小前亮のレビュー一覧
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「残業税」の3冊目。
最初の巻はさほど面白いと思わなかったが、2冊目3冊目とまずまず楽しく読めるようになった。
残業税そのものに焦点を当てるのではなく、「残業税が導入された社会」という設定の中で殺人事件の謎解きや社会派ミステリーにしたのが良かったみたい。
ということで、今回は前作で国税局の助っ人として動いていた砧が特別監査室に配転になり企業に脱税を指南する悪徳法律事務所を追う話に、これまでも登場した矢島と西川のコンビが介護や教育の現場での残業税の脱税摘発に動く話を絡めて進む。
介護職や教師の仕事は大変な割には労働環境の改善がなされず、そこで働く人々の使命感や責任感におんぶにだっこになっている、そうした現場の状況やそこで働く人の悩みがちゃんと描かれており、作者が現在の労働環境を憂い必要な人員配置がなされサービス残業などがない社会を強く望んでいることがお話を通じて良く伝わった。
私もいまだに昭和な働き方をしているので、残業税が導入されたら即刻マルザの餌食になるだろうと自覚する。 -
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前に読んだ「残業税」の続編。
と言っても、前作に出てきた西川は使い走りで、矢島はほとんど友情出演の体。主要な登場人物は全く変わっているので、姉妹編と言った方が良いみたいな感じ。
ひとりの残業税調査官(マルザ)が殺され、その犯人と背景の真相を巡って、相棒だった労働基準監督官、事件を追う警視庁、現場となった群馬県警、スキャンダルを恐れ警察より早く真相に辿り着きたい国税庁がくんずほぐれつ。
それぞれの調べが進む内に、ある企業グループの存在が浮かび上がってくる…という展開は、普通に犯人捜しのミステリーになって、まずまず面白く読めた。
ただ、犯人の動機が弱かったり、企業グループの親玉の悪の存在感が存外小さかったりで、騒いだ割にはちまちました話になってしまったように感じた。
前作の感想で『突っ込みどころも多く』と書いた残業税に、逆手を取ったか「残業税の致命的な欠陥」が脱税のキーポイントになっていたが、給与計算や確定申告の仕組みが分かっていないと、理解が難しいように思った。 -
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ネタバレ【収録作品】マルザの日常/脱税のトライアングル/誇り高き復讐者/メテオの衝撃/逆襲のクリスマス・イブ
残業税という言葉のインパクトに惹かれて読む。
それがなくても、ブラック企業のやり甲斐搾取の話は普通に通じる。
矢島の誠実に仕事をする姿勢は好もしい。だからこそ、「けじめをつける」とかで、離婚しながらも矢島を応援する元妻の姿勢にはもやもやする。そこまで夫を理解しているのなら、親より夫だろう、と思うのだが。
だいたい、身内を摘発したことを「情がない」という人たちは、身内を庇えば「依怙贔屓」だと言うだろう。
あれを摘発してこれを摘発しないというのは不公平なわけで、その線引きをするのが、法治主義においては「法律」、というだけなのに。
恣意的に「お友だち」ならOKとする社会は嫌だ。 -
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新宿労基署の残業税調査官が、山林で他殺体となって発見された。国税局の職員・大場莉英に、警察より先に事件の真相を探れという特命が下る。警察、国税局、労基署それぞれの視点から働くことの意味や法制面の矛盾に鋭く斬りこむお仕事小説withミステリ。
前作・残業税の着眼点がツボで、シリーズ化されていると知り、古本屋を数軒巡るも出逢えず、かと言って新品で買うほどの熱量までに至らず、スマホで検索していた時某フリマサイトで発見、力強くポチった。
前作でもレビューしたが、「残業に税を課す」と言う発想が面白い。
正に私も労働者である故、日頃から法制面においてはアンテナを張っていたり、もしも自分に法令制定の権利が与えられたなら…とたまに妄想していることもあり、この著者の視点には勝手に共感しているクチである。どうかこんな根暗で不気味な私を引かずに横目、もしくは薄目で見守っていただきたい。
本来、法は国民の生活を守り、秩序を保つためのものである一方、その法理によって真っ当な労働者を苦しめたり、時に犯罪を生む側面があるのも事実である。
この前提を活用し、実際に殺人事件を取り入れたシリーズ第2作となる本作、私的には読み応えがあった。
ハッキリ申し上げるならば本作品、殺人事件はショボい、ミステリ作品としては10点満点中2点、大したオチもなく、ストーリーとしての面白味は正直ない…というのが私個人的総括。
だがしかし、本作はシリーズ作にも関わらず制度はそのままで主人公を変え、脇役を繋ぎとした大胆設定が斬新だったこと。また、警察官、犯罪者、殺人犯、国税調査官、労働基準監督官、経営者、営業マンなどが登場、それぞれの立場・視点の語り部があって、そのセリフが妙に腑に落ち響く。主人公・大場莉英の合理的な心境面の表現やドSな発言には惚れ惚れするし、犯罪者兼経営者の『脱税ではない節税だ』と解く屁理屈っぷりはお見事。営業マンの営業マンシップに則った思想も頷けて面白い。トドメは脱税の手口のリアリティさだ。そりゃ確定申告せな分からん。
以上の通り、もはやプロット云々ではなく、著者の発想力と地頭力を評価したい作品である。
昨今、コロナ禍で改めてフォーカスされた税金の使われ方。我々の血税が然るべきときに、必要なところへ正しく投じられますように。
どうやら本作は3部作のようで、またポチッとした次第である。
あ、私の好きなジャンルですか。
ミステリです。 -
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残業に税金を課す「時間外労働税」が導入。これに伴い、社会全体の残業時間は劇的に滅る一方で、サービス残業という【脱税】も横行し始める。税務署の残業税調査官と労基署の労働基準監督官がコンビを組み、ブラック企業を取り締まるお仕事小説。
3か月ぶりに立ち寄った古本屋。
右を見ても本。
左を見ても本。
上を見ると天井。
下は床。
やはり本屋って良いな。
文庫本物色中、陳列された中に【残業税】の文字を発見。(おや、そんな税金あっただろうか。)
無性に気になって入手に至った。
言わずもがな【残業税】はフィクションなのだが、発想、着眼点が面白いではないか。
働けば働くほど会社(使用者)だけでなく労働者にも税金を課す。更に時間外労働時間ごとに税率変動を設けるなど、リアルな設定が良い。
残業税の建て付けは以下の通りだ。
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正式名称は時間外労働税。
労働基準法では、1日8時間または1週間40時間を法定労働時間と定めており、これを超える労働については、割増賃金を払わなければならない。この割増された賃金の2割が、時間外労働税として労使折半で国に収められる。
たとえ残業代が支払われなくても、残業すれば納税義務は生じる。だが、実際には、残業代を払わずに残業税だけ天引きする事業所はない。そのため、「サービス残業は脱税」という表現になるのだ。
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働き方改革が推進され、過重労働防止やら有給取得義務やらの関連法や指針の改正が随時なされている近年。
本作品の発刊が2015年とのことなので、著者の斬新な先取りアイデアが素晴らしい。また、目的が異なる税務官と労基官をコンビにするあたり洒落ている。
労働基準監督署の西川の熱血漢でムラのある行動言動、一方で多くを語らず冷静に論理的に物事を組み立てていく残業税調査官の矢島の凸凹なやり取りが良い。
しかしながら、全体的な物語としては今ひとつ起伏や展開の秀逸さ、面白みに欠けた印象は否めなかったのが残念。
どうやら、本作はシリーズ化されているようなので続編に期待。ついでに私の残業が減ることにも期待したい。
本日は新年度初日。
成人年齢引き下げの民法改正や、育児介護休業法の改正、私が産声をあげた日であるなど、公私ともに歴史的な1日であった。 -
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中国・南北朝時代の宋の皇帝、劉裕一代記。
剣の力だけを頼りに成り上がり、ついに皇帝までたどり着いてしまった劉裕。戦場での彼の強さは、ベルセルクのガッツの傭兵時代を思い出しました。理想や野望の下に戦っているわけでないけども、いつの間にか組織を率いる立場になってしまった。
信じるものは、自分のみ。というきらいがないわけでないけども、自分にできることできないことの判断が的確だったのかな、と思いますね。
良くも悪くも、周囲の人間を師匠にすることができたからでしょうか。
自分についてきたものには、いい思いをさせてやりたい。
劉裕の心底にあって、揺るがなかったものは、これなのだろうなぁ。 -
購入済み
28人で一冊は多すぎたのでは?
著名な皇帝たちがオンパレードという感じだが、一冊の本では当然仔細まで十分には表現できない。それゆえ初心者向けのシナ歴史としてはお勧めできるかもしれない。