村上しいこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
戦後80年のこの夏、読んで良かったと思える本に出会えた。
倉田山高校2年の遙瑠は、演劇部に所属している。今年の演目のテーマを戦争にするか、日常の面白おかしく作品にするかで意見が分かれていた。
どうやら戦争になったことで、もやもやとした気持ちのまま帰宅中に事故に遭う。
そして気づくと遙瑠は、昭和33年の高校生、浜口晴子になっていた。
昭和33年、まだ戦争の跡が色濃く残っていて、晴子として生活していくなかで、友人の紗代や恵美子や真一たちが何を感じているのかが、真っ直ぐに伝わってきた。
中高生にも戦争についてどう考えているのか、この本を読んで語ってほしいなと思う。
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Posted by ブクログ
短歌を詠む「うた部」の高校生のひと夏を描いた物語です。
主人公の桃子は、「高校では友人を作らない」と決めで新生活をスタートさせます。同じ中学校から進学したものの引きこもりになってしまったかつての親友・綾美との関係もぎくしゃくしたまま。
そんな中、2年生の清ら先輩に強引に「うた部」連れていかれて短歌に出会い、「うた部」の先輩たちとともに短歌甲子園への出場をめざして県予選に挑みます。
作中に出てくる石川啄木や在原業平の歌とその解釈は講釈臭くなくてストレスなく頭に入ってきますし、登場人物が折々に詠む短歌は物語と合わさって心に響きます。
ストーリー展開は少しご都合主義というか、「そんな風に上手くい -
Posted by ブクログ
全小学生女子とかつて小学生だった女児母に読んでもらいたい
読み終わって直後、胸がいっぱいで声が出るほど泣いた
まだ思春期と言うには早いけど、大人への道を踏み出すスタートラインについて子達を描いていて、ここから自分を確立する長い道のりが始まるんだな
親として支えていきたいと思わされる一冊
小学校中学年くらいは、もともとの性格やそれぞれの発達進度の違いから、なんか違うよね、と思ったことを排除しがちな年代なのかと思う
大人の言葉の裏にある経験を読み取ることはできないけれど、そこにあるある種のズルさや経験したから分かること、に対しての批判的な視線は成長してる
大人だったら合わないから離れようと思うよう -
Posted by ブクログ
テーマが進路、お金、友情、という切実な内容だっただけに色々考えされられることがありました。
友達だってお互いの環境でその人の受け止め方がかわる。一作目の桃子と綾美と今作で相手への感情が違うように。なので3人のバランスが崩れるのはわかるが、相手を思い遣った発言でもでも、邪魔、という言葉を選んでしまうのは、なんだかなぁ、と。言葉にセンシティブなはずのキャラが言うには残酷な言葉だ。
あとはお金の問題は切実で、故に母親の行動もわかるが、確かに先生の言うとおり、子供の歩くペースもある。スピード感、ペースが合わないって、すれ違いの根本原因だったりするよなぁ。
あと、この作品って別に高校生達に寄り添わ