飯田泰之のレビュー一覧
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ネタバレ「物事を多方面から観察し、総合的に判断する」ための具体的な方法論は「物事の一面だけを観察し、個別的に判断をする」ことから始まる。問題を把握可能なレベルにまで落とさないと人は「考え始める」ことができない。絞り込みによって初めて意味のある思考が可能になる。
中小企業向けのコンサルタントの方にお話しを伺うと、相談に来る経営者(クライアント)の問題意識が整理されていないために、どこから手をつけてよいのかわからない案件は少なくないとのことです。
その会社が直面している状況を一番よく理解しているのは当事者自身です。有用な助言を得るためには、自分自身の中でもある程度問題が整理されている必要があるのです -
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経済学をベースに、思考するためのフレームワークを教える本。やはり経済学を勉強していないのと新書では薄いのもあり、まだまだ鍛錬が必要だと感じた。
① 「大学はその専門分野の『思考方法』を学ぶためにある」(p6)
大学こそ浮世離れしたことを教えるべきであり、それが現実で最も役立つとして、専門分野からその思考方法を学ぶことの意義を語っている。
経営学だけでなく、そのバックグラウンドとなる「心理学」、「社会学」、「経済学」もしっかりと学んで、自分の身になるようにしたい。
②「不確かな情報に騙されない」(p88)
”相関関係と因果関係は無関係である。”これがわかっていなければ、多くの情報に -
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ネタバレ題名の通り「経済成長が必要なのはアタリマエだ」という前提で書かれている。この場合の経済成長は、いわるゆ戦後の高度経済成長やバブル景気といったレベルではなく、ゆるやかな、年2%程度の、それこそ普通の先進国が普通に成し遂げているものをさしている。
統計などの数字で裏付けしつつも、読者には「数値を読み取る」といったことを強要せずに、きちんと言葉で説明しているのが好感。
白眉なのは湯浅氏との対談で、同氏の運動の“戦術”である「うしろめたさ票を確実にとりにいく」という言葉を引き出したくだりか。
その一方で、話の内容に出ている経済概念、つまり「新自由主義」の意味やその論者・フリードマンやハイエクなど -
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「少子化」「福祉」「失業」「格差」「貧困」そして「生存」という,バックグラウンドにあるテーマ.
私は,個人的にもこれらの問題の早期解決を望んでおりますが,
いわゆる「日本」という体質が今後,
日本の景気回復・経済成長,
利益の適切な再配分,
適切公正な制度改善,
企業や社会の体質改善・・・
を
阻みつづけてしまうのか,
本当にこれらの問題を解決しようという意思はあるのか.
支持されない層,数が少ない層の声は無いように扱われてしまうのか
「個人の問題」に落とし込まれてしまうのか.
ともすれば,「希望は戦争」になってしまうのか,
すこし古い本なのですが,
社会経済(またはそれに近い思考法)の -
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世の中に多い「ダメな議論」に付き合わされないための方法を紹介している。機械的にチェックできるポイントが5つ紹介されているので引用。
1. 定義の誤解・失敗はないか
2. 無内容または反証不可能な言説
3. 難解な理論の不安定な結論
4. 単純なデータ観察で否定されないか
5. 比喩と例話に支えられた主張
身の回りだと、「2. 無内容または反証不可能な言説」が多い。話していて不利になると極論持ち出す人や、「結局幸せなんてひとそれぞれじゃん」と言って話を終わらせようとする人はこれ。
それなりに教養と常識があればデタラメとわかるような話でも真に受ける大人が多いのを見ると、こういう本は必要だと思 -
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戸田山和久さんの『「科学的思考」のレッスン』を読んだ直後に、本書を読んだ。
世に出た順序としては逆行することになったけれど。
どうしても戸田山本がこの本を読むときのガイドラインになってしまった感がある。
本書で菊池誠さんは、リスク評価の難しさの指摘した上で、理屈を説明することが安心につながらないと言っている。理屈と気持ちの折り合いをつけることが大事だと。
戸田山本では、この点について、「安心」も筋道を通して議論すべき対象とすべきだという立場をとっている。
この点について、私は戸田山説に賛同したくなってしまうのだが、それはやはり先に読んでしまったため、なのだろうか。
正直、今の自分は科学的思考力