小前亮のレビュー一覧
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残業すればするほど税金が増える「時間外労働税」が導入された社会。社会全体の残業時間は劇的に滅る一方で介護や教育など、長時間労働の現場で働く人々に起こる様々な事件。彼らのために奮闘する残業税調査官たちの活躍を描くお仕事ミステリ。
本シリーズ第3弾。
過去2作のレビューにも記したが【残業に税を課す】という発想が面白く私のツボを押されまくった末、3部作読破に至った。
シリーズの中で最も労働者にフォーカスしていたため、共感ポイントが多く感情移入も出来て本作が一番読み応えがあった。
今回、題材で挙げられていた職種は介護職、教員職、研究職と、元残業税調査官で法律事務所と業務委託契約したコンサルタント -
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残業代に税金がかかる、というなんとも斬新な働き方改革
そんな方法が!?とハッとして、脳がグッと刺激された
発想力が凄いのって尊敬する
残業させない方法として、ブレーカー落とせばいいじゃん、とか考えてた自分が稚拙すぎるわ…
これ、実現しないのかなぁ
国としても税徴収が増えるのはいいことなんじゃないかと
そもそも、働き方改革とか言ってるけど、やって欲しいことは働かせ方改革なんだよなぁ
働く側が改革起こしていいなら、「定時なんで帰ります」でいいのに
まぁ、日本人なんでそんなことできないんですが…
さてさて、本作はそんな背景の中、残業税を脱税してないか調査するマルサの女ならぬマルザの男が、悪を -
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中国史の小説をものする著者による28人の皇帝の簡単な評伝。
「創業の英雄」(王朝の創始者)
「血塗られた玉座」(クーデターで皇帝になった者)
「見果てぬ夢」(帝位につけなかった者や短命王朝の皇帝)
「天涯をめざして」(精力的に外征を行った皇帝)
「愛すべき皇帝たち」(個性派のいわゆる名君たち)
というカテゴリーで選ばれた皇帝たちについて、各8ページ前後で、簡単な時代背景、主な事績の紹介を通じ、その人となりを著者なりに読んでゆく。
平易な文体で実にサクサク読める。
著名な皇帝はもちろん、高校世界史レベルでは名前を知っている程度の人物まで、するするとその人物紹介が頭に入ってくる。
気になった人物 -
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ネタバレ銀英伝公式同人誌な短編集6編。どの作家さんも普通に外伝を読んでいる気持ちになって懐かしく嬉しい。同盟派なのでヤンの士官学校時代の仲間とのやり取りには終始にやにやしてしまう。著作既読は小川さん石持さん太田さんの3人だったけど皆それぞれの持ち味も上手く混ざっていて流石だと感心した。特に石持さん「士官学校生の恋」におけるキャゼルヌ夫人の名探偵っぷりが正に石持さんでまたこんな過去があるから皆頭上がらないのねー、と本編に繋がりそうな違和感の無さが凄い。藤井さんの「晴れ上がる銀河」ゴールデンバウム王朝初期時代といった一見枠外に思わせて実は礎だったのがとても良かった。締めも効いてる。第二弾あるかな。
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いわば二次創作なので読もうか迷っていたのですが、店頭で見かけちゃったのでつい買ってしまった…(笑)
正伝外伝の新しい供給がないので列伝に手を出してしまうのも致し方ない…が、やはり二次創作なのでイマイチイメージ違うなぁというのもあり、その辺の嫌いな方は読まない方がいいのかな。
執筆されてる作家さん全員を知ってるわけではありませんが著作を読んだことのある方もいて、それぞれの個性が出るものだなぁと。
石持浅海さんの描くオルタンス嬢がすごくすごく碓氷優佳さん(石持氏の作品のヒロイン)っぽかったです(笑)。オルタンス嬢を探偵役に持ってくるところが上手いなぁと。 -
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ネタバレ銀河の歴史がまた一ページ。
公式アンソロジーというものが好きなので、有無を言わずに入手。オーベルシュタインの安楽椅子探偵などと聞いたら読むしかなかった。しかしそれ以上に女装して演劇するヤンにびっくり。しかもミス・マープルもびっくりな安楽椅子探偵がもう一人いらしたという。1となっていますが、ぜひ続けてほしい企画。
「竜神滝の皇帝陛下」ギャグですか。ヒルダとエミールに対して一生懸命になったとき、途端に面白い超天然陛下になるラインハルト様の魅力がたっぷり。思わず吹き出してしまうくらい。
「士官学校生の恋」名探偵オルタンス・ミルベール。未来のキャゼルヌ夫人が華麗に推理を披露する物語。相変わらずヤ -
購入済み
あくまで原作に忠実な作品集
ミステリーものが主体で、一個だけ艦隊戦ものがあります。中には少しひねりすぎた感じのもあるけどおおむね原作の世界を再度楽しめる良作だと思います。
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ユリアン「・・・」
ヤン『どうしたんだい、ユリアン。そんな浮かない顔をして』
ユ「て、提督。この報告書を読まれましたか?」
ヤ『あぁ、なかなか良く出来てるじゃないか。何か不満でもあるのかい?』
ユ「そりゃ、ヤン提督は活躍が報告されてますけど、僕は、言え、私の事はどこ
にも書かれてないんです。不公平じゃないですか!」
ヤ『そうは言うけどね、ユリアン。あのキルヒアイスやロイエンタール、
ミッターマイヤーについても書かれていないよ』
ユ「で、でも提督。あのオーベルシュタインなんて、大活躍じゃないですか」
ヤ『確かに。ユリアン、君は何歳だい。今回報告されているのは、それなりに
年齢を重ねている人の昔話 -
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ネタバレパラっと見た瞬間に「ゔっ…!」と躊躇するほど、文字が詰まっていて会話文もほとんどなく、さぞ読みにくいだろうと覚悟していたら……思いのほか引き込まれて、さほど苦はなく読み進められました。しかしさすがに時間は要した;
これだけの人物がとっかえひっかえ舞台に上がってくるにも関わらず、一人一人をしっかり認識して展開を追えるのは、人物描写の巧みさ故でしょうか。もちろん外見描写のみの話ではなく、各人物の思考や信念、目的のための手段が十人十色で、それぞれにそれぞれの理があるなぁと感心させられました。
玄宗が主人公と見せかけて、高力士の視点による話なので、どうしても「がんばれ高力士ー! まけるな高力士ー -
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ソーシャルサイエンスフィクション。勝手に名付けたジャンル。残業に対して税を課した日本社会を描く。
文章は端的。少し彩りにかけるかもしれ
ないが、作風に非常にあっていると思う。主人公のキャラは最初は取っつきにくかったけど、エピソードが進むにつれて背景が浮き彫りになり親しみを持てるようになってくる。
残業税が導入され、ダブルワークが増えるとか、外国人研修生制度が悪用されるとかなかなか興味深い。過剰に働くことが罪となる世の中はなかなか世知辛いなぁなんて序盤は思ったものの、過労死を扱う頃にはそんなことないのかも。なんて思ったり。冷静に考えると脱税と労災が一緒くたにされてるのだけど、労働基準監督官と主人 -
購入済み
人心掌握術の達人
明の建国の祖というだけでは興味がわかない人も、あの大モンゴル帝国の中心国である元を滅ぼした人間としてみれば興味がもう少しわくかもしれない。
かつて歴史上最大の領土を誇ったモンゴル帝国も分裂後、最大領域のみならず最強だったのがシナを抑えていた元だった。そしてこの最大部分を倒したのが朱元璋であり、しかも元はモンゴル帝国で最初に崩壊した国家となってしまった。
ちなみにロシアなどは15世紀後半になってようやくタタールのくびき(キプチャク)より独立できたのだから、朱元璋の軍事力の強さはそれだけでも歴史的なものだった。
この小説は貧農~乞食僧より白蓮教に加わり、持ち前の人心掌握術を駆使し