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Posted by ブクログ
短歌を詠む「うた部」の高校生のひと夏を描いた物語です。
主人公の桃子は、「高校では友人を作らない」と決めで新生活をスタートさせます。同じ中学校から進学したものの引きこもりになってしまったかつての親友・綾美との関係もぎくしゃくしたまま。
そんな中、2年生の清ら先輩に強引に「うた部」連れていかれて短歌に出会い、「うた部」の先輩たちとともに短歌甲子園への出場をめざして県予選に挑みます。
作中に出てくる石川啄木や在原業平の歌とその解釈は講釈臭くなくてストレスなく頭に入ってきますし、登場人物が折々に詠む短歌は物語と合わさって心に響きます。
ストーリー展開は少しご都合主義というか、「そんな風に上手くいくかね?」というところもありましたが、非現実的な展開ではありませんでしたし、感動的で心地よい読後感でした。
シリーズ作品ですので、続刊も手に取りたいと思います。
Posted by ブクログ
言葉の可能性を信じることができる作品にしたい…と、作者は短歌を一から勉強してこの小説を書いたと知り驚いた。
いじめが原因で引きこもってしまった綾美、親友を裏切ってしまった桃子の気持ちがリアルに伝わってくる。
高校の"うた部"の仲間と短歌を通して繋がっていくうちに、物語は明るい方へ動き出す。
いと先輩や清らの恋バナがストレートにうたとして詠まれたり、短歌大会の題詠が「恋」とは、今どきの高校生らしいなと微笑ましく思えた。
傷つきながら、戸惑いながらもそれぞれが懸命に生きている姿に感動した。
表題の「うたうとは小さないのちひろいあげ」が
連歌の上の句であったことが終盤になって明かされる。
桃子の想いを受け止め、綾美が下の句「宇宙へ返す
ぬくもりをそえ」と詠んだ時、やっと二人の気持ちが通じ合った。
私は1人じゃないと信じて生きる!
作者が伝えたかった想いを、私も読み手の1人としてしっかり受け取りたいと思った。
Posted by ブクログ
桃子は高校のうた部に強引に勧誘される。短歌で気持ちや情景をうたうことや、先輩たちに心惹かれる。しかし桃子は幼なじみで不登校となった綾子と、高校では友達を作らないと約束しているのだった。
友達を守れなかった後悔、自分の気持ちがわからず殻に閉じこもってしまう。そんな不登校の苦しみとふたりの友情、それと短歌の魅力が見事に融合された作品。
短歌の魅力を理屈で説明するのではなく、各々が自分の短歌を披露し批評し合う様子で示しているので、桃子とともに自然と受け容れています。
そこに挿入される綾子のブログの形をとった気持ちの吐露。
友人や両親に無理難題を押し付けて、攻撃的になることで己を守ろうとする。しかしそのままでいたくない、友人や両親を嫌いになりたくない。外に出て学校にも行きたい。でも怖い。そんな感情の波がそのまま書かれています。
このブログと短歌は繋がり合うものかもしれません。
自分の気持ちをどう表わすか。
短歌では五七五七七の31文字で表現すると決まっています。制限があるから気持ちをまとめることもできるのでしょう。
そして自分の気持ちをただ吐き出せばいいのではない。伝えたい相手に伝えるためのものである。そのことを意識することで、自分にも届く言葉となるのでしょう。
不登校を扱う物語は、現在たくさんあります。
そこでは自分で制御できない自分の気持ちと、どう取り組むかが問題ともなります。
そしてここでは短歌が核となり、桃子や綾子の気持ちを掬い上げています。
ひとりはいいけど、ひとりぼっちはだめ。重荷は自分ひとりで背負ってはだめ。つらい時に人に頼ることも大切だ。そのために仲間がいる、友達がいる。
うた部の先輩と顧問の先生。素敵な仲間とともに過ごす時間。その心地好さも魅力となっています。
Posted by ブクログ
うた(和歌、短歌)を読む部活、「うた部」で繰り広げられるお話。
先にクライマックスを読んで、印象に残っていて、あらためて購入した。
一年生の桃子が、清ら(せいら)という先輩に強引に部活に勧誘?されるところからのはじまり。
「誰とも友達を作らない」と言う桃子の背後には、いじめをきっかけに、引きこもりから抜け出せない綾美の存在がある。
この作品では、短歌が要所要所で取り上げられていて、地の文を読むのとは違ったスポットを当ててくれるのがいい。
特にタイトル「うたうとは小さないのちひろいあげ」にまつわるエンディングは、うるっと来てしまうくらい、ピッタリだった。
けれど、一方で、部屋から出て来ることのできない綾美が書くブログの文章もまた、いいのだ。
見えないながら、そこに生きている証がある。
文字は、息吹だ。
それを見過ごしてはならないような、気持ちになった。
どうやら三部作らしい。
続編に進めるのが、嬉しい。
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小説・文芸
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