級生に唆されたり、職場の人に唆されたり、姉に唆されたり。
一年前にあった事故で女の子が亡くなっていて、その母親である渡瀬川瑠璃がとにかく怪しいのなんの。
たった一言が人を殺めてしまう時もある。
たった一言で殺人を犯してしまう人がいる。
本当に、いちばん悲しいのは誰だったのかな。
戸沼暁男を殺した犯人だよね、きっと。 -
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誰を殺そうと自由だと言い放った小野宮楠生。
元交際相手である山本若菜、清掃員である亀田礼子を殺害したとして逮捕された小野宮。その弁護を頼まれた宮原貴子。
小野宮に亡くなった弟の姿を重ねながら、貴子は小野宮の過去や動機や事件の真相を追っていく。
二重人格、ツギハギだらけの性格。
小野宮という人物は、一体どういう人間なのか。
クズ女のメンバー、そして小野宮の幽霊時代を知る宍戸真美が出てきてからは一気に先が気になって、一気に読み進めてしまった。
小野宮は幸せだったのかな。
宍戸真美は、クズ女のメンバーは、山本若菜は、亀田礼子は、そして貴子自身は、幸せだったのかな。
なんだか複雑な心境で読み -
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玉瀬家には72歳になる母、41歳の澪子、46歳の香波、47歳のノーリーこと典史、4人が暮らしている。
離婚が珍しくなくなった昨今、出戻りの娘達と一緒に生活する家族も増えて来ているのかも知れない。
しかしながら、個性強めの登場人物達、惰性で生きているネガティブな澪子、怒りっぽくてプライドの強い香波、独特な話し方をするドルオタの典史、繊細な面を感じつつも人生ガハハと笑ってやり過ごす母親。
共感出来る人物はいないが、時々ハッとする言葉が登場する。
>自分のことも考えられない人間が、他人のこと考えられるわけがない
>家族だからつながってるような気になってるけど別々の人間
確かに、良く知っている -
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ネタバレ不妊治療、流産を経て授かった幼い息子を亡くし、その後に生まれた妹に対し兄の生まれ変わりである事を押し付ける母。ある時から急に「娘は娘」とハシゴを外したものの、娘はトラウマを抱えて今やストーカー。
その家の隣に住む、一見ダメ親風のシングルマザー。実は暴力夫から逃げている、幼い息子想いの良い母親…と思いきや、やっぱり実はダメ親。成長した息子もなかなかのダメ野郎で最終的には変死。
姉には異常に優しいのに弟には辛く当たる母。モンペ母が姉の友達に傷害事件を起こして一家離散、姉は死んだ男の子の生まれ変わり、と言い張り引きこもり。弟は人に距離を縮められると拒否してしまう、こちらも揃ってトラウマ持ち。
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Posted by ブクログ
ネタバレ一貫性のないつぎはぎのような性格。
笑顔でピースサインをする彼は、一体何を思っているのかー。
気になって読み進める。
人間は複雑。簡単に、わかるものではない。
弁護士の貴子自身、家族の関係に思うところがあるのに、家族神話に、はしりがち、冷静で7年間妹に会っていないという発言から、関係性が薄いと判断したり、それほど悲しんでいないと勝手に思っていたり。楠生を救う会の女性たちに対しても…。
楠生にしても、音信不通の関係性であっても、楠生を救う会の女性たちも、人付き合いが悪い人間であっても、見えている部分だけが彼らのすべてではないということ。
貴子は、何度も見えない部分に手を伸ばそうとす