NHK取材班のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「赤ちゃんポスト」として有名になった「こうのとりのゆりかご」。
2007年に開設され、十年が経過した。
当初考えられていたよりも多い赤ちゃんが、そして一定程度大きくなった子供達が棄てられた。
十年を過ぎた今、この存在を通して、様々な問題を考える。
本書中で記憶に残るのは、ある少年の語った話だ。
その少年は自分が「赤ちゃんポスト」に預けられたその時を覚えているのだと言う。
彼が預けられるまで、母親には様々な葛藤があっただろう。
一概に、ひどい母親だと責めることはできない。
ただ、どうして、と言う気持ちはなくなることはないだろう。
子供を産めない、産みたくない、頼れない、知られたくない......。
世間体を気にして預けた母親(または父親等も)がいたことは事実としてあるようだ。
それは本当に身勝手な行為であるが、それでも、望みを託して、赤ちゃんポストに預けたのだと私は思いたい。
ここなら、この子を助けてくれる、そう信じて、親であろうとしたのだと。
亡くなった赤ちゃんを預け入れた母親も、「ここでなら供養してもらえると思った」と供述しているようだ。
無知だ、無責任だ、自己中心的だ、罪を軽くするための嘘だ、確かにそうかもしれない。
けれども、どうしてそれを決めつけてしまえるだろう。
ましてや虐待だと断罪することなど。
願わくば、もっとたくさんの場所に設置してほしい。
そして、その先の、子供達に寄り添える環境づくりも。
産んだ母親ばかりに責任と負担がかかりすぎる現状は異常だ。
母を責めるならどうして父の責任を誰も問わないのだ。
「こうのとりのゆりかご」は、母と子の悲しみの涙ではなく、祈りと希望で包まれなければならない。 -
Posted by ブクログ
NHKスペシャルの書籍化。世界を席巻していた日本のゲーム産業が、世界の中でかつてのような圧倒的な存在感を失っている現状を様々な観点で紹介する。
最近でこそ、”ソーシャルゲームの台頭→ゲーム産業の危機?”のような報道を良く目にするようになったが、本書はそのような一面的な議論ではない。
他業種と比べゲーム業界の動向に関する本は少ないが、本書はその中では広い視野で解説された、貴重な一冊である。
下記のテーマが興味深かった。
・欧米のゲーム開発の現場で進む「オープン化・標準化」の取り組みが、飛躍的にゲームの開発スピード、コスト、質を向上させつつある。(日本はそのような領域で存在感がない)
・これまで同様、天才クリエイターの職人芸によって生みだされる日本のゲームの世界を、二人の天才クリエイター(水口、日野)の仕事を通して紹介する。
・政策によってゲーム業界の集積に成功した、カナダの事例。
・ゲームの作る仮想現実と現実との距離を、さらに縮める研究途上の技術。 -
Posted by ブクログ
NHK取材班著「自動車革命」NHK出版(2011)
IT技術の発展により今の世の中、非常に速い速度で変化していっている。今、我々が目の当たりにしている様々な分野の激変は、大きく言うとつながっているように感じる。長年多くの人々、あるいは人類が常識としてきたこと、そうする事が正しいのだと信じてきた事を根本から買え、新しいものを築かないといけない大きな時代の説目が訪れているように思える。政治や社会の仕組み、経済、エネルギーまで。いったん染み付いた常識を取り払う事は難しいが、電気自動車が普及するには必要なことだと個人的に考えている。
*リチウムイオン電池は、リチウムという元素にコバルトやマンガン、ニッケルなどを加えて作った酸化物を正極とし、炭素などを負極とする。正極のリチウム化合物がある組み合わせになると、ミルフィーユのような層状の構造のなかに、+の電荷をひとつ持ったリチウムイオンがいくつも挟まった形ができる。そこに電圧をかけるとそのリチウムイオンが自分の直径よりも狭い隙間をすり抜けるように動き、層の外に飛び出す。中国では、まったく異なる方式をとってる。正極をつくるときリチウムに加える金属として日本が通常使うコバルトやマンガンなどではなく、鉄を使い、そこにリン酸を加えたリン酸鉄という物質を用いる。そうするとためられるエネルギーの量は少なくなるが、かわりに安全性が非常に高くなる。
*トヨタ自動車にとって問題の本質は、ハイブリッドに傾斜しすぎたという事です。完全電気自動車にすべきでした。10年後、現在を振り返ったとき「なぜ、重複したシステムのハイブリッド車をかったのだろう、ガソリンとモーターがとなりあわせになって、ガソリンタンクと電池がある。」これは効率的ではない。完全電気自動車への行こうは急速におこると思います。
*日本のハイブリッドはガソリンエンジンと電気モーターを絶妙に組み合わせている。その制御は複雑で他の追随を許さない。一方、アメリカのハイブリッドは組み合わせていない。推進力はモーターだけの、実質電気自動車。しかし、今の所積んでいる蓄電池の能力の都合で思った航続距離を確保できないという課題がある。その課題にシンプルに答えている。走っている間に電気が足りなくなったら補充できるよう発電機をつむ。その発電機がガソリンエンジンというだけのこと.蓄電池のためられる電気が飛躍的にのびれば発電機をおろせばよい。 -
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本書は、NHKスペシャルの「スモール・ハンドレッド 新たな挑戦者たち」と「次世代カー 電池をめぐる闘い」の内容を中心にまとめた取材記。
本書を読んで、真っ先に感じたことは、中国を始めとする国々のベンチャー電気自動車メーカーの勢いのすごさだ。
電気自動車はこれまでのガソリン自動車とは違い、構造もシンプルで部品数も少ない。
さらに、中国は国家規模で電気自動車産業を後押ししている。
これらの理由から、中国では今や何百という数のベンチャー電気自動車メーカーが生まれている。
その中で、特に注目すべきは、BYDと山東宝雅電気自動車とEモーター。
元々リチウムイオン電池メーカーだったBYDは2009年の上海モーターショーで航続距離300キロの電気自動車を発表した。これは当時の電気自動車の中では一番の航続距離だ。
また、山東宝雅電気自動車はすでに電気自動車の量産に成功し、中国国内だけではなく、アメリカやヨーロッパや南米にも輸出している。
さらに、中国国内で電気バスを生産し、成長の著しいEモーターは今後乗用車の生産を開始する。
当然これらの会社が造る電気自動車は、まだまだ自動車として完成度が高いとは言えない。
しかし、これらの会社が販売する電気自動車は非常に安価である。
本書では、中国メーカのみでなく、ホンダの自動車用電池の開発現場も取材している。
中国メーカは何百キロもの電池を裸で積んだ電気自動車を造る。
一方、ホンダは市場での不具合を避けるために、市場で起こりえる最悪条件での電池実験を繰り返えす。そこには未だに多くの課題が残されており、ホンダのエンジニア達を悩ませている。
その課題を一つ一つクリアしなければ、当然商品にはならない。
しかし、多くの中国メーカの躍進からわかることは、中国を始めとする新興国市場は、完成度の高い電気自動車を求めているわけではないということ。
ランニングコストも含めて安い電気自動車が求められているのだ。
そもそも電気自動車を実現させた一番の立役者のリチウムイオン電池は、日本の技術者たちがその粘り強さときめ細やかさでやっと手にした「お家芸」だった。
しかし、その「キモの技術」はブラックボックスとして守られることなく、特許という形で公開された。
これが、中国メーカの躍進を後押しした。
今後、日本の自動車メーカの座を脅かすような中国メーカが現われることは間違いない。
その時、日本の自動車メーカはどうするか。
日本はどうするのか。
これは間違いなく、今自動車メーカで働く僕らが考えなければならないことだ。
日本の自動車メーカの社員として、今後何をするべきなのか。
そんなことを考えさせられる本だった。 -
Posted by ブクログ
本書は、2009年10月に放送されたNHKスペシャル、自動車革命シリーズの2本目「スモール・ハンドレッド 新たな挑戦者たち」と、2010年5月放送の「次世代カー 電池をめぐる闘い」の内容を中心にまとめたもの。取材とともに展開される想像をはるかに超えた進化のスピードと、桁外れの中国のパワーに驚かされる。
アメリカと中国の連携の前に、果たして日本はどう世界市場での地位を確立していくのか、といったまるで映画かドラマのような緊迫感は、思わず引き込まれるものがある。それは、液晶や太陽エネルギーなど、かつては日本がリードしていた分野が、あっという間に後塵を拝すというお決まりの負けパターンが、ちらりと脳裏をよぎるからかもしれない。