村上しいこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第二次世界大戦を考えさせられる本。
演劇部の遥瑠は高校2年生で次回の上演内容を仲間と討論中。そんな時に祖父の本が自転車の荷籠から落ちそうになり事故にあった…かと思ったら、昭和33年の同じ高校の演劇部の晴子として目覚めた。生活様式や社会通念の差異に戸惑いながらも晴子を受け入れていく遥瑠。そもそも戦争の劇をするか否かで討論していたのだったが、この時代はまだまだ、戦争を体験したばかりの人たちが大人で、皆、色々な思いを抱えて生きていた。
私が子どもの頃よりもう少し昔の時代に飛んだJK遥瑠。順応していく様子も読んでいて楽しかったし、戦後の生活の中で考える戦争も新鮮だった。戦争を全肯定する教育で育って派兵 -
Posted by ブクログ
三部作の最終巻ですが、第一作と同じように桃子の視点から語られる物語で、第二作目よりも安心して読み進めることができました。
桃子が恋愛に縁が無いからか(そういうと彼女に叱られそうですが)、まさに「反抗期でも思春期でもない時期」の高校生の言語化できない心の揺れを、じっくりと味わうことができました。
自分一人で抱え込み、周りの顔色を窺って、自分の思いが鬱積してゆく様子は見ていてもどかしいですが、自分と同じように悩んでいる登場人物の姿を見ると、自分だけが特別にダメな人間なのではないのだと分かって少し安心できます。
高校入学から卒業までの三年間を1年ずつ、三部作で描いたシリーズですが、登場人物全員が