沢木まひろのレビュー一覧
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愛猫のためにお金が欲しい、と応募した女性向け
官能小説でデビューした主人公。
デビューしてしまったなら、さぁ2作目を! と
当然言われるわけですが、これまた書けない。
というか、書くつもりがない主人公。
それをせっつく編集者、がすごい。
いやここまでするのか? むしろするべきなのか? と
聞きたくなるような暴挙。
しかも驚きの…でしたし。
これで、職場恋愛になったら、それはそれで
愉快だったかとは思いますが。
そんな彼の話、彼の編集者の話、編集者の上司の話
姉2の話、妹の話。
なかなかに、盛りだくさんでした。
これはこれで、周囲が分かって面白かったですが
姉1もちょっと欲しかったかも。
話にするにしては、大変そうな性格ですが。 -
購入済み
迷ったら騙されたと思って読んで
以下は市井の一読者の戯言ですから、聞き流してください、俺が30歳くらいの頃、ドリカム(一人抜けたけど)関係って言葉があった。女の子がいい娘なら、男は絶対二人ともその娘を好きになってしまう、野島何某の証券会社に入ったチョロが自殺するドラマで鈴木保奈美がいい娘だから唐沢も江口も好きになって江口が素潜りに勝ったのに身を引くみたいに、1対2、または2対1の男女の仲良し3人組はありえないと思っていた。50歳を過ぎて、多少分別がついて、貴著を読んで男女の仲良し3人組ってありかなと思った。
そうしたら、高校2年生に戻りたいとできっこないのに思った。
貴著で仲良し3人組が成立したのは翔君のせいだとと思った、彼は高校生でマヤさん以外はそうそうたる年上の女性と交際していた、それはもしかしたら、萌子さんを好きにならないための抑止力(自分が破瓜せず、処女のまま、親友の健司との例愛を成就させてあげようとした。そうなら、最後の手紙で告白してるようにその行為は健司と萌子に対する上から目線ではないのか?でも最終的に3人は仲良しだし、弱音を吐露した翔君を好意的に思っている。
眞裕美をはじめ、登場人物が全員善良、ラストの電車のシーンでは傍若無人だと萌子に決めつけられてた父親まで良い人になってしまった。世の中にはみんな善人、大団円が好きな人が多いと思うけど、全員善良は出木杉君だと少し思った。ヒールがいるからベビーフェイスが際立つかも。 -
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前編の「But Beautiful」は、22歳で大学卒業を目前に控えながら、将来の展望がない野田祐司が主人公。彼の姉の野田麻子は、父親のセッティングしたお見合いで出会った佐伯透という男性と結婚することになりますが、祐司は佐伯に一目惚れしてしまいます。一方、佐伯の方も、一目見た時から祐司に心を揺さぶられ、やがて2人はひそかに身体を重ねるようになります。
後編の「What's New」は、透と別れて6年後の祐司を描いています。イタリアで料理を学んだ祐司は、父の死を機に日本に戻り、「ポルトヴェーネレ」というイタリア料理店で働いています。6年前に激しく心を揺さぶられた衝撃から距離を取ることのできるようになった祐司が、ようやく手にした安定した場所から、ふたたび脱却しようとする話です。
内容はBL小説ですが、とにかくストーリーとキャラクターがきれいに作り込まれているので、ほとんど抵抗感なく読めました。とくに前編は、瞬や香奈、麻子などの脇を固めるキャラクターの造形もきっちりしていて、するすると文章が入り込んできます。それに比べると、後編のサブキャラクターは、祐司の相手役となる神月創平にしても「ポルトヴェーネレ」で働く同僚たちにしても、設定が先立っているような印象を受けてしまいました。 -
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ネタバレ十年勤めた会社をやめ、猫のホタルとの暮らしを大事にしている中年男性 時田風音はひょんなことから賞に応募して、それが認められて作家デビューすることになる。彼を担当することになった編集者 百山沙枝は無表情、毒舌、童顔の既婚女性で彼に次の作品を催促するが、当の本人は乗り気ではなくて…。
この作品は時田だけでなく様々な視点から描かれていて面白い。また時田がすでに中年であることから感情移入しにくいのかなと考えていたが、そんなことはなく時田が様々なことに悩みながらも前へと進んでいく姿はかっこいいなと感じる。
しかし個人的に気になったのは百山の描写で黒髪とされているのに表紙では栗色になっているのでこれはどういうことか疑問である。
これは続編があるのか分からないが、これで終わりだとしても個人的にはいいのかなと感じる。 -
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8人の語り手による短編集。
本を通して見た世界はこんなにも多く、こんなにも刺激的。
広がる世界の面白さを、あなたに。
『メアリー・スーを殺して』
メアリー・スーとは聞きなれない言葉だった。
一体それは誰?
この人物は、二次創作における、書き手の願望を一身に背負った自己愛の塊というべき人物。
つまり、イタいキャラクターであり、ご都合主義的な登場人物ということらしい。
ありがちな設定だ。
プロの作家なら、それらを上手く操れるのだろうが、残念ながら多くの書き手はそうではない。
自分の妄想とありがちな設定と底の浅さが露見する、書いている本人だけが満足できるという代物。
このことに気づいた主人公、如月ルカは彼女を徹底的に排除すべく努力を開始する。
それが彼女の扉を開けた瞬間だった。
好きなことをもっと上手くなりたいと熱望し、自らを客観的に眺め、己と戦った。
そして彼女はメアリー・スーと再会する。
その再会は、きっと彼女にとって、大切な瞬間だったことだろう。
『校閲ガール』
出版社の校閲部に配属された悦子は、この仕事が好きではなかった。
好きではなかったが、雑誌編集部に行くために彼女は真面目に、完璧に仕事をしていた。
今や、素人が好き勝手に情報を配信できる時代。
しかもその垂れ流す情報の多くはたった一人で書き、他人の目を通さぬまま世界中に発信される。
だから、変換ミスもおおいし、誤用も多い。
私も自分の文章を読み直しているかと問われたら、毎回はやっていない、というか、ざっと目を通すだけできっちり訂正をかけてはいない。
だが、出版物はそうはいかない。
一応、他人の目が入っているはずなのだ。
さて、嫌だけど、嫌だから、悦子はきっちり仕事をこなす。
言葉遣いはなってない、かもしれないが、意味もなく人を批判してくるわけではない。
ゆとりと言われようが、商売女っぽいと言われようが、その相手にあるだろう思い込みを壊す感じが好きだ。
実際にこんな人が後輩にいたら面倒だろうが、それはそれで面白いかもしれない。
ただ、私のような大雑把な人間に校閲が務まるかはかなり怪しげなところだが。 -
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タイトル通り、本にまつわる短編のアンソロジー。
中田永一の作品が読みたかったのと、他の作家が著作を読んだことのない名前ばかりだったので、新規開拓のため読みました。
表紙のイラストを見るに若い読者がターゲットかと思いましたが、話のキーとなる本は二次創作の同人誌から戦争に関わるものや官能小説まであり、全体として不思議な一冊。
お目当ての中田永一「メアリー・スーを殺して」に関しては、メアリースーという言葉は知っていましたので、オタク趣味で中高生の時分そういった部活に所属こそしなかったものの周囲に部員の友人がたくさんいた自分としては、なんかもう胃が痛かったです。創作活動は簡単なことじゃないぞという内容を十代でデビューした著者が書いたんだから、なんだかな、という感じ。あと乙一の描く女子は何故「実は美人」ばかりなんだろう。わざとやっているんだろうけど、メアリースーそのもの。男子は等身大に見えるキャラクターが多いのに。まさか、女の子は誰だって本当は可愛いのよ、という考えの持ち主なのか?男子の実態は女である私には想像するしかない部分も大きいので、等身大と感じるのが間違いなだけなのかもしれない。
他の作品に関しては、言葉選びや運びが面白かった小手鞠るい「ページの角の折れた本」、言い回しは好みではないが頭の中にはっきり風景の浮かぶ描写とストーリーが良かった小路幸也「ラバーズブック」、キャラクターが立っていて爽快な宮木あや子「校閲ガール」が気に入りました。それぞれ他の著作も読んでみようと思う。「校閲ガール」は連作短編集になる予定とあるので既に出ているのかな。 -
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本をテーマとしたアンソロジー。
それぞれ「本」「読書」に対するアプローチが様々なので、飽きずに楽しんで読みました。
中田永一「メアリー・スーを殺して」は、オタク趣味の少女が二次創作小説を書くようになるが、いわゆる『メアリー・スー』(ファンが二次創作の中に登場させた自己投影したキャラクターのこと)に悩まされ・・・という話。
小説を書くことで現実と向き合った結果、小説から離れてしまった少女が、世界を広げていったその先でまた小説と出会うという、本好きにはたまらない素敵なお話でした。
小路幸也「ラバーズ・ブック」はノスタルジックな雰囲気が印象的。
この世界観でもっと続きを読んでみたい。
宮下奈都「旅立ちの日に」は短いけれど好感の持てる話だったし、
原田マハ「砂に埋れたル・コルビュジェ」も整理されていない感情を
うまく表現している、センスが感じられるお話でした。
他の作品を読んでみたい作家が増えてしまうので、アンソロジーは困ります。