カズキヨネのレビュー一覧
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無料版購入済み
広島を舞台にしたれっきとした日本のおばけものです。市役所にそういう課があるって設定が割と好きw 妖とか異界とか、神職とかの設定もちゃんとしていてこの手の話が好きな人には間違いなく面白いと思います。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「普通」である自分が、「特別」な美郷の友人でいていいのか悩み続ける広瀬。一方、「普通」であることに感謝しつつも周囲の期待する「普通」が苦しい由紀子。怨鬼に付け入れられた由紀子に届くのは「普通」である悩みを共有した広瀬の声。「普通」の広瀬が由紀子を救い、同時に美郷の過去を救う。「普通」と「特別」、それから「自分」――悩むのは自分ひとりではなく、躓くことも間違うこともあってもいい……「自分」を生きていく背を慰撫し支えてもらえる一冊(二冊か?)でした。
前巻だけでなくそれ以前から、ずっと隣に寄り添い続けた怜路の存在に美郷が自覚的になり、また怜路も巴市で暮らす中で新たな人間関係ができてきたことに思い -
Posted by ブクログ
片や実家と縁を切り市役所にある特殊自然災害係に採用されたばかりの陰陽師、片や特殊な眼を持ち子供時分の記憶を失くしたフリーランスの拝み屋――経歴も性格も見た目のタイプも違うふたりは、もののけや怪異を相手にする同じ年ごろの呪術者という以外にどちらにも秘かに抱えている秘密があるようで。 ひとつ屋根の下で暮らしていれば、互いを気にしないでいられなく、気遣わないわけもなく……少しずつ親しみを覚えていく先で、自分の秘密を知られた時、相手の秘密を知った時、それは美郷にとっては再び自分を見つめる時でもあったのかも。
中国山地に抱かれた、素朴さのなかに怪しさと神秘性の残る地方都市の日々のなかで、寄る辺を持た -
市役所勤務の陰陽師?
何だか訳ありな感じのする美郷は、引っ越しに失敗するところから始まって、自分の家に住まわせてくれた怜路はうさんくさかったり、公務員だというのに長髪だから新入社員生活早々ちょっと浮いちゃってたりと初っ端から幸薄感満載の主人公。
そんな最初の方のちょっと情けない感じが進むにつれて、美郷も怜路2人の関係性が構築されたり、2人がそれぞれに背負った過去がちらちらと見え始めて、話が加速度的に進んでくのが面白い。前半には想像もしてなかった戦闘シーンなどもあり見どころ満載だった。最新刊まで読んだが二巻以降も面白かった。 -
Posted by ブクログ
春、特殊自然災害係に異動になった広瀬は、事務職員ながら人手不足により、美郷や怜路たちと現場に向かうことになる。もののけを見ることも祓うこともできない、『普通のひと』である広瀬ができることと思うこと。おそらく読者により近い彼には、たくさんのエールを送りたい!
一方で、「面に取り憑かれたモノ」と対峙した美郷は、かつての夜を思い返し――尽きぬ悩みを抱えながら、改めて怜路の存在を認識する。やっと気づき始めたそれは、互い境界に立つ者同士であるだけでなく、一緒に過ごすなかで濃く強くなっていった繋がりなのだろうと思う。
もののけ側も人間側も登場人物がぐんと増え、それぞれの人物に立場や悩みがあって、読んでいる -
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Posted by ブクログ
ネタバレいやー…めっちゃ良かったー…
白太さんの家出→恵子さんの線の引き方、筋が通っててめちゃかっこいいし、浩一さんという良き人と出会えて良かったねぇ。美郷くんと浩一さんとの2人でのお話のとこが尊い。
お話し通して→白太さん可愛いよ!(うちわ振る)
潮騒の呼び声→割と早くから、きっとこことここは繋がってるな!?って気付けたけど、克樹くんの気持ちに言及は1mmも予想してなかったからグッときましたね…。
だって美郷くんに感情移入しながら読んでたから、克樹くんは幸せに生きなよ!としか思ってなかった自分を殴りたい。今回怜路に感情移入できたからアァー(殴)ってなった。ほんとだよきっっっついわ……
1,2 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回のおんてんコンビは、お仕事でなく――プライベートでのお話、三編。
それぞれに、“決意”の印象に残るお話でした。
『白太さんの家出』では、美郷が一度失った自分の呪力を取り戻したいと思う切っ掛けになった女性と彼女の婚約者の、互いが共にいるためのふたりの決意。
間話『鳴神克樹の再訪』では、自分が鳴神に引き留めてしまったために蟲毒を喰らわされるに至った兄を思う、克樹の決意。
それから、『潮騒の呼び声』では、思いがけぬ邂逅により迫られる決断に至る、怜路の決意。巴で美郷と出会って共に過ごして、彼もまた確実に変わってきたものがあるのだと胸に迫りました。そして、自分の大切な相手を思って奔走する、島の少女と -
ネタバレ 購入済み
おもしろかった!
白太さんが可愛い。
前巻ではちょっと怖い存在でしたけど、今回は怜路と仲良くなってるし、克樹が心配でオロオロしてるし、喋るし。
美郷に怒られてしょんぼりして仲直りして、のところが、絆が強くなった感じがして好きです。
ずっと美郷と仲良く生きていってほしいです。
怜路とのバディも息ぴったりな感じで、読んでいて気持ちいいですね。
克樹がきりのちゃんを送るところは綺麗な感じが伝わってきて、じわっと来ました。
続編も期待したいです。大学生になった克樹と怜路の言い合い(ケンカ?)ももっと見たいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回本当に面白かった!
特自災の案件としての「神隠し未遂」と、主人公・美郷の捨ててきた実家で起きた家出事件、山と神社に纏わる言い伝えや禁忌が交差し、一見すると関連性のないように思えるそれらが、実は繋がっているのだとわかる構成が最高にドキドキする。
1巻で己の姿を晒せる相手に出会えた美郷と、他者との繋がりを再度求め始めたいと至った怜路が、本当の意味で相棒になる姿もすごく好き。
そして、誰かと誰かが関わることや、自分の今の境遇が、運命や天命といったものではなく、自分が選び取ってきたことでつながる縁なのだという、地に足がついた未来ある考え方が見えるのも、このシリーズの好きなところ。
だから美郷と怜 -
Posted by ブクログ
読んでいる最中、椥辻霖雨が先生なら、あるいは社会学が楽しく感じれたのかもしれない、と何度も思った。
犯罪社会学を専門とする大学準教授の椥辻霖雨の講義場面から始まる各章に、退屈さは微塵もない。
このシリーズが好きで自ら読んでいるから、という贔屓抜きにしても引きこまれる要素がある。
今作は罪を犯すことと裁くこと、償うということの違いが主題に置かれている。
「犯したから裁かれ償う」と「裁かれたから犯した」、「償ったから犯した」は別物ということをだ。
安易に「冤罪」という単語が想起されたが、読み進めると似ているが違うのではないかと考えを改めた。
確定した罪は覆ることはなく、償った年月も戻ること