小前亮のレビュー一覧
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忽然と消えた自殺者の遺体。
何故彼は自殺したのか。
誰が彼の遺体を隠したのか。
そもそも本当に自殺だったのか。
捜査のために大学を訪れた堅田と日比野は関係者に事情聴取をしようとするが、大学総務部の芳村によって監視されながらの聴取となってしまう。
あらかじめ決められた台本を話すように、関係者たちの証言は画一的だ。
残された自殺者の携帯電話。
そして、関係者たちの証言。
堅田はそこから真実を探りあてようとする。
日比野のキャラクターが多少うざかったけれど、設定として狂言回しの役回りを与えられているようなので仕方がない。
空気の読めなさや想像力の足りなさはともかく、それなりに優秀な面を持った刑事とし -
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北宋は日本と特異な関係の王朝
この著作は北宋の開祖で初代皇帝となった趙匡胤の物語だ。
ただ日本ではこの人物があまり人気がないばかりか有名でもない。そもそも北宋自体が歴代のシナの王朝の中で、領土的にも小さく、また軍事力も弱いため歴代北方民族に侵攻されては敗北をつづけていたという、いわばパッとしない王朝故是非に及ばずかもしれない。
しかるに日本との関係を考えると、この北宋という国は決して無視できない存在となっている。
確かに北宋は軍事では弱かったが経済大国であり、そのため遠くアラビアやペルシャからも商人たちが渡来し海外貿易が盛んであり、記録上ではユダヤ人移住者が初めてこの時代シナの歴史文献に記載されているほど -
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ネタバレ明朝を滅ぼすと予言された十八の子(李という漢字を分解したもの)2人を主軸の主人公に、万里の長城の外にいる次の統一王朝清の皇帝ドルゴンとその異母弟ドドを脇の主人公に配した、中国史小説。
時系列に沿って淡々と進んでいく話は面白いものの起伏にかけてる感じがして、時々ダレる。キャラクターも定型にはまっている感じがしてやや退屈。この辺りまでの小前作品はこなれていないってことなんだろうなぁ。
心に残ったセリフ。
李厳の妻?紅娘子が李厳を振って李自成に抱かれた後,
言い放つ「離れたのは気持だけだ。望むなら、いつでも寝てやるぞ」
すげー振り方、強い女キャラクターだなぁ。 -
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ネタバレ唐の太祖、李世民を主人公にした中国歴史小説。660Pと大ぶりな割に登場人物と物語が大きすぎて薄っぺらいイメージになってしまってるのが残念だなぁ。
小さい章立てで戦や歴史上の事件を次々と描いていく手法は「ここんとこの話もうちょっと掘り下げて読んでみたい」と思う事仕切り、一人一人の登場人物達もそれぞれ実に魅力的で、もっとじっくり向き合いたいのに意外とあっさり舞台からいなくなったり、脇役になってしまったりするのが残念
ただ、この手法を試行錯誤し研鑽した結果が「月に注ぐは清き酒」になっていくのだと分かっているので、デビュー作であるが故の荒削りさと認めてしまえる。
主人公李世民は好人物すぎ。これじ -
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織田信長は本能寺で死亡。それが、学校で習う歴史です。
その歴史を変えてしまおうと目論む陣営。そうはいかないと、改変を許さない陣営。
その争いに中学生が巻きこまれて・・・みたいなお話。
小前亮作品としては、かなりテイスト違います。読者層の狙いが違うんでしょうね。
本能寺で信長暗殺の前に、既に穴山梅雪が暗殺成功している歴史が事実としてある。そのことにびっくりです。
なんでも、信長暗殺という事実さえ同じであれば、些細な違いは、歴史の流れの中の誤差になるそうで。
信長が死ぬか、死なないかが重要なことだそうです。
なんだか、自分が教わってきた歴史が、この物語のように改変されてきたかのような錯覚して -
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ネタバレ塚本先生と同じ題材で勝負してくるとは、なかなかの度胸です。
この小前先生は塚本先生のような自由人と違い、丹念にエピソード
を積み重ねる堅実派です。
執筆当時の年齢が30前だったせいか、登場してくる人物の存在感と
きたら、まるでペラペラの薄紙のようです。
ですが中国語を読めないけれど、小説等で楽に「李世民」を
読みたい、私のような人間には有難い作者です。
大家になる感じは全くなさそうですが、これからもコンスタントに作品
を出し続けながら、少しずつ成長してほしい人材です。
若者を暖かい目で見守れる方か、塚本先生の濃い人物描写(笑)が
苦手な人にオススメです。 -
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唐が滅び,五代十国時代,後周の初代皇帝となった郭威の養子である紫栄(後周の2代皇帝)に認められ,一時期は紫栄と敵同士であった趙匡胤であるが,その人柄に惚れ,臣従することになる。紫栄が崩御した後,紫栄の息子が第3代皇帝となるが,才覚がなく,これでは紫栄の夢であり実現間近の中国統一も本当に夢に終わると思い,趙匡胤は禅譲を迫り,宋を建国する。趙匡胤は武勇や人徳には秀でたものがあったが,戦略と言う観点からは,やはり,後周時代に紫栄から与えられた臣下の趙普や趙匡胤の弟で宋の2代皇帝となる趙匡義(匡が皇帝と同じであるため改め,趙光義)の補佐があったことが大きい。特に趙普については多くは語られていないが,皇
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唐の2台皇帝 太宗 李世民の話。
著者のデビュー作。有名だけど日本ではあまり歴史小説として登場しない李世民についての本だ。中国モノは登場人物の名前が覚えにくいが,本作品もその例に漏れない。読みにくい漢字名が多く,しかも振り仮名が余り無いため,ちょっとしんどい部分があった。所々に人物のきらりと光る一言や情景が記されているが,前後の脈絡から考えて,結構唐突感があった。これも,デビュー作ということで次作に期待してみよう。総じて歴史も追えて楽しい作品であった。1巻660ページと大作だが,たくさんの魅力的な武将や智将が登場するので,4巻程度楽しみたかった思いもある。また尉遅敬徳という武将が最後の方になっ