白川紺子のレビュー一覧
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話も文章もほんわりやわらかく、お茶を飲みながらのんびり読みたいような一冊。「家」が語り手というのは、物語の舞台や視点、語り手が知りえる情報など、かなり制約が多くて書くのが難しいだろうと思うのですが、違和感をさほど覚えさせずにスルスル読めるのは流石ですね。
全話において椿がキーアイテムとして登場しますが、今後の一話一話全てに椿を絡めるのも難儀だと思うので、このスタンスのままシリーズを続けるのは大変だろうなぁ;
日常推理物としての謎や仕掛けはやや弱いものの、偽夫婦のほんわかとしたやりとりで癒されるので、むしろそこを楽しむべきお話なのかも。
そしてまた、この筆者も……飲食物の描写がうまいんだよなぁ……どの話においてもこれでもかとばかり美味しそうな食べ物が存在を主張してくるので、とんだ飯テロだよ……(笑) -
Posted by ブクログ
ネタバレ香澄さん、ついに自覚。
きっかけは案外あっさりしたものである。
でも実際恋心の自覚って、劇的な場面ではないことが多いのかもしれない。
それにしても、夫婦プラス恋敵三人が食卓を囲む光景が当たり前になりつつあり、寧ろこちらが戸惑ってしまったり。
それでいいのか、三人とも。
そんな中でも、持ち込まれる日常ミステリは切れ味抜群。
夏椿の話は泣けて、西王母の話はぞぞっとした怖さがありました。
両極端。
でもやっとこさ夫婦ともに自覚してくれたことだし、また物語は前に進みそうです。
椿屋敷じゃないけど、早く教えてあげたい。
互いに両想いだよと。
ただ夫婦が気持ちの面で正式に夫婦になる前に、サブキャラの恋が実った模様。
お、おめでとうございます?
ケンカップルの二人にも悶えました。
主役より先に引っ付くとは……油断できない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ着物に遺された、あなたへの想い。
直接は言えなくても、遺された想いがある。祖母から受け継いだいわくつきの着物も残りわずか。鹿乃の成長も見える巻。慧は父親のことや鹿乃への想いが一段落して、すごく余裕がある感じになった。何気に兄の良鷹がフィーチャーされている巻でもある。
「雛の鈴」着物に託した母の想い。わかっていても言えなかったこと。知っていたけれど、知らないふりをした愛情。着物の謎を解くということは、誰かの個人的な領域に踏み込むことでもあり、今回のように拒絶する人もいる。うまく落ち着いてよかった。鹿乃の一生懸命さが人を動かした、というところ。
「散りて咲くもの」最後の一枚は、野々宮家の人が遺した着物ということで、鹿乃や良鷹も気負うところがあったか。『山歌集」や『櫻の園』が出てきたけれど、このシリーズだから危ない方向に行くとは思わず、穏やかな着地へ。桜は散って、次へとつなぐ。卒業式のシーンがありましたが、赤レンガの校舎とか、ほとんどが同じ大学へ進むというところに、やはりこの学校のモデルは……と思った。
「白鳥と紫式部」良鷹の同級生が亡くなり、彼から着物が届く。体の弱かった津守亘が、一度だけ話をした良鷹に託したかったものは。彼の娘である幸がかわいらしい。良鷹は愛情を注ぐのが上手いのかも。結婚する前に娘(的な存在)ができてしまった良鷹だけど、真帆のことは、このまま腐れ縁で行くのだろうか。
人と人をつなぐのは、やはり愛おしいという想い。こじれても、誤解があっても、一度のすれ違いでも、会ったことがなくても、想いを遺すことはできる。世界の優しさを信じている物語だった。