松本裕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
薄いと思ったのに、凄い濃密な論理の展開だった。なるほど、ノーベル経済学賞受賞を受けているのが当然。
21Cの2割が過ぎ、今世紀の資本主義国家の夕暮れを感じさせつつも、薄暮を思わせるエンディング。疲れた読書だったが、方策は論じられぬものの、シナプスが少しできた感じ。
アメリカ トランプ政権時に感じた異常性、問題提起が頷けるもの・・白人死亡率の右肩上がりと絶望死~自殺・薬物過剰摂取・アルコール性肝疾患の3つの要因。その大半を占める「学士号を持たぬ集団」
出生コホートで追跡する数字の信ぴょう性は高い。かつての感情論が混じる分析とは一線を画す。18C産声を上げたこの国、いくつかの社会問題を闘いも含め -
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Posted by ブクログ
「コミュニティ内の移民の割合が上がれば、移民と先住人口の相互信頼の割合が下がる」
感覚的に理解していた現象が言語化されたフレーズ。
移住は善か悪かの話ではなく、どの程度移住を進めると、移民自身、受け入れ国の住民、送り出し国に残された人々にとって最善なのかを、考えないといけない。
3つの立場で移住を論じているのが自分の中では新しく、重要な考え方だった。
多文化主義をとれば移民の先住人口への統合が遅れる。その分、相互信頼の度合いが高まることはなく公共財の所得再分配を、受け入れ国側が行うインセンティブが下がるという皮肉な帰結。
「家族を越えた信頼と助け合いは、近代の繁栄した社会の中に蓄積する -
Posted by ブクログ
パフォーマンス評価の「あるある」集といったところで、読んで納得というか溜飲が下がる思いをする人は少なくないだろう。ただ著者も認めるように測定自体は有益というか多くの場合は必要不可欠ですらあり、ほとんどのケースは程度問題ということになって白黒割り切れるものではない。
本書では測定基準の副作用について数多くの例が挙げられているが、そのほとんどは測定基準をもとにしてインセンティブを与えたがために、対象となる人々の行動・動機や測定そのものを歪めてしまった例である。そういった意味でアメリカ的。
あと透明性が政治や外交交渉にとって妨げになるよね、なんてことも書いてあるが、近年の米国政治の二極分化なんか -
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Posted by ブクログ
測定には良いところもあるが、負の側面もある。この負の側面を無視して数値指標を作り続けるような状態を「測定執着」と読んでいる。
様々な分野において、測定が成功した例と「測定執着」と思われる上手くいっていない実例を示した本。
数値化して管理する事により、数値化されなかったものが放っておかれる、数値をあげるために本末転倒な行動が起きてしまう、かけたコストに対して効果がない、などの例が満載。
結論のパートでは、測定すべきか否か、測定した項目をどう使うべきか自問するためのチェックリストを提案している。
数値目標の設定と達成を、仕事の「目的」ではなく「手段」として行いたい方々にお勧め。 -
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