松本裕のレビュー一覧
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本書は、アフリカの可能性を説いた一冊である。
アフリカはAIDSやマラリアが横行し、政治は腐敗している。例えばジンバブエのインフレ率は2006年に1,000%に達し、借入利率は400~500%とされている。
しかしこれは、アフリカの一側面を切り取っただけに過ぎないと著者は主張する。アフリカは今まで施しの対象とされてきた傾向にあるが、それは見誤っている。アフリカ大陸全体を合わせたGDPは世界10位であり(2006年時点)、9億人の消費者や起業家、そしてその予備軍がいる。
アフリカがこれから発展していくポイントとして著者は、主に下記の点を挙げている。
・アフリカ2
→富裕層予備軍とも言い、ボ -
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●内容
・「アフリカ」を俯瞰した感じのマーケ本。「中流」層に向かいつつある「アフリカ2」のセグメントに注目。
・インド出身の経営学者による「アフリカ」マーケットの分析
・インド市場や中国市場とアフリカ市場の成長プロセスが似ていることに注目し、成長分野を語る。
●感想
・「アフリカン・ドリーム」への言及が素敵。その根源は起業家精神だという。
“起業家精神は、アフリカで健在なのだ。起業家は問題を解決する。電力がなくなれば発電機を売る。
金融システムが不安定になれば、為替で稼ぐ。雇用がなくなれば、道端に雑貨店を開く”
・セールスの視点にも通じるのだが、「何もない」状態を「大きな商機」と捉える見 -
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ゼミ選考課題の所感文のために読んだ本
以下その時に書いた所感文
本書では序文で、貧困、紛争、政治腐敗などの悪いニュースに表象される「施しの対象」という世界中の多くの人々がアフリカに対して持っているイメージがアフリカの成長を阻害している最大の原因であるとして大きく否定し、大陸全体で9億人という人口に基づく巨大消費者市場の大きさ、優秀な起業家やビジネスリーダーをアフリカの真の富であると強調している。インド出身でマーケティングのコンサルタントを務めている著者が、自国の現在の経済成長とアフリカの近い未来のそれを重ねつつ、アフリカ経済の勃興を期待している。そのことを大前提とし、第一部ではアフリカ大陸 -
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9億人が生きるアフリカ大陸53ヵ国のうち、2006年の国民総所得の一人あたり平均で12ヵ国は中国より高く、20ヵ国がインドを上回っている。大陸全体の平均ではインドのそれを上回っている。アフリカは意外に豊かな市場なのだ。
むろん、世界の最貧国もアフリカには存在し、問題が山積していることも事実だ。だが多くの課題や欠如があるということは、それだけのビジネスチャンスが開かれているということでもある。
犯罪があろうと政治腐敗があろうと9億の人々が日々のパンを必要とし、インフラが未整備だからこそ携帯電話を求め、貧しいからこそ子供へのよりよい教育を望んでいる。チーター世代と呼ばれる若者層は、民主主義を -
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著者は、ヴィジャイ氏である。氏はテキサス大学経営大学院教授であり、多数の書籍を
執筆していると同時に複数の賞を受賞をしている。
つまり、なかなか信頼が置けそうな人物であるって事。
内容は、「アフリカ市場の将来価値は高い」この一点に尽きる。
そして、それを支える氏の理由は以下の3つと言えるだろう。
1.アフリカは9億人の市場かつ、ブラック・ダイヤモンドと呼ばれる
中間所得層が伸びてきている。
2.言語や宗教が似ている国が多いため、一つ一つの国は小さくても
マージして視る事が可能と考える。
3.優秀な人材・多くの企業が注目をし、参入をしてきている。
ビジネスは基本的に「マクロで勝つ」のが最も -
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アメリカだけでなく、世界中で起きている新自由主義による経済活動の不公正と民主主義の劣化に対して、一部のものに流れる莫大な富は不当に得られたもので多くの人にチャンスはないとする一方で、資本主義そのものはコントロールすれば素晴らしい制度だという。
いや、と思う。そもそもこの本でも言及しているように、アメリカ国内で言えばアフリカンアメリカンが、アメリカの資本主義が“うまくいっている“裏で不当に低い階層に押し込まれていたのではないか。国内だけじゃない。資本となる物資はいつだって、周辺国から不当に収奪し、そのうえに中心国の繁栄があったのではないか、と思ってしまう。その矛盾とどう向き合うかが問われているの -
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パフォーマンスや品質を改善するには、データを集めて分析し、何が問題なのかを特定する必要がある。でも、測定結果を報酬や懲罰に関連付けて人々に改善を促そうとしたら、とても良くない事が起こるよ、という話。
幅広い業界の多くの事例が紹介されていて、興味深い。
で、失敗事例には共通点があって、
・評価対象の数字はただ測定しやすいだけで、本当に価値がある対象ではないかも知れない
・人々が測定対象の数字ばかりに注力し、数字に現れない価値に力を入れなくなる
・数字と報酬や懲罰が紐づくと、虚偽報告や改竄が行われやすくなり、実態を表さなくなる
みたいな感じ。
反対に、上手くいく事例も紹介されていて、
・現場の -
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ノーベル経済学賞受賞のアンガスディートンによる著作。所得の成長が健康改善の主たる要因ではなく、制度の違いや知識の差が重要。富裕国では障害が減っているし、知能指数は時代とともに上昇している。平均身長も世界の大半の地域で高くなってきた。貧困国にトリクルダウンさせていく上での課題は何か。
アンガスディートンは、開発援助は害を及ぼしうると主張。開発援助を受けた被援助国の政府は、自国民よりも援助国に対する説明責任を重んじ、政府と市民との間の社会契約関係が弱まり、公的制度の強化や持続可能な発展に必要な改革を行うインセンティブが低下。大体、政府が機能不全であれば資金援助した所で権力に資金を与えて強化する事 -
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【感想】
アメリカ人の絶望死が増えている。絶望死とは、「自殺」「薬物の過剰摂取(特にオピオイド鎮痛薬)」「アルコール性肝疾患」の3つによる死を指し、45-54歳の中年白人男女の間で増加傾向にある。本書は、こうした絶望死の増加の原因に焦点を当て、非効率的な「アメリカ資本主義」にメスを入れていく構成となっている。
では「何故絶望死が増えているのか」というと、これが難しい話であり、一概に何が原因と言い切れるわけではない。
そもそも、自殺や薬物中毒などの死因は簡単に区別できない。アルコール依存症による生活苦に耐えられず拳銃で頭を打ちぬけば「自殺」としてカウントされ、腕に注射器の針が刺さったまま絶命し