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詩が書けなくなった大詩人と訳あり女性編集者。突然、口をきかなくなった娘とその真相を探る母親。詩人との交流を通して、大切な人の心に届く言葉を探す女性達の奮闘を描く各紙絶賛の感動作。 世界は言葉の拘束衣を着ている、詩はその綻びか。 活字ではなく浮世に生きる詩と詩人を描いて新鮮。――谷川俊太郎
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Posted by ブクログ
簡単に消費されていく時代 音楽も絵画も写真も文学も そんな小手先で操る日常のなかで 消費されているのは自分たちじゃないかって このお話を通してそんなことに気付かされた この大消費時代、忙しすぎて 自分の核の部分を見つめて言葉として掘り出すのは大変だけど、怠ってはいけないなと思った もっと本当は大切に...続きを読む生きるべきかもしれない
しみじみ素敵な本だった。 ストーリーとか展開とかなんかそんなのはもうどうでもよくって。 よくはないんだけど。 お話があってこその言葉なんだけど。 言葉がぎゅーっと胸にしみる。 ー愛していると口にしようとしたら、その言葉がからっぽなのを発見した。 クルミの「つらかった」の一言が ほんとうに胸にすー...続きを読むっと沁みてきて 救われるってこういうことなのかなって。 「霧が晴れたら」 そぼ降る雨の中を きみは濡れてやってきた ふくらんだポケットからそっと取り出したのは 生まれたての言葉 歩けるようになるまでわたしが育てるわ 湿った髪を右手でかき上げ きみはきまじめに言った 息をしているのかいと僕が聞くと 大丈夫 呼吸という言葉を与えたからと答える 栄養も知能も発達もちゃんと食べさせた みんな漢字二文字なんだと僕はつぶやいて 悪夢も腐敗も絶望も二文字だと思い出す 不吉な予感を押し殺し きみの手の中をのぞいたら 生まれたての言葉は かすかに震えながら僕を見上げた なんて呼べばいいのかな まぬけな質問をする僕に きみはゆっくり瞬きし それはあなた次第じゃないと苦笑する いつのまにか雨はやんで 細かい霧が立ちこめている この子のいつか 意味に出会って恋をするのね 君の声が途中からすべるようになめらかで 僕はその先にあるものを 盗むようにそっと見つめる おとなになった言葉太刀が ひっそりと寄り添えば やがて声になり そして詩になる そのときまで僕らは待てるだろうか それが二人で生きているということなのか そう自分に問いかけながら 僕は静かにきみの手に触れる 霧が晴れたら きみを送っていこう 生まれたての言葉をこわがらせないよう おだやかな道を遠回りして 「失うという事は なくなるという事実ではない そこにはもはやそれがないと知る その体験なのだ 失われていくものが命をかけて きみに教える これで終わりではないと」 河出書房新社
詩が書けない藤堂とその周囲の人をめぐるお話。 詩とは「心の内側に降りていく階段」であって, 世間にあふれている言葉ではダメなんだ。 そのことが強く伝わってきました。 普段,気にせず使っている言葉。 だけども,本当は,言葉は大切に扱わなくちゃならないんだ。 そう感じました。 言葉を使うっていうこ...続きを読むとは難しいですね。
文句なしの「良い」一冊。 日々、生活の中で 言葉を選んでいるのは、それらを紡ぐ一人一人。 その各々、本に登場するみんなが 品を持っている。 だから文章に無駄がない。 詩人と、編集者の関係は どこか滑稽。 でもその距離に、二人の 控えめな主張と深い悲しみが 現れているようです。 教室の生徒さんと...続きを読む、 そのご家族たちも、 誰一人、不要なキャラクターがいない。 とても満足度の高い一冊でした。
もう10年以上、詩を書けずにいる大詩人。彼に詩を書いてほしいと願う編集者。娘が事件に巻きこまれて以来、言葉を発しなくなってしまったことを気にやむ母親。 みんなが誰かに伝えるための言葉を渇望している。意味のある言葉を使って意味のある会話をしたい。けれど、「ほんとうの言葉」って何だろう。借り物ではない自...続きを読む分の言葉で、気持ちを伝えたい。それにはどうしたらいいのか。 答えは、詩の中にあった。大詩人が最後に見つけた、「詩とは、自分の心の内側に下りていくための階段」という言葉が、深く深く僕の心に響いた。
詩を書けなくなった詩人、寄り添う担当編集者、傷つく娘に本当の言葉を掛けられなくなった母。 それぞれの苦悩を、妥協せず、言葉に真の意味を持たせることで開放する。 言葉、そしてそれを綴る詩、その意味を味わった気がする。
前作も良かったけど、これも良かった。 詩人が出てくる小説だと、どんな詩を書いているのか気になるが、世に知られた詩人という設定なら、読者を納得させる詩でないといけないわけで、そういう詩を書く自信のない作家は書かずに誤魔化す。『ぱりぱり』がそうだった。 谷川直子は、書いた。そしてそれはいい詩だった。それ...続きを読むだけで小説が少々つまらなくても許せるが、小説も良かった。 『うたうとはちいさな命ひろいあげ』も作家自身が短歌を詠み、それもなかなか良かったが、小説の出来はさほどでもなかった。こちらは大人の恋愛未満の関係だけでなく、子どもの学校でのトラブルも描かれているが、そこだけでもそこらのYAよりずっと人間が描けている。 谷川直子、好きだな。次回作も期待する。
派手ではないけど、しっかり印象にのこって好きな雰囲気だった。物語の軸のひとつである詩人と編集者の関係がなんかすごく、いい。恋愛の浮ついたりどろっとしたものを持ってなくて、最後にちょっと気持ちが近づくのがよかったな。 こちらも軸のひとつである詩についても。詩ではない歌詞をのせて歌う歌手、若い世代のカリ...続きを読むスマってみんなそんな感じ。無責任な応援歌か、感想文みたいな恋の歌。単純でない言葉や表現は今の子たちには理解されないのかも。
今の私たちは、自分の話した言葉がどう切り取られ、誰にどう批判されるかわからない世の中に生きている。目の前にいる人に発した言葉であっても、様々なツールによってそれは拡散される。人はそれを確かめもしないで、ささやき合い、悪意のない態度で、距離感で、人を追いつめることができる。本当のことなんて言えない。当...続きを読むたり障りのない言葉で相手を認め、口をつぐむ。または、匿名で相手を罵倒する。罵倒する言葉も決まりきっている。自分の生み出した言葉なんかでなく、お決まりの言葉を使って…。今の時代の小説だなあと思った。
詩人と名乗りながらも詩集が出せない藤堂。編集者の桜子。詩とは心を降りていく階段、という言葉が印象的。
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谷川直子
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