あらすじ
アンゲラ・メルケルは16年にわたりドイツ政府の首長としての責任を担い、その行動と態度で、ドイツ、ヨーロッパ、そして世界の政治をリードしてきた。メルケルは本書を通じて、1990年までの旧東ドイツ、そして1990年からの再統一されたドイツというふたつの国家における自身の半生を振り返っている。東ドイツ出身の彼女が、どうやってCDUトップの座に躍り出て、統一ドイツ初の女性首相になれたのか? なぜ西側諸国で最も影響力の強い政府首脳のひとりに数えられるようになったのだろうか? 彼女はいったい何をしたのか?
本書のなかで、アンゲラ・メルケルは首相府での日常に加え、ベルリンやブリュッセルやほかの場所で過ごした、極めて重要かつドラマチックな昼や夜について言及している。国際関係における長い変化の流れを描写し、グローバル化された世界で複雑な問題を解こうとする現代の政治家がどれほどの重圧にさらされているのかを明らかにする。読者を国際政治の舞台裏に招待し、個人間の会話がどれほどの影響力をもち、どこに限度があるのかを示す。
アンゲラ・メルケルは対立が激化する時代における政治活動の条件を振り返る。彼女の回顧録を通じて、読者はほかにない形で権力の内側を垣間見ることができるだろう。本書は「自由」への重要な意志表明だ。
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Posted by ブクログ
ドイツ初の女性首相であり、しかも東ドイツ出身者として異例の選任となったメルケル氏。今では民主主義国の良識を代表する名宰相として尊敬されていると言って良い。この人が西ドイツのハンブルクから東へ牧師として異動した両親の下で育ち、物理博士になるまでの成長ぶり。学生時代から民主的な考えで、卒業必修のマルクス主義の学びだけがぎりぎりの「可」合格で、後は首席だった。首尾一貫した姿勢がその後の彼女の人生を決定づけたと思う。
そして35歳でのドイツ統一。女性というよりも東ドイツ出身者への偏見が強い中で、数年後には女性閣僚に、そして統一10年後には首相になるまでの歩みは驚くばかり。CDU(キリスト教民主同盟、日本の自由民主党に似た立場)の党首に選ばれた際の彼女の演説がそれを象徴している。
私は、自分が思い描いたCDUの未来像を次のように述べた。
「私はグローバル化した世界において社会的市場経済の倫理をさらに発展させるCDUを望んでいる。この新たな条件下においても市場と人間性を融合させることができるCDUを望んでいる。キリスト教的人間理解にもとづき、人間の尊厳を尺度に、テクノロジーがもたらすリスクを評価するCDUを望んでいる。社会保障制度の発展において世代間の平等を実現するCDUを望んでいる。ヨーロッパのために、市民を代表するCDUを望んでいる。…私は寛容な国家として横柄な態度をとらず、また自らの能力を包み隠すこともないドイツのために活動するCDUを望んでいる。」
首相就任宣誓に際しての説明も素晴らしい。
宣誓の最後に、「神の助けのあらんことを」と言及するが、私は信仰があったからこそ、尊大になることも、逆に自分の力のなさに萎縮することもなく、国民と創造物に対する責任を負うという任務を全うできる。今も昔も、私の心にはいつも、預言者エレミヤの声が響いている。「その町のために主に祈りなさい。その町の平安があってこそ、あなたたちにも平安があるのだから」。と触れたとのこと。公の場で「神の助けのあらんことを」と話すこと、私は困難な決断でも神に守られていると感じることができたとの件が紹介されている。どこかの国の女性首相にも聞いてほしい言葉である。
最後に、首相になって後の、サミットでのプーチン大統領、ブッシュ(子)大統領、ブレア英首相、シラク及びサルコジ仏大統領たちとの裏話ともいうべき関係ぶりは実に愉しい記録である。
また、1982年に離婚を経験しており、「メルケル」の名称はそのまま引き継いでいるということを正直に明かしていることも好感できた。
Posted by ブクログ
ドイツ首相在任期間中、現実主義と多国間協調の政治姿勢で、欧州ひいては自由主義世界のリーダーだったと思う。
強者への現実主義と弱者への理想主義を持ち、プーチンやトランプにも屈することはなかった。ただ自身も述べているが政治家は支持がなければ何もできない存在でもある。
メルケルの支持率の低下および退場は、世界が自国中心主義に傾いていることの証左だろう。これは自由を損なうことにつながるかもしれない。ひとりのための自由など存在できず、自由はすべての人のためでなければならないのだから。
Posted by ブクログ
上巻。東ドイツ出身の科学者が初の女性ドイツ連邦首相になって首相として内政、外交に携わり始めるまで。興味深いのは間違いないが、興味本位で読む層にとっては、かなり書き込みが充実していて冗長に感じてしまうところもある。
なぜ党首や首相に上り詰めたかったのか、上昇欲求がどう生まれているのか、というところまでは書き込まれておらず、ちょっとよくわからない。
Posted by ブクログ
ドイツ初の女性首相がどのようにして生まれたのか気になり購入。ベルリンの壁が崩壊した事が政治家を志すきっかけになり、変革の時代に上手く迎合しつつ時には厳しく、時には妥協して政治家として力を発揮出来た事が首相就任に繋がったのだと思う。初心忘れずブレない事は事を成し遂げる為に重要なことであると思った。
また当たり前な事だけどドイツの地名、政治についての知識がないと内容が入ってこないのでもう少し勉強してから読んだ方が分かりやすいと思った。
Posted by ブクログ
東ドイツの科学者が、統一ドイツの首相になる。何と素晴らしいことか❗️
ロシアとウクライナの衝突は今になってクローズアップされているが随分前から始まっているんだと改めて、自分の関心の無さ、メディアの偏った報道を知った。
Posted by ブクログ
東ドイツで過ごした幼少期の話が面白かった。高校までほとんど触れてこなかった物理を専攻したのも、自然科学系は政治的な立場に左右されずどんな国、地域でも共通しているからという話が興味深かった。物理学者から政界へどんなきっかけで移ったのかがよくわからなかったのが残念。後半はほとんど頭に入らなかった。、。、。