谷川直子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
前作も良かったけど、これも良かった。
詩人が出てくる小説だと、どんな詩を書いているのか気になるが、世に知られた詩人という設定なら、読者を納得させる詩でないといけないわけで、そういう詩を書く自信のない作家は書かずに誤魔化す。『ぱりぱり』がそうだった。
谷川直子は、書いた。そしてそれはいい詩だった。それだけで小説が少々つまらなくても許せるが、小説も良かった。
『うたうとはちいさな命ひろいあげ』も作家自身が短歌を詠み、それもなかなか良かったが、小説の出来はさほどでもなかった。こちらは大人の恋愛未満の関係だけでなく、子どもの学校でのトラブルも描かれているが、そこだけでもそこらのYAよりずっと人間が描け -
Posted by ブクログ
エッセイのように軽く読めて
詩のように心に届く
妙に清々しい小説だ
テーマの一つに《謝罪は権力を生む》というフレーズがある
その中で
死に別れという痛みに負けた老いぼれ元大詩人と
なんとか再起させようとムキになる傷ついた編集者の出合い
底無しの距離をとりながらの絡み合いで
傷を舐め合うことから脱皮していくという物語と
娘がイジメられて自殺未遂したと訴えられた無実の親子と
同じ元大詩人が絡んでそれぞれが再起していくという
物語が交差するストーリー
妙にシツコカッたり頑張ったりと無理な箇所も感じるけれども
こんなことも多様な自然界になくはないのだろう -
Posted by ブクログ
いつからか詩を書けない詩人、子供の死に心深く罪の意識を宿す編集者、友人の自殺未遂に自ら外の世界とつながる言葉をなくしてしまった少女、少女に語りかける真の意味をもつ言葉を探し続ける母親、4人をめぐる言葉と詩の物語。
作者の谷川さんご自身が詩を書かれるので、言葉に対する執着、愛着は強い。
「意味を失ってしまった言葉に、もう一度意味を持たせるにはどうしたらいいのか」
「詩は心の内側に降りていくための階段」
物語の中に出てくる純粋な言葉と詩へのこだわりの対極に、物欲にまみれた現実の描写は詩の純粋さを際立たせる。ラストで用意された、詩人と編集者、少女と母親の行き着いた結論はもう少し深く味わいたかった -
Posted by ブクログ
四月は少しつめたくて、その言葉から物語は始まる。
再び春がくるまでに、そのつめたさに少しずつ触れ、言葉とその意味とそれらが表すものの正しさを、詩人と編集者とともに考えさせられる。
詩人が詩を書けない理由と、女性誌の敏腕編集者が詩の編集者に転向した理由はどこかつながっている。
「失なわれたもの」を捉えようとひたむきに正面から向き合うこと、またそれに背を向け考えることを止めてしまうこと。
哀しみや愁いを言葉にすることの意味がどこにあるのか。
美しい言葉は情報のように空虚に感じられ、感動は押し付けがましいものになり、ただ与えられた言葉を重ねるだけでは「詩人のふり」になってしまう。
「詩ってなんです