谷川直子のレビュー一覧

  • 四月は少しつめたくて

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    詩人と名乗りながらも詩集が出せない藤堂。編集者の桜子。詩とは心を降りていく階段、という言葉が印象的。

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    2015年08月14日
  • 四月は少しつめたくて

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    エッセイのように軽く読めて
    詩のように心に届く
    妙に清々しい小説だ

    テーマの一つに《謝罪は権力を生む》というフレーズがある
    その中で
    死に別れという痛みに負けた老いぼれ元大詩人と
    なんとか再起させようとムキになる傷ついた編集者の出合い

    底無しの距離をとりながらの絡み合いで
    傷を舐め合うことから脱皮していくという物語と
    娘がイジメられて自殺未遂したと訴えられた無実の親子と
    同じ元大詩人が絡んでそれぞれが再起していくという
    物語が交差するストーリー

    妙にシツコカッたり頑張ったりと無理な箇所も感じるけれども
    こんなことも多様な自然界になくはないのだろう

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    2015年08月04日
  • 四月は少しつめたくて

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    いつからか詩を書けない詩人、子供の死に心深く罪の意識を宿す編集者、友人の自殺未遂に自ら外の世界とつながる言葉をなくしてしまった少女、少女に語りかける真の意味をもつ言葉を探し続ける母親、4人をめぐる言葉と詩の物語。

    作者の谷川さんご自身が詩を書かれるので、言葉に対する執着、愛着は強い。
    「意味を失ってしまった言葉に、もう一度意味を持たせるにはどうしたらいいのか」
    「詩は心の内側に降りていくための階段」

    物語の中に出てくる純粋な言葉と詩へのこだわりの対極に、物欲にまみれた現実の描写は詩の純粋さを際立たせる。ラストで用意された、詩人と編集者、少女と母親の行き着いた結論はもう少し深く味わいたかった

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    2015年07月26日
  • 四月は少しつめたくて

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    四月は少しつめたくて、その言葉から物語は始まる。
    再び春がくるまでに、そのつめたさに少しずつ触れ、言葉とその意味とそれらが表すものの正しさを、詩人と編集者とともに考えさせられる。
    詩人が詩を書けない理由と、女性誌の敏腕編集者が詩の編集者に転向した理由はどこかつながっている。
    「失なわれたもの」を捉えようとひたむきに正面から向き合うこと、またそれに背を向け考えることを止めてしまうこと。
    哀しみや愁いを言葉にすることの意味がどこにあるのか。
    美しい言葉は情報のように空虚に感じられ、感動は押し付けがましいものになり、ただ与えられた言葉を重ねるだけでは「詩人のふり」になってしまう。

    「詩ってなんです

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    2015年07月06日
  • 四月は少しつめたくて

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    ことばひとつひとつの重み深さを感じさせられる。新鮮な面白い、いま求めていた本だった。大切にしたい本。素敵なことばがつまってる。

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    2015年04月28日
  • 断貧サロン

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    一作目は刊行時に読んで、わりと面白く読めた記憶があったので、手を伸ばしてみた。

    ヒモ状態の彼氏は貧乏神? というあおりにファンタジーかと思いきや、帯のコメントにもあったように、所謂女が考える、田舎には帰りたくないし地方のコミュニティー嫌だし働きたくないし愛とか結婚とか子どもとかっていう、普遍的で抽象的なリアルな話題がつまってた。

    あっさり風味かなとも思うけど個人的には結構楽しめた。

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    2015年01月14日
  • 走れ、無印の馬

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    競馬に関わることを学びもできる小説。ただ急に調教師チーム全体がトレジャーに力を入れ出したり、相手のオーナーが嫌なやつすぎたりと物語にうねりを起こすための仕掛けをしている感が強くて、なんだか乗り切れなかった。ラストの未勝利戦の臨場感はあって良かった。

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    2026年06月30日
  • 走れ、無印の馬

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    5月新刊?廃用(食用)寸前の推し馬を引き取ったOL乃里が、仲間とともにその仔に夢を託す。富豪馬主の良血馬との対決の行方は。
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    競馬が動物競技の中で圧倒的な存在感を持つのはなぜだろう。
    「血統のロマン」「スポーツ+ギャンブルの高いゲーム性」…日本においては国営ということもあって「巨大市場に裏打ちされたエンターテインメント性」あたりでしょうか。
    有名な競走馬はキャラ化されて愛されるイメージで、言ってしまえば親ガチャの世界。だからこそ、下剋上/ジャイアントキリングや、期待外れのような番狂わせもある。…総じてやっぱり「ドラマ」「ロマン」かな笑

    あらゆる人の夢を乗せ、ひた走る馬の姿が目に浮かぶよ

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    2026年06月17日
  • 愛という名の切り札

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    愛について、百合子はのんびり、梓は切実に考えて考えて答えが出そう?なところで終わるお話。愛することは壮大でありながら日常的な行為だから、人によって定義は違うし、そもそも定義するからおかしくなる。それが男女のそれならなおさら。初めに感じた情熱で愛し愛されている人はどれだけいるだろう。梓が一輝に対する気持ちを丁寧に正直に解きほぐしていく様子は人間らしくてよかった。百合子は結婚制度をかくれみのと言ったけど、隠れなくてよくない?愛が変容することを隠さなくてもいいと思う。毎日が愛で溢れなくていい。最後のわちゃわちゃした会話こそが愛から生まれた幸せのカケラだと思うんだけど。

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    2026年06月06日
  • 世界一ありふれた答え

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    うつ病のまゆことトキオ。
    共感したくないけどめちゃくちゃ分かる。
    まゆこは私だった。
    復活していったのには救われる。
    逞しいカリン親子の眩しさにも。

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    2026年04月28日
  • おしかくさま

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    読みだしたところで、引きこもりの姉との心温まる系の話かと思ったのだが、おしかくさまと称するお金を崇める宗教の話になって、とっても変な小説。改行せずに語りが続く姉の内心描写とか独特の作品で、中盤まではそこそこ面白かったが、最後は飽きてきた。

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    2025年12月08日
  • 断貧サロン

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    ネタバレ

    読みやすかったです。サラサラっと読めた。
    主人公のエリカが親友?のさえちゃんの家に転がり込む所から始まる。昔から当たり前のこと、という雰囲気だったが、もう少し昔の描写が欲しいなと思った。よくある設定ではあるけど。
    都合がいいぞ?と思う箇所が多くて、そこがノイズになってしまったかな。
    本を読むのが久しぶりで、リハビリにはちょうど良かったです。

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    2025年11月19日
  • 愛という名の切り札

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    ネタバレ

    【あらすじ】
    結婚、離婚、非婚、事実婚を問いかける本格長編小説。
    多くの恋愛小説が書かないその先を見つめる‥‥

    離婚に踏み切れない作曲家の妻・梓の微妙な気持ちの揺れと、結婚のメリットを探しながら生活を淡々と営む専業主婦・百合子のたくましさが、絡み合いながらビビッドに描かれていく。ストーリー展開は静かながら、そのリアルさゆえに読み手を飽きさせない。誰がどこで「愛という名の切り札」を使うのか、果たして愛は切り札になるのか、がこの小説の読みどころの一つである。
    非婚を選ぶ娘・香奈と、事実婚で進む若い作曲家・理比人の生き方にも説得力があり、結婚の形がこの先どう変わっていくのか、余韻を残すエンディング

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    2025年06月22日
  • その朝は、あっさりと

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    たしか、テレビで見てチェック✅していた一冊。
    なんか、こう、最近、仕事柄。介護とか死とか気になっていたが、この本読んで、スッキリした、というか、死ぬって当たり前だよなぁと気持ちが楽になった。
    幸せな死に方ってなんだろう??

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    2025年06月10日
  • その朝は、あっさりと

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    認知症が進む96歳の父親を85歳の母親がみている。
    2人の娘も介護を手伝う。

    介護の大変さを書く著書はたくさん読んできた。
    でも、本作はカラッとしていて苦しさがない。
    介護の大変さは変わりはないのだが
    一茶の句と合わせて読むとほっとする。

    章の始まりは父親の言葉。
    頭の中が曖昧になり、不安が過ぎる場面は
    ちょっと悲しくて寂しくなる。

    全体的に明るくて、嫌味のない文体。
    おすすめしたくなる。

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    2025年01月05日
  • その朝は、あっさりと

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    「老衰外語看取り小説」である。

    昨今、亡くなるのは病院か施設のどちらかが多いのではないだろうかと思うのだが、この小説は自宅で96歳の父を看取るまでの家族の思いや苦労が書いてある。

    長年教育関係の職につき、75歳で大学を定年になった後も、勉学が困難な家庭の子どもを集めた私塾に通い、自治会の相談役でもあった父。
    ちょっと認知症の気配を感じたときは、86歳でありそれから母が娘たちが、苛立ちながら、じたばたしながら、ため息をつきながら、時には、はよくたばれと思いながら亡くなるその日まで看るのである。

    父の回想や小林一茶の詩が、上手い具合に馴染んでいるというか…なんとも言えない気にさせる。
    最後に

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    2024年10月29日
  • その朝は、あっさりと

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    再読したい⭐️⭐️
    おすすめ⭐️⭐️⭐️

    父が好きだった小林一茶。なぜ好きだったのか。生、老い、介護、死を素子視点や俳句を通じて追いかけることが出来る。延命治療とは何か何をいつまでするか、人間の尊厳とは?人生、家族と老若男女置かれている立場や状況によって感じることが異なる。
    あなたは読書出来ているが、その後ろから老いと死が足音を立て忍び寄ってくる。

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    2024年10月15日
  • その朝は、あっさりと

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    96歳の父を看取るまでの20日間を描いた物語。

    誤解を恐れずに言うと、読後真っ先に感じたのは羨ましさ。

    認知症患者を支える大変さも、気が休まらない在宅介護も、それはそれは大変そう。
    けれど85歳の母をサポートする姉妹、金銭面で協力する長男。
    家族のみならず優秀な看護師と介護士までが手厚くサポートしてくれる。

    老老介護が社会問題となっている今、これだけの助け手がある事がまず幸運だと思う。

    深刻な状況下だが女性陣の能天気な会話が笑いを誘う。

    家族全員に見守られながら逝った父親も看取った家族も幸せな時間だっただろうと思えた。

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    2024年08月31日
  • 世界一ありふれた答え

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    うつと診断され、自分の考え方から抜け出せずにいる2人。現状のままでいいと思う一方で、ここから抜け出さないとと日々もがくことは、きっと本人たちからすると凄くしんどくて辛い日々なんだろう。
    それでも前の日常に戻れるように、いや前とは別の日常生活が送れるように必死に前を向く姿が良かった。現実はこんなふうにうまくいくことばかりではないと思う。本人にしか分からない不安や絶望がある。でも、毎日人は嫌なことがあったり不安なことを抱えながら日々過ごしていると思わせてくれる。

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    2024年08月02日
  • あなたがはいというから

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    ネタバレ

    学生時代両想いだった2人が、同窓会で再会する物語。遅すぎることはないこと。積み重ねた嘘やお互いの過去は変えられないこと。亮の最期も突然で切なすぎる。主人公2人が還暦って感じはしなかった。心の中にずっといる人は大切にしなくちゃと思った。

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    2024年07月06日