村上しいこのレビュー一覧
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ネタバレ子どもの読み聞かせで、村上しいこはこれまでに数えきれないほど読んできた。特に「はじめての俳句」「はじめての詩」「はじめての標語」のシリーズは、子どもたちも僕も大好きで、子どもたちの作るユーモラスな詩がどれも楽しかった。
このうた部三部作では、部のみんながそれぞれに短歌をつくるのだが、それが本当にその心情をよく映していて、心を打つ。短歌の良しあしは正直よくわからないところもあるし、先生が指導して直すのも半分くらいは「本当にそのほうがいいの」と思ってしまうところもあったりするが、高校生たちがつくる短歌はとても真摯で嘘がない。これを一つ一つ作者が作ったのだと思うと、本当にすごい。
物語に関しては、桃 -
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「うたうとは小さないのちひろいあげ」の続編。
前作は友情がテーマで、うた部一年生部員の桃子と綾美が物語の中心となっていたが、今回は恋がテーマで、三年生となった清らと業平二人の恋模様と、転校生だが業平の中学時代の友人時宗らの存在が加わっており、また短歌甲子園も物語の中心をなす。
付き合い始めたものの、お互いの心の成長(特に清らの)が二人の距離を難しいものとしてしまう。人の懐にはすっと入っていける清らだが、自分のこととなると不器用で、自分に厳しい課題を設けて脱皮しようとする姿にも成長を感じられる。LGBTのことを作品に盛り込んだのも、まだまだ閉ざされている日本の教育への問いかけと感じた。2018. -
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ネタバレ高校3年の春、うた部の部長となった桃子は、両親から経済的な事情で、卒業後は予定していた製菓専門学校へは行かずケーキ屋で働いて欲しいと言われショックを受ける。時同じくして、同じうた部の後輩友郎が、交流先の老人ホームの重朗さんの詩を勝手に変えてテレビ番組に投稿して入選し、怒りを買っていた。お詫びに、海を見て電話で感想を伝えて欲しいという重朗の提案に承知した彼女たちだが、その海とは宮崎県日向市の海だった。
日向と言えば牧水短歌甲子園。彼女は、今までの啄木短歌甲子園から牧水への出場変更に、部員を説得し、出場準備するべく奔走する。
将来への不安、揺れ動く友情、上級生としての責任、自分の情熱への疑問。 -
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短歌甲子園出場を目指す高校3年の業平は、うた部部長となった彼女、清らとの関係がうまくいかず悩んでいたところ、同じ中学だった時宗が転校してきて、様子がおかしいことに気づく。また、練習試合をしたライバル校の部長からは、LINEアドレスを交換したとたんに「今度会いたい」とメッセージが来て戸惑う。さらに、同じクラブの後輩彩美から、時宗がトランスジェンダーだと聞かされ、驚くのだった。
思春期の葛藤を恋愛、LGBT、短歌への情熱と絡めながら、業平の視線で描く。
*******ここからはネタバレ*******
結末がドタバタで尻すぼみ的にはなったが、短歌甲子園の様子は手に汗握るものだったし、トラ -
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『うたうとは小さないのちひろいあげ』の続編。
清ら部長率いる「うた部」と諏訪業平くん目線の物語。
純粋にうらやましいですよね。
題詠も連歌もその言葉を数分考えるだけで
こんなにも素敵な言葉を連ねることができることが。
うたうとは…があまりにも好きな作品だったので
ちょっと続編に期待しすぎて
トキのことも、もうちょっと深く読みたかったとか
思いましたけど…。
短歌甲子園の予選とか、緊張感バリバリで
ハラハラドキドキが止まらなかったです。
そのキャラクターに合った短歌は
どのように作られているんですかね?
清ら部長の歌、すごく好きです。
桃子たちが中心になったら、
どんなうた部になるんだ