谷川直子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
結婚、離婚、非婚、事実婚を問いかける本格長編小説。
多くの恋愛小説が書かないその先を見つめる‥‥
離婚に踏み切れない作曲家の妻・梓の微妙な気持ちの揺れと、結婚のメリットを探しながら生活を淡々と営む専業主婦・百合子のたくましさが、絡み合いながらビビッドに描かれていく。ストーリー展開は静かながら、そのリアルさゆえに読み手を飽きさせない。誰がどこで「愛という名の切り札」を使うのか、果たして愛は切り札になるのか、がこの小説の読みどころの一つである。
非婚を選ぶ娘・香奈と、事実婚で進む若い作曲家・理比人の生き方にも説得力があり、結婚の形がこの先どう変わっていくのか、余韻を残すエンディング -
Posted by ブクログ
「老衰外語看取り小説」である。
昨今、亡くなるのは病院か施設のどちらかが多いのではないだろうかと思うのだが、この小説は自宅で96歳の父を看取るまでの家族の思いや苦労が書いてある。
長年教育関係の職につき、75歳で大学を定年になった後も、勉学が困難な家庭の子どもを集めた私塾に通い、自治会の相談役でもあった父。
ちょっと認知症の気配を感じたときは、86歳でありそれから母が娘たちが、苛立ちながら、じたばたしながら、ため息をつきながら、時には、はよくたばれと思いながら亡くなるその日まで看るのである。
父の回想や小林一茶の詩が、上手い具合に馴染んでいるというか…なんとも言えない気にさせる。
最後に -
Posted by ブクログ
何かを得るというわけではないけど、共感する部分があった。
「それに音楽は体験だから、どういう心境でどういう状況でどういう場所で聴くかによって、受け取るものはちがってくるし、またそこが音楽のおもしろいところでもある。言葉で説明するわけじゃないから、受け取る側の自由度が大きいんだ」
「だって愛ってほんとはなんだか誰にもわからないのに、言葉だけはでんとこの世界に居座ってるから、オレたちはうかうかしてると愛に見放されるんじゃないかっていつもびくびくしてる」
「自分で見つけるしかないんだよ、正しい愛し方は。愛を持ち続けるためには孤独にも耐える自分自身を確立してなきゃだめなんだ。愛にすがって生きていくの -
Posted by ブクログ
目次を見ると6章それぞれのタイトルが面白い。
無名だった作曲家の影山一輝の才能を信じ、彼を一流にすることを自分の役目と思っていた妻梓。好きな人が出来たから離婚して欲しいと言われ、嫌と答えた彼女。まだ好きだから?それとも妻の意地?離婚後の生活への不安?
列車の衝突事故が起きた時に連絡すべき相手がいないんだ…と気付いた時の梓の寂しさが痛々しい。こういう時にふと寂しさを感じる物なのですね。みんなお互いこの人しかいない!そう思って結婚するのにね~。ずっとその時の気持ちのままでいられたら良いけれどそうは行かないのがほとんど。
だから定年退職後に何もしない夫に不満を募らす主婦やそんな夫婦の元に生まれ -
Posted by ブクログ
離婚を切り出されてからの梓の一樹への想いは愛なのか執着なのか、それとも損得なのか。お金ではないといいながらブランドの服や銀のアクセサリを買えなくなることへの恐れもあり、なんだかくどくどと愛を語っているけど半分意地のような気もするし、あまり寄り添えなかったな〜。
結婚しないという香奈、それはそれでいいけど、いい歳なんだからまずは家を出ろと言いたい。いつまでも実家に住んで経済的にも生活的にも自立しないで楽ちんだからこのままでいいなんて、舐め腐ってる。親が娘を手放したくなくて甘やかすからいつまでも大人になれないんだと思う。
登場人物で唯一肯定的に読めたのは、理比人でした。
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Posted by ブクログ
愛と結婚について、こんなにいちいち深く考えないから、ちょっと鬱陶しく感じながら読んだ。
梓は離婚を迫られたことで、これまでの結婚生活について振り返る。百合子は、結婚しないという娘を通して、結婚のメリットについて考え始める。
梓と一輝が結婚後、お互い本気でぶつかることなく、微妙にすれ違ったまま、遠い存在になっていく様子が手に取るように理解できた。梓は、一輝に対しては、愛という切り札を効果的には使えなかった。使うチャンスを逃し続けたように見える。でも、離婚しないと突っぱねながら、一度、とことん自分と向き合った結果、別の形の愛を見つけることができたんじゃないか。
百合子は、丁寧に淡々と毎日の生活を整