河合莞爾のレビュー一覧

  • かばい屋弁之助吟味控

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    河合莞爾『かばい屋弁之助吟味控』祥伝社文庫。

    これまで近未来警察小説やちょっと毛色の変わった小説を書いて来た河合莞爾にしては珍しい時代小説。まさか新刊文庫が時代小説とは思っていなかったので、行きつけの本屋で新刊文庫の書棚を探しても見付からず、店員にお願いして見付けてもらい、やっと購入。どうやら時代小説の書棚に収まっていたようだ。

    時代小説と言ったが、普通の時代の小説ではない。言うなれば、時代お白洲法廷ミステリー小説だろうか。主人公の弁之助が、お白洲で無実の者を弁護し、見事に冤罪を晴らしてみせるのだ。

    痛快無比。謎が謎を呼び、その謎が全て明かされるや、気分爽快。見事な時代お白洲法廷ミステリ

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    2024年07月03日
  • ジャンヌ ―Jeanne,the Bystander

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     数ヶ月前であれば、恐らくただのSFミステリ=エンタメ小説とだけ思って読んだことだろう。
     これは日本の抱える人口動態の問題、その行く先を端的に指し示したものであると同時に、「人間とは何か?幸福とは何か?」の問いに応えようとする哲学の入門書でもある。
     失われた30年の結果である「今」、そして「未来」において人は幸福をどのように考えるとよいのか?善悪の問題や介護問題、そして国防問題も絡めながら考えられるよい書籍だった。

     個人的には、コスモ・バビロニア主義における洞察力に優れた人(ニュータイプ)による統治が最も合理的であるように思うが、この論を出した瞬間、差別の問題が起きてくる。ヒトはその本

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    2024年06月05日
  • 800年後に会いにいく

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    文庫本の表紙の裏に書いてあった8行のストーリーを読んで、すぐに手に取りました。
    どうやって800年後に行くのか、壮大な設定にとてもワクワクしました。
     タイムスリップ物は、時空の穴みたいな所にいつの間にか紛れ込んで、とか意識失って気づいたら、というのがお約束ですが、このお話では現実的なタイムスリップ方法が書かれていて本当にいつかできるのではないかと思わされます。
     物理、生物、科学、哲学、神話、などなど教科書を読んでいるような難しい言葉が沢山出てきます。ストーリーを追うだけで精一杯でしたので、すべてを理解するために、もう一度読みたいと思います。
     想像していたような結末ではなかったのですが、S

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    2023年10月13日
  • ジャンヌ ―Jeanne,the Bystander

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    ロボット三原則があるにも関わらず殺人を行ったロボットの犯行理由、原則の回避方法を巡るお話

    以下、公式のあらすじ
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    彼女は、なぜヒトを殺せたか?
    改変不能の「自律行動ロボット三原則」を埋め込まれ、バグもなく正常な家事ロボット〈ジャンヌ〉。
    “不可能な殺人”を犯した彼女に対峙した刑事が、衝撃の事件の先に見たものとは――
    まさに今読むべき、大興奮のSF×ミステリ・エンターテインメント!

    「私は、自律行動ロボット三原則に逆らう行動はできません」
    人口が5000万人まで減少した2060年代、ロボットの存在は珍しいものではなくなっていた。
    ある日、警視庁の刑事・相崎按人は

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    2023年09月17日
  • カンブリアⅡ 傀儡の章 警視庁「背理犯罪」捜査係

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    シリーズ第二作。都知事選のライバル二人が死んだ。運転が思うようにできなくなったり、車が突然襲って来たりして。超能力者による背理犯罪なのか? すごく面白かった。超能力者による犯罪だとどうやって認定するのか、どうやって逮捕するのか、公判維持できるのか?そういう痒いところ全てに手が届いてる。 現職知事が学歴詐称したりできもしない公約をぶち上げ一つも実践できないなど、あの都知事をモデルにしてるとか思えない。彼女に対してかなり批判的なのが作者の考えなのだろう。 結末は次作に続く。

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    2023年06月19日
  • カンブリアⅢ 無化の章 警視庁「背理犯罪」捜査係

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    前作の続き。超能力者の逮捕を警察庁が禁止した。特殊八係が考えた、伊沢を逮捕する方法は。伊沢の息子高山宙はどこに。やくざ、都知事との関係。


    これもまたすごく面白かった。超能力をあるものだと認めてしまえば、あとは正統派警察ミステリー。都知事のキャラが腹立たしいほど立ってる。

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    2023年06月13日
  • カンブリア 邪眼の章 警視庁「背理犯罪」捜査係

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    早く早くと思うあまり、頭で理解するより文字を追うほうが早くなってしまうくらいおもしろかったです。ありえないと思いながらも、もしかしたらありえなくないのかも…と思わせられるのも、一生懸命な登場人物たちも好きです。
    誤植がちょっと残念。

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    2023年05月28日
  • カンブリアⅢ 無化の章 警視庁「背理犯罪」捜査係

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    河合莞爾『カンブリアⅢ 無化の章-警視庁「背理犯罪」捜査係』中公文庫。

    シリーズ第3作にして、シリーズ完結編。

    数々の不可思議面白ミステリーを執筆している河合莞爾らしい奇抜な設定の警察小説である。

    前作で広げた大風呂敷は見事に全て回収され、読後に爽快感を覚えた。これが河合莞爾の計算通りだったとしたら、シリーズ第1作で物足りなさを感じ、第2作でもう一歩かなと思った自分は穴があったら入りたいという気分だ。

    ストーリーは第1作から続き、常識に反した能力を持つ人間による犯罪、背理犯罪を捜査する特殊八係に所属する尾島到と閑谷一大のコンビが再び奇妙な事件の謎を追うというものだ。

    しかも、今回は都

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    2023年05月12日
  • 粗忽長屋の殺人(ひとごろし)

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    古典落語の世界を舞台に展開される、4席からなる連作ミステリー。
    隠された謎に迫る長屋の馴染みの面々が愉快。話の最初にそのお話のもとになっている落語を簡単に説明してくれているので、落語に詳しくなくても楽しめるから有り難い。
    また、吉原と関係が度々でるけどその説明もきちんとしてくれて話の理解度があがる。けど辛い。セリフの掛け合いもテンポが良く、おもてなしなどの時事要素も上手く織り交ぜているので落語に普段馴染みのない人でも楽しめると思う。そして1番かっこいいの伊達綱宗公だった。

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    2023年04月29日
  • 豪球復活

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    野球の話だから、面白くないことはないと思っていたが、これ程とは。さしずめ野茂がモデルなんだろうなという野球の部分は当たり前に詳しく面白く、最近流行りの回転数とかの話も出てきてなるほどなと思わせながら、一方で、設定はありきたりの殺人事件なんだけど、主人公の造形描写にあんな捻りがあったとは…
    この作家もまた、別の著書も読んでみたいな。

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    2023年02月17日
  • ジャンヌ ―Jeanne,the Bystander

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    めちゃくちゃ面白かった。
    こうなってもおかしくないなと思う未来で起きる、人間に危害を加えられないはずのロボットの殺人。
    哲学的だし、色んなことについての理解だったり、考え方だったりがすごく深くて、読んでよかった。

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    2023年01月08日
  • ジャンヌ ―Jeanne,the Bystander

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    河合莞爾『ジャンヌ Jeanne, the Bystander』祥伝社文庫。

    感動の近未来SFミステリー小説。

    非常に面白い。アイザック・アシモフが提唱した『ロボット三原則』への挑戦が1つのテーマになっている。AIにより自ら考えて行動するロボットは自らの思考により『ロボット工学三原則』の壁を乗り越えて行動する。

    ロボットが殺人を犯した理由は……

    殺人現場に呼び出された警視庁第一機動捜査隊の相崎按人は、ジャンヌという名前の女性型ロボットが主人を殺害し、風呂場で死体を洗浄する現場に遭遇する。

    相崎がジャンヌを尋問すると犯行を認めたものの、動機については守秘義務を盾に黙秘した。その上で、ジ

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    2023年01月05日
  • 豪球復活

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    記憶を失くしたプロ野球選手の矢神大。
    リハビリ先のLAから失踪し、ハワイでホームレスになっているところを球団のブルペンキャッシャー・沢本に発見される。
    記憶を失くし、投球方法も忘れてしまった矢神を球界に復帰させるべく、沢本は奔走する。
    しかし、矢神には高校時代に消えるボールで人を殺した容疑がかけられていた・・・
    球団の支配下にある投手が失踪し、記憶を失う・・・何とも奇想天外な設定だが、これが面白かった!
    投球術の描写も細やかで、映像が頭の中に浮かぶよう。
    高校3年で甲子園で活躍し、一躍時の人となり、プロになっても160キロを超えるピッチャーとして、勝率も8割を超えるなんて、実際にこんな選手がい

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    2022年12月29日
  • 800年後に会いにいく

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    素晴らしく読者の想像力を刺激し意表を突きつつ予定調和の世界へ。
    筆者の物語は自分の好みにとても合うようだ。

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    2022年12月22日
  • 800年後に会いにいく

    購入済み

    物語は生き続ける

    後書きより、悲しみや恐怖が幸せな未来を作るはずがない。生まれた物語は消えない。っといった言葉が示すように、物語と心のお話だが、そこに科学が密接に絡んでいてとても面白かった。あと、環境問題なども含めて、未来について考えさせられた。物語の構成が良かったです。

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    2022年05月05日
  • カンブリア 邪眼の章 警視庁「背理犯罪」捜査係

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    SFもどきの展開にどう落とし前つけるのかが気になった。が、全体に凄く満足。主人公二人組がちょっとヒーロー過ぎるかな、とは思ったが伏線も回収してるし、スピード感もあるし、荒唐無稽な感じも、重い材料をやわらげている。今迄ににない作品。次作にも期待。

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    2020年06月19日
  • 粗忽長屋の殺人(ひとごろし)

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    落語を舞台にしたミステリとかは結構読んだことありますが、どれも「寄席」を題材にして噺家さんが謎を解いたりとかだったんですがこれはすべてが噺の中で完結しているのがすごい。有名な噺の中で謎を見つけて、おなじみのはっつぁん熊さんがどたばたしながらもその真相をご隠居が解き明かし、落語としてもきちんと成立している。すごいですよこれは。もっと評価されてもいい一冊。
    子供のころから落語の本を読むのが好きで、ミステリも大好きなんですがそんな自分にはこの上ない最上の本です。かなり限定された褒め方ですけども。
    これ続編とかでないのかなあ・・・本当に心の底から切望します。

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    2019年04月10日
  • 粗忽長屋の殺人(ひとごろし)

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    河合莞爾『粗忽長屋の殺人』光文社文庫。

    古典落語と安楽椅子探偵の活躍するミステリーとが見事に融合した笑いあり、涙ありの非常に面白い連作短編集。落語の如く『口上』から始まり、『短命の理由』『寝床の秘密』『粗忽長屋の殺人』『高尾太夫は三度死ぬ』と、古典落語をベースにしたミステリー短編四編が描かれる。

    いずれの短編も元になった古典落語の粗筋紹介があり、その後で本編が始まるという懇切丁寧な構成になっている。そして、探偵役を務めるのは大家でもあるご隠居さんの幸兵衛で、その手下となるのが熊五郎と八五郎というのがパターンのようだ。

    河合莞爾というと『デッドマン』から始まる一風変わった警察小説シリーズが

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    2017年10月22日
  • ダンデライオン

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    鏑木警部補チームの3弾目。
    今回は 姫野の 過去に焦点が すえられていく。
    そして、より洗練されていく警察小説。
    主眼は 警察ではなく その事件のもつ物語性を語ろうとする。
    河合莞爾の優れた手法は 時系列を 巧みに 操って、
    過去の事件を浮かび上がらせ、現在の事件とともに、
    解明する。
    今回は 姫野の父親の殺害、牧場での空飛ぶ死体、
    屋上での開放密室ヤキトリ事件の三つが重なる。

    『空飛ぶ少女』の童話の導入。
    宮崎駿の 空から堕ちてくる少女 とリンクするが、
    その童話は、幸福には 満ちていない。
    三つの作品を見ても、解決することで、
    幸せになるかと言うと そうではない 苦みがある。

    たんぽぽ

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    2016年08月21日
  • ダンデライオン

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    奇妙な事件ばかりを描いた警察小説シリーズの第3弾。シリーズを重ねる度に確実に面白くなっている。それだけに次は一体どうするんだろうというお節介な不安も…

    過去と現在とを交互に描きながら、全く違和感の無いテンポ良く展開するストーリー、全ての謎が綺麗に回収されていく心地良さと魅力的な登場人物。見事と言うしかない。

    東京の山間部の廃牧場のサイロで見付かった16年前に失踪した女子大生の変死体。さらには汐留の高層ホテルの屋上で起きた議員秘書の焼死事件。警視庁捜査一課の鏑木班が二つの変死事件の謎に迫る。

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    2016年08月01日