NHK取材班のレビュー一覧
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トランプ大統領誕生の一因ともいわれる、AI(人工知能)による世論操作。テクノロジーの進展は、民主主義をどう変容させるのか?関係者らへの取材を基に、その実態を描き出した書籍。
2016年の米大統領選では、データ分析会社のケンブリッジ・アナリティカ(CA)が、トランプ陣営の選挙キャンペーンを担った。同社はフェイスブックが保有する膨大な個人データを不正に入手し、SNSの政治広告の製作に利用していた。
CAの元社員によると、同社は個人データをAIに解析・学習させ、世論を操作しようとした。そのカギとなったのが「マイクロターゲティング」。これは、有権者の政治的傾向
を割り出した上で、個々にカスタマイズ -
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ネタバレ熊本の慈恵病院の赤ちゃんポストの設置から10年。賛否両論ある中、虐待や遺棄で亡くなる赤ちゃんを救おうとドイツをモデルとして設置された。
日本は政治、国の制度として本当に整っていなくて、同じように救いたいと思っていても制度的に難しい面がある。血縁での親子関係を重視しすぎで、特別養子縁組も進まず、ぶら下がりの施設育ちが多くなってしまう。子どもの出自を知る権利もあり、完全に匿名で出産してポストに預けるというのは、憲法違反という意見もある。ドイツでは、産む前も産んだ後も継続的なサポートをしており、生後8日で親権も剥奪される。
一番腹立ったのは、お互い学校教諭で、不倫の末妊娠。職員会議でポストに預けては -
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シンパシーとは寄り添うこと、エンパシィは思いやり、他者の気持ちを推し量って配慮し行動すると言う意味、忖度、昨今先回り服従と言う悪いスティグマがついてしまった。
小説を読んで、主人公に共感しました、本当の読書とは言い難い。自分とは異なる立場の人の心情も理解できて初めて読書体験は豊かになる。
ジャックアタリ氏の利他の精神、エンパシィによる他者理解の精神、利他主義は合理的利己主義に他なりません。自らが感染の脅威にさらされないためには、他人の感染を確実に防ぐ必要がある。私はしばしば利己的でありながら利他的にもなれる、
合理的な利他主義、希望を持って最善を尽くして生きる。楽観主義ではなくポジティブに考え -
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SNSは個人が様々な人や情報との接点を持つことを可能にし、その結果として2011年当時の「アラブの春」と言われるような、情報統制下の民衆に広く情報を提供して民主化を加速する要因となりました。一方、2016年アメリカ大統領選挙では、SNSを介してロシアの介入や、現在に至る民衆の”分断”の原因ともなっています。
科学技術が生活を便利にする一方、使い方を誤ると多くの弊害が発生するのと同様に、SNSもその使い方次第で民主主義を加速することも、また衰退させることにもなります。本書はその後者の側面について、2016年アメリカ大統領選挙の実態に迫りつつ、もはやSNSなしでは成り立たない現代において、SNSか -
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NHKクローズアップ現代+の「追跡! 脅威の“海賊版”漫画サイト」「追跡! ネット広告の“闇”」「追跡! “フェイク”ネット広告の闇」、ネット広告の“闇”を探るシリーズをまとめたものです。
ネット広告がタイトルなのに漫画村の話題がこんなにあるのか不思議でしたが、これまで漫画の違法ダウンロードだけで成り立つのかと思ってました。
広告絡みでも複雑な仕組みで収益を上げてる実態が暴かれる過程を見ると、NHKの調査は価値があるでしょう。
広告が売れないせいで、電通も赤字になるような状況ですから孫請けにして少しでも安くというのでしょうけど、孫請けを管理できないと巡り巡ってテレビや広告代理店に影響は返って -
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”漫画村”騒動はデジタル時代における著作権の問題を浮き彫りにしただけではない。なぜあのような違法サイトが運営を続けられたか。それは端的に言って、違法サイトにネット広告を掲載することで、多額の収益を得られるからだ。
本書は、”漫画村”騒動が浮き彫りにしたネット広告の問題点を、NHKクローズアップ現代取材班の極めて精緻な取材によりまとめあげた一冊。
昨今のネット広告は、金融におけるIT技術を流用して開発された様々な”アドテクノロジー”と呼ばれる技術が用いられている。私自身、これまでアドテク界隈についてはかなり調べたことがあるが、あまりにも技術の進展のスピードが速い上に、本書で提示されるような表 -
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「赤ちゃんポスト」として有名になった「こうのとりのゆりかご」。
2007年に開設され、十年が経過した。
当初考えられていたよりも多い赤ちゃんが、そして一定程度大きくなった子供達が棄てられた。
十年を過ぎた今、この存在を通して、様々な問題を考える。
本書中で記憶に残るのは、ある少年の語った話だ。
その少年は自分が「赤ちゃんポスト」に預けられたその時を覚えているのだと言う。
彼が預けられるまで、母親には様々な葛藤があっただろう。
一概に、ひどい母親だと責めることはできない。
ただ、どうして、と言う気持ちはなくなることはないだろう。
子供を産めない、産みたくない、頼れない、知られたくない....