長谷川圭のレビュー一覧
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日本であまり知られていないオーストリア発グローバル企業、レッドブルを解き明かす本。
数々のスポーツのスポンサーとして知られる一方で、企業内部は機密だそう。一切口外されない。
ゆえに、この本も本社の協力は一切なく、創業者マテシッツからも大惨事だとコメントされた本。
創業者のプライベートもほぼ明かさない。
悪評を叩くマスコミとは徹底的に距離を置き、自社で報道会社を抱えるなど、帝国と呼ばれるにふさわしい側面も。
伝統的なチームであっても容赦なくレッドブルを冠にする。究極的にはスポーツはドリンクを売るための手段でありマーケティング。
日本ではあまり話題に上らない分、興味深かった。 -
Posted by ブクログ
1.レッドブルが昔飲んでおりましたが、その時には特に企業について興味を持つことはありませんでした。そんななか、本書に出会い、読んでみようと思いました。
2.秘密が多いレッドブルについて本書は、元従業員の方を情報のソースとして描かれた本です。創業者であるマテシッツはユニリーバに勤めていながらも「いつか自分でビジネスを起こしたい」と常々考えておりました。そんな中、タイを旅行中に「クラティデーン」というタイのエナジードリンクに出会います。この飲み物にほれ込んだことでレッドブルが生まれます。強く、逞しく、それでいてエキサイティングな体験ができるという価値がレッドブルの本当の魅力であり、この体験こそがマーケティングの肝となっております。
気を付けなければならないのは、本書はマーケティングについての本質や経営としての王道である「顧客の創造」について書かれた本であり、スポーツマーケティングのやり方について書かれたハウトゥー本ではないということです。
3.特に新しいことはなく、レッドブルの歴史について知ったという感覚で終わりました。アイデアの発端がタイのエナジードリンクということに驚きを隠せませんでしたが、それ以外には特に驚く箇所はありませんでした。一番学んだ場所は「自分がやるべきことと会社に必要なことをやる」という姿勢を貫くことです。レッドブルは情報統制がとても上手な会社です。そして、マテシッツ氏はメディアへの露出を避けている人物です。理由は明快で「必要ないから」です。メディアは何をするにも「顔を出して説明しろ」「経営責任だ」と言ってきますが、そんなことをいちいち説明する必要はありません。ホームページを見ればわかる情報をいちいち質問してきたり、ゴシップを取り上げて小銭稼ぎに明け暮れている毎日を過ごしている記者の人達に対してやるべきことは何もありません。ただ、メディアの力が必要になることもあります。そこのバランス調節が難しく、一番足元をすくわれてしまうのが経営の難しさではないかと思いました。 -
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■フロー効率
特定の期間にどれぐらいのフローユニットが処理されているのかを知る尺度となる。この場合の期間とは、ニーズが特定されてから、それが満たされるまでの時間のこと。
■リーンの中核となる原則(「リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える。」)
1 チームワーク
2 コミュニケーション
3 リソースの有効利用とムダの排除
4 継続的な改善
■新しい5原則(「リーンシンキング」)
1 最終顧客の視点から価値を決める
2 価値の流れを理解し、価値をもたらさないステップのすべてをなくす
3 顧客までの製品のフローを円滑にするために、価値を生む残りのステップの流れをよくする
4 フローが確立したら、顧客のリクエストを起点に、下流から上流工程へと価値の流れを動かしていく
5 ステップ1からステップ4までが終わったら、プロセスを最初から繰り返し、ムダのない完全な価値をつくり出す完璧な状態になるまで続ける
■トヨタの3つの能力レベル「The Evolution of a Manufacturing System at Toyota」
レベル1-ルーチン化された製造能力
レベル2-ルーチン化された学習能力(カイゼン能力)
レベル3-進化能力(能力を育む能力)
■4つのルール(「Decoding the DNA of the Toyota Production System」)
1 すべての作業は、内容、順序、タイミング、結果の点で極めて具体的でなければならない
2 顧客とサプライヤーは例外なく直接つながっていなければならず、要求を送ったり、応答を受け取ったりする際には誤解しようのない「イエス」か「ノー」を用いる
3 すべての製品とサービスの経路は単純で直接でなければならない
4 ありとあらゆる改善は、科学的手法を用いて、指導者の指揮の下、組織内の可能な限り低い階層で行わなければならない
■トヨタウェイ
知恵と改善
・チャレンジ:夢の実現に向けて、ビジョンを掲げ、勇気と想像力をもって挑戦する
・改善:つねに進化、革新を追求し、絶え間なく改善に取り組む
・現地現物:現地現物で本質を見極め、素早く合意、決断し、全力で実行する
人間性尊重
・リスペクト:他を尊重し、誠実に相互理解に努め、お互いの責任を果たす。
・チームワーク:人材を育成し、この力を結集する。
■ライカ―のトヨタウェイ
Ⅰ 長期哲学
1 短期的な財務目標を犠牲にしてでも、長期哲学にもとづいて経営上の意思決定を行う
Ⅱ 正しいプロセスが正しい結果をもたらす
2 継続的なプロセスフローをつくって、問題を表面化させる
3 つくりすぎをなくすために”プル”方式を用いる
4 仕事量を一定にする
5 手直しが必要なときには、品質を即座に正すためにプロセスを停止する
6 継続的な改善と従業員の強化のためにタスクとプロセスを標準化する
7 問題が隠れるのを防ぐために視覚的な監視を行う
8 従業員とプロセスに貢献できる、十分にテストされた信頼性の高い技術のみを用いる
Ⅲ 人材とパートナーを育てる
9 仕事を完全に理解し、哲学を体現し、それを人に教えることができるリーダーを育てる
10 会社の哲学に従う卓越した人とチームを育てる
11 課題を突きつけて成長を手助けすることで、パートナーとサプライヤーを尊重する
Ⅳ 根本的な問題を継続的に解決して組織学習を促す
12 状況を完全に理解するために、現場に行って自分の目で見る
13 時間をかけて合意の上で決断を行い、決断を迅速に実行に移す
14 徹底的な熟慮と絶え間ない改善を通じて学習する組織になる
リーン式のオペレーション戦略には、マトリックス内を右へ移動する、つまりフロー効率を高めるという要素が欠かせない。フロー効率とリソース効率の選択では、迷いなくフロー効率を優先する。トヨタ生産方式の父である大野耐一もフロー効率の重要性を認めていて、こう述べている。「私たちがやっていることといえば、顧客が注文した瞬間から私たちが現金を受け取るまでのタイムラインを見ることだけだ」
■会社を植えたばかり一本の木とみなす
・どんな木を美しいと感じるのだろうか?
・どんな木を美しくないと感じるのだろうか?
これらの問いに共通の答えが見つかったとき、我々は自分たちの考えを価値観にまとめたのです。価値観が、木に対してどう接するべきかを決めてくれました。最も大切な価値観は、つねに顧客を第一にすること。顧客のニーズを満たすことです。顧客のニーズを満たすことは、美しい木にたとえられます。顧客のニーズがほかの何よりも優先される。顧客を満足させることで、木を大きくすることができるのです。いちばん重要なのが顧客で、顧客を何よりも優先しなければならない。トヨタで働く者全員にとって、我々の価値観が困ったときに答えを求める場所になりました。価値観のなかに、あらゆる状況でどうふるまえばいいかの答えが見つかる。価値観が我々にどうあるべきかを示してくれる。それらが我々の社風の中核になったのです。
■二つの原則
長い発展の末、我々の考えは二つの原則に要約できることがわかりました。一枚のコインの表と裏の関係にある原則です。一つ目の原則はジャスト・イン・タイム。フローを生み出すことです。サッカーを想像してください。チームがボールをピッチの一方の端からもう一方の端までパスでつなぎ、最後には対戦相手のゴールに蹴り入れるとき、フローが生まれます。ボールはつねに動いている。選手の全員が協力して、ボールが流れるべき完璧なルートを見つけようとする。ボールはピッチを縦断してゴールまで流れる。基本的にサッカーのゴールは、顧客に望みどおりのものを、望み通りの時間に、望み通りの品質で届けるのと同じこと。カスタマーサービスとは、ゴールを決めることなのです。
■ジャスト・イン・タイムと自働化
ジャスト・イン・タイムはフローを生むことを、自働化とは目に見えるはっきりとした像を得ることを意味しています。それにより、フローを起こしたり、妨げたり、せき止めたりするものすべてを、すぐに把握できるようになるのです。この二つの原則は一枚のコインの表と裏であり、両面がそろってはじめて、つねにしっかりと顧客に目を向けて”ゴールを決める”ことができるようになる。 -
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今日、GAFA は圧倒的な力を背景に、個人や社会、国家に影響を及ぼしている。その弊害とは?巨大IT企業(ビッグテック)の「負の側面」を暴く書籍。
ビッグテックは、とめどなく力を増している。その一方で、民主主義はどんどん不安定になっている。
・2018年までにグーグルとフェイスブックがインターネットの広告市場の60%を占めた。結果、民主主義にとって重要な、信頼できる情報を提供する新聞や雑誌は力を失った。
・ビッグテックはアメリカ国内で、顔認証技術を警察に売るなど、州や国と共に、監視国家もどきをつくりつつある。
ビッグテックは、自分たちにとって有利な組織を支援している。例えば、民主党と共和党の両方に資金援助を行っている。また、学術界でも、ハイテク関係の研究のスポンサーを務め、その見返りに、学者から都合のいいコメントを求めている。
ビッグテックは、ネットワークの力で市場を支配しているが、独占企業として問題視されない。それは、「価格をつり上げない限り、市場を支配する企業でも独占にはあたらない」との考え方が、法的に支持されているからだ。つまり、彼らのビジネスモデルは価格を上げる必要がないため、独占企業にはあたらない。
ビッグテックは、多くの富を生み出しているが、時価総額に比してわずかな雇用機会しか生み出していない。むしろ、雇用機会を破壊している。
ビッグテックの製品やサービスは、依存症を引き起こす。それらは、ユーザーの利用時間が長引くように“デザイン”されている。そのテクロノジーは、人と社会の関係を変え、生産性を損ない、子供たちの脳に悪影響を与える恐れがある。 -
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最初は正直、つまらなくて読むのを挫折しそうになりましたが、<第6章 雰囲気>と<第9章 記憶>は割と面白かったです☆
食品ではなくパッケージに香りをつけた方が良いという話や、ポテトチップスの袋がガサガサする理由が意図的である点、インドの人が手を使わずにご飯を食べると料理が味を失うと言った話、ハードロックカフェがテンポの速い音楽を大音量で流す理由などなど、いろいろと面白い話がありました。
ただ、僕が一番印象に残ったのは、料理がある程度のクオリティを担保していたら実はもう記憶という観点で言うとそれ以上はそれほど重要じゃなくて(食べるという行為にそこまで人は意識を集中させなくなる)、それにプラス、何かしらの感情の動きが無いと人々の記憶に残ってまた行きたいと思ってもらえないという話。この考え方は、何も食べ物だけの話じゃなくて、仕事も含めたいろいろな事に通じるものがあるような気がして、いろいろと参考になりました。
どうしても専門職の人は独りよがりになりがちですが、最終的にどういった結論を下すのかは別にして、とにかくまずは、潜在的な事も含め、相手が本当に求めているものは何なのかを 真摯に考える事が重要だと思いました☆…って別に、そういう事を書いた本では無いですが(笑)。 -
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人間を他の動物と分けるものは、「思考力」だ。何が正しく、何が嘘かを見抜き、判断を下す。──はずなのだが、実際は人間は情報を読み間違い、だまされ、偏見や無知によって、誤った判断を下しがちだ。なぜこのようなことが起こるのか?物理学者でガン研究者、科学ジャーナリストとして、あらゆる種類の間違った判断を見てきた著者が、旧ソ連から中国、アメリカ、オーストラリア、イギリス、アフリカなど全世界の実例を挙げながら、まどわされずに思考するために何に気をつければいいのかを説く。読むうちに、頭がクリアになり、世界がくっきり見えてくる。
実例を用いながらそれぞれの誤謬や誤った思考回路について分かりやすい解説で、分厚いけれど読みやすい。反ワクチン派や代替医療のくだりは仕事柄、読んでいてすごくスカッとしました。あと前世の話とか超能力とかも一切信じていない人間なので、ばっさり斬り捨てられてるのは小気味よい。何事もエビデンス・反証をもって正しいと認識することを心掛けたいものです。 -
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結局なぜこんなに売れるようになったのか、よくわからなかった。。。
…ドイツ人経済哲学者のゲオルク・フランクは、…こうした世間からの関心こそが新しい経済の通貨になっていると説く。「私たちは情報社会に生きている。そして情報から身を隠す場所がないことに気付づいている。情報社会における希少資源は、情報そのものではなく、情報を利用し、選択し、処理・加工する能力だ。要するに、人々の関心こそが希少資源である。しかし、この関心を向ける対象が増えれば増えるほど、この資源はますます希少となっていく。」
■楠木建 解説より
本書から学ぶべき本質的な論点はスポーツ・マーケティングでもビジネスモデルでもない。奇想天外な会社に見えるレッドブルだが、その実、創業者絵あるディートリッヒ・マテシッツは、商売の原理原則に忠実な王道を行く経営者である。それだけに、彼の思考と行動からは普遍的な教訓が引き出せる。私なりに汲み取った重要な論点を順に見ていこう。
第一に、ビジネスはそれを始める動機が大切だということ。…
第二に、ビジネスの端緒となるアイデアはオリジナルである必要はないということ。…
第三に、経営における「独立自尊」の重要性である。…
第四に、内部開発への強いこだわり。ここにレッドブルの戦略ストーリーの最大の特徴がある。経営に必要な機能を手っ取り早く市場で調達し、内部開発にかかる時間を節約しようという経営スタイルが多いなかで、レッドブルは正反対の構えを崩さない。…多くの飲料ビジネスを行う企業と同じように、レッドブルは生産や流通の機能を外部化している。しかし、ブランド構築のためのマーケティングという競争力の中核部分については、時間をかけてでも社内でじっくりと開発していくという戦略である。短期的な成長を求めて、M&Aに手を出すこともない。
…
レッドブルのような長期内部開発志向がなければ、スポーツ・マーケティングはペイしないほど高い買い物になりがちだ。いまの時点で一番人気があり、マスメディアで露出の高いアスリートを探し、辣腕エージェントと交渉し、契約していたのでは、お金がいくらあっても足りないだろう。
上場しないという基本方針は、レッドブルの内部開発路線にとって決定的に重要な意味を持っている。四半期ごとの利益や成長を求める投資家の圧力にさらされてしまえば、レッドブルがやったような、一見して迂遠な経路をとる内部開発志向のマーケティングはできなかっただろう。マテシッツは、「その量を計ることも金銭で買うこともできない抽象的な要素こそが、企業の成功の基礎となる」と考える。「見える化」の逆を行くものである。
最後に、…マテシッツの経営スタイルには、伝統的なヨーロッパの経営にみられるような独自のこだわりがあるということ。マテシッツの経営には、アメリカ企業にありがちな「なりふり構わず」というところがない。マテシッツはきわめて「非アメリカ的」な経営者だといってもよい。 -
Posted by ブクログ
最近、日本でもよく目にするようになったレッドブルであるが、その成功と経営に迫った本はこれまでになかったと思われる。書中でも再三触れられているが、それは創業者のディートリッヒ・マテシッツが極度のマスコミ嫌いであるということからだろう。
既に、2012年時点で世界での販売数量が52億本に達するというこのドリンクの出発点は意外なところにある。マテシッツがユニリーバでマーケティングマネジャーをしていた際に,たまたまアジア出張で読んだフォーブスの長者番付に大正製薬の創業者がランクに掲載されており、リポビタンDという栄養ドリンクが収益を支えているという説明文章に関心を持ったことがきっかけだったという。そして、タイのローカルブランドであるレッドブルに出会い、ライセンス生産を始めたることとなるのである。
現在でも生産とディストリビューションは外部委託しており、レッドブル本社は、マーケティングに専念している。マーケティングへの投資は年間15億ユーロに上り、売上の3分の1を投入、そのさらに3分の1をスポーツ関連に投資する。F1を始め、サッカー、アイスホッケー、スノーボードなどあらゆるスポーツで露出度を高め、既にF!では3度のチャンピオンとなっている。
日本では栄養ドリンクは、疲れたサラリーマンのための疲労回復という機能を全面に出しているが、レッドブルは情熱、挑戦といった感情的な価値観を全面に押し出したマーケティングでグローバル企業となっている。電化製品や自動車では世界を席巻した日本企業も、ことさら食品や飲料になると完全に内弁慶なのは、やはりマーケティングが世界レベルではないということであろう。同じような製品であるオロナミンCが国内だけで終わってしまっているのは、そういうことだ。