小前亮のレビュー一覧
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唐の始祖ゆえに
李世民は唐の実質上始祖ゆえ、期待したのだが、読者によっては毀誉褒貶があろうと思われる。シナの歴史的英雄ゆえ瑣末でもよいからきいたことのないような蘊蓄がほしかったが。
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忽然と消えた自殺者の遺体。
何故彼は自殺したのか。
誰が彼の遺体を隠したのか。
そもそも本当に自殺だったのか。
捜査のために大学を訪れた堅田と日比野は関係者に事情聴取をしようとするが、大学総務部の芳村によって監視されながらの聴取となってしまう。
あらかじめ決められた台本を話すように、関係者たちの証言は画一的だ。
残された自殺者の携帯電話。
そして、関係者たちの証言。
堅田はそこから真実を探りあてようとする。
日比野のキャラクターが多少うざかったけれど、設定として狂言回しの役回りを与えられているようなので仕方がない。
空気の読めなさや想像力の足りなさはともかく、それなりに優秀な面を持った刑事として描かれている。
一方の堅田は、物語の中盤で思いがけない過去が判明したり、かなり優秀な頭脳を持つ刑事らしい。
変わり者だけれど観察力、洞察力、推理力を物語の中でも発揮している。
それにしても年間10名以上の人間が自殺している現実が問題になっていないことが不思議だ。
遺族にとっては自殺した子供は希望の星だっただろうに…。
それなりの金銭的な補償などはあったかもしれないが。
事情聴取の中で徐々に明らかになっていく事実。
その過程が面白かった。
証言者によって微妙に変わっていく事実。
そして、まるでヒントを与えるかのような挑発的な発言。
日比野の無神経さや鈍さにちょっとイラつきながらも、想像していなかった結末に最後まで楽しむことができた物語だった。 -
購入済み
北宋は日本と特異な関係の王朝
この著作は北宋の開祖で初代皇帝となった趙匡胤の物語だ。
ただ日本ではこの人物があまり人気がないばかりか有名でもない。そもそも北宋自体が歴代のシナの王朝の中で、領土的にも小さく、また軍事力も弱いため歴代北方民族に侵攻されては敗北をつづけていたという、いわばパッとしない王朝故是非に及ばずかもしれない。
しかるに日本との関係を考えると、この北宋という国は決して無視できない存在となっている。
確かに北宋は軍事では弱かったが経済大国であり、そのため遠くアラビアやペルシャからも商人たちが渡来し海外貿易が盛んであり、記録上ではユダヤ人移住者が初めてこの時代シナの歴史文献に記載されているほどだ。
こうした貿易大国ゆえ近隣諸国であった日本とも民間による私貿易が活発であり 特に平清盛時代は大量の宋銭が輸入され、これが日本の貨幣経済の実質上の始まりとなっている(確かに奈良時代には和同開珎という国産貨幣が鋳造されたがこれらは今でいう記念コイン程度の役割しか果たさず、国民の多くは清盛時代まで物々交換をしていた)。
二番目は元寇とのかかわりあいだ。南宋時代、元帝国はこれを包囲するため、貿易相手国の日本を配下に入れようとし、それが拒否されると文永の役を起こし失敗する。その直後ようやく南宋を征服すると、今度は日本への復讐戦となり、支配にいれたばかりの南宋人をモンゴル・朝鮮人以上に動員して日本を攻撃するという弘安の役を起こす。確かにこの時の南宋人はモンゴル配下で動員されたものであるが、シナとの歴史上、10万近くのシナ人が日本本土を攻撃してきたとい戦役は実はこれが最初で最後なのである。
こうした意味で宋という国家は日本との関わりの中でも特異な関係がるあ王朝ゆえ、私はその始祖である趙匡胤に興味を持った次第である。 -
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ネタバレ明朝を滅ぼすと予言された十八の子(李という漢字を分解したもの)2人を主軸の主人公に、万里の長城の外にいる次の統一王朝清の皇帝ドルゴンとその異母弟ドドを脇の主人公に配した、中国史小説。
時系列に沿って淡々と進んでいく話は面白いものの起伏にかけてる感じがして、時々ダレる。キャラクターも定型にはまっている感じがしてやや退屈。この辺りまでの小前作品はこなれていないってことなんだろうなぁ。
心に残ったセリフ。
李厳の妻?紅娘子が李厳を振って李自成に抱かれた後,
言い放つ「離れたのは気持だけだ。望むなら、いつでも寝てやるぞ」
すげー振り方、強い女キャラクターだなぁ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ唐の太祖、李世民を主人公にした中国歴史小説。660Pと大ぶりな割に登場人物と物語が大きすぎて薄っぺらいイメージになってしまってるのが残念だなぁ。
小さい章立てで戦や歴史上の事件を次々と描いていく手法は「ここんとこの話もうちょっと掘り下げて読んでみたい」と思う事仕切り、一人一人の登場人物達もそれぞれ実に魅力的で、もっとじっくり向き合いたいのに意外とあっさり舞台からいなくなったり、脇役になってしまったりするのが残念
ただ、この手法を試行錯誤し研鑽した結果が「月に注ぐは清き酒」になっていくのだと分かっているので、デビュー作であるが故の荒削りさと認めてしまえる。
主人公李世民は好人物すぎ。これじゃかえって個性が埋没してしまってると思う。兄貴や父親の方がキャラとしは立ってるよぉ。 -
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織田信長は本能寺で死亡。それが、学校で習う歴史です。
その歴史を変えてしまおうと目論む陣営。そうはいかないと、改変を許さない陣営。
その争いに中学生が巻きこまれて・・・みたいなお話。
小前亮作品としては、かなりテイスト違います。読者層の狙いが違うんでしょうね。
本能寺で信長暗殺の前に、既に穴山梅雪が暗殺成功している歴史が事実としてある。そのことにびっくりです。
なんでも、信長暗殺という事実さえ同じであれば、些細な違いは、歴史の流れの中の誤差になるそうで。
信長が死ぬか、死なないかが重要なことだそうです。
なんだか、自分が教わってきた歴史が、この物語のように改変されてきたかのような錯覚してしまいました。
単純です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ塚本先生と同じ題材で勝負してくるとは、なかなかの度胸です。
この小前先生は塚本先生のような自由人と違い、丹念にエピソード
を積み重ねる堅実派です。
執筆当時の年齢が30前だったせいか、登場してくる人物の存在感と
きたら、まるでペラペラの薄紙のようです。
ですが中国語を読めないけれど、小説等で楽に「李世民」を
読みたい、私のような人間には有難い作者です。
大家になる感じは全くなさそうですが、これからもコンスタントに作品
を出し続けながら、少しずつ成長してほしい人材です。
若者を暖かい目で見守れる方か、塚本先生の濃い人物描写(笑)が
苦手な人にオススメです。