長谷川圭のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
【自由】 アンゲラ・メルケル 著
『WAR 3つの戦争』では、米国の書籍ながら中東情勢がわかる内容になっていました。今度は、欧州事情などがわかるかとメルケル氏の新著を読んでみました。上巻は主に東ドイツ時代から首相就任までとなっており、下巻からはよく見聞きしたメルケル首相の行動履歴が書かれています。
多くの自伝では、思想的背景や信条などを吐露しますが、本書は「叙事詩」となっており、事実関係中心に書かれているという印象です。スタッフを集めて精緻に調査した由で、元・物理学者である著者らしいとも言えます。トランプ氏とは相性が悪かったと本人も自覚していたようですが、この点も頷けます。
それに -
-
Posted by ブクログ
木は助け合い、社会を作っている。
森は生きていて、そこに暮らす動植物がそれぞれの役割を担い、構成している。
人がいたずらに手をいれるのではなく、森林の木々に委ねることが、良い森を作る。
著者はこの本でそう語る。
昔から人間は木を様々な用途で活用してきたし、それは今でも変わらない。
ただ、節度を持って森の木を使っていくことが大切だ。
使えば植えて育てないといけない。
未来の人たちのために。
現代を生きる私たちだけが良ければそれで良いというわけではなく、子や孫の代に恥じないように生きていかなければいけない。
森をつくるというのは、未来への種を蒔 -
Posted by ブクログ
人間ってしょうもないな、というのが第1感。人は皆それぞれ道徳的な観念を持っている…しかしその正体は所属先のアイデンティティや社会的立場や政治にたくさん影響を受けている…本質は自分の周りには甘く、外側と判断した先に厳しいというのは実感もあるし認めなければいけないところだろう。
「奇妙な人々」の話が面白く、大学の心理学の実験で人のパターンを科学的に検証しているつもりが、それって全人類を対象にしておらず文化的に似たり寄ったりな人しか対象にしてないよね、という部分が笑ってしまった。西洋文明ではないどこかの部族は、私たちが錯視する絵に引っかからないらしい。そんなレベルで文化や環境は人に影響を与えるのか、 -
-
Posted by ブクログ
ヒトの進化、人類史、社会構造の変化、文化と遺伝子の共進化などに興味がある人におすすめ。
ピンカーの『暴力の人類史』や『21世紀の啓蒙』と重なる議論もあり、そのあたりのノンフィクションが好きな人は読み進められそう。
第1章 五〇〇万年、第2章 五〇万年、というように
、大まかな年代区分ごとに章立てされている。気になる章だけ読むことも可能。
「カトリック教会の婚姻・家族計画が個人主義の成立につながった」など蘊蓄も豊富。
※以下、ざっくりと内容紹介。
人類のモラル・道徳の進化を500万年前から現代まで追いかけていく。
モラルの歴史は人類の進化の歴史である、と著者は述べる。
ヒトが自然界で生き延びて -
-
-
Posted by ブクログ
最近樹々や菌類の相互依存とか、総体としての森の生態系といった特集ドキュメンタリーが制作されたが、その原点はこの本かと思われる。種をこえた樹々のコミュニケーションや危機に直面した際の化学物質の分泌過程など興味深い話がいっぱい。水不足におちいると悲鳴をあげるなど、動物とはかけ離れたありようではあるが植物も生き物であることがよくわかる。林業は効率よく木材を生産するために木の成長が止まったところで伐採してしまうが、木の寿命の観点から考えると、ちょうど成年期に達したところで切ってしまうようなもので、健全な森にはもっと壮年老年の木も必要であるというのは新しい気づき。親に光を遮られて遅く成長する木の方が丈夫
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレいつぞや高橋源一郎が紹介していて気になっていた本。ガーデニングがマイブームの今読んでみた。
樹木について、まさに知らなかったことがたくさん書いてあって、とても興味深い。木ってこんなに「生き物」だったのか!
・木は齧られると味を変えて抵抗する
・木は内部で小さな音を出している
・ブナは仲間と根で栄養を分かち合っている
・海の近くから森があるおかげで雨が降る。森が続いていないと雲にならない
・木の寿命は1万年にもなることがある
・移植されたり枝を切られた木は弱まる。森の中で日陰をお互いに作るから木は長生きする
翻訳の本にありがちなんだけど、ちょっと読みづらかったので、読み切るのに時間がかかっ -
Posted by ブクログ
ペーター・ヴォールレーベン(1964年~)は、ドイツのボン生まれ、大学で森林学を専攻した後、ドイツ西南部のラインラント=プファルツ州の営林署に20年以上勤め、その後、フリーで森林の管理を行う。
本書は、長年森林の管理をしてきた著者が、豊富な経験と科学的知見をもとに、森林と樹木の生活について綴ったエッセイ集。2015年に出版され、全世界で100万部を超えるベストセラーとなり、2017年に出版された邦訳(2018年文庫化)も、多数の新聞書評で絶賛された。
私は、30年近く前に数年間ドイツで過ごしたことがあり、そのときにドイツ国内の各地を訪れたが、ドイツは、南部のアルプス沿いを除いて険しい山地がなく