この巻は最終巻一歩手前ということで戦況が白熱。
主人公バナージと周りの人物との語りの中で、ニュータイプの肯定と否定という永遠ともいえるテーマがこの本でも浮き上がっている気がしました。
ニュータイプである主人公は他人ことを「解る」ことができるが故に、人々が解り合えると思う。しかしながら、他のニュータイプになりきれない人々にとっては心にずかずか入り込まれるのは耐えられなく、確執が生まれる・・・。という宇宙世紀ガンダムシリーズでお馴染みの展開が。
「ニュータイプVSオールドタイプ」の他にも、SEEDシリーズの「コーディネイターVSナチュラル」のように、ガンダムシリーズではよく見られるテーマですが、人の間に生まれる格差というのは難しい問題ですよね・・・。
シャア、もといフル・フロンタルが行き着いた立場を表すセリフ「変わろうとしない者に変われと訴え続けるか、変わらぬことの結果を示すか。後者を選んで私は器になった」「器に注がれた意思、スペースノイドの総意が叫んでいる可能性はいらない。受けいられる結果を示せ、と」がいろいろと辛いセリフでした・・・。
話は変わりますが、バナージVSフル・フロンタル戦での
・フロンタル「若気の至り!」
・バナージ「中年の絶望を押し付けてもらっては、困る!」
の言い回しが面白かったです。
あとから思い出してみると、いままでのガンダムシリーズでの主人公やシャアのセリフを皮肉っている気がしてさらに面白い気がしてきました。
この巻でも何人か死亡描写がありますが、その中にいままでに登場していた重要人物が一人含まれています・・・。
巻の途中から死亡フラグがどんどん立っていたので、ハラハラしながら読んでいたら案の定・・・。
ガンダムシリーズでの人の死はつきものですが、魅力あるキャラクターの死はやっぱり辛いものです。
重要な役割を果たすための必要な犠牲だったとはいえ、生きる可能性も見てみたかったなあ・・・。