富永和子のレビュー一覧
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罪な本、、。700ページもあるのに、止まらず2日で読むことに、、。たった4日の出来事、視点が変わるたびに目まぐるしい展開となり、お話を追わずにいられなくなります。最後の方は驚きの展開で、もう誰が誰やら、、。彼の日記で明かされる驚きの事実、登場人物がここに集結し、これから何が起きるのか否応なく期待が高まるのにここで終了。続編は秋!覚えていられるか不安ですが、覚えていなくては。いやはや、全く壮大な事件となりました。彼の生い立ちにとんでもない事実がありそう、そしてビショップとポーターには繋がりがあるんでしょうね。あと半年ほど先、日常の好転とともに終章を読める日を心待ちにします。しかし、完結編の一部をラストに出してくるとは、まるで映画の前後編における予告編のよう。こんなの初めてです。攻めてくるなあ。
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猿のシリーズは三部作だったとは知らなかった。これは三部作の二作目なので、はっきり言って前作を読まずにこれだけ読んでも意味がわからないと思う。否、前作を読んでも本書の意味はわからないかもしれない。今秋に最終作が発表されるとのことで、巻末に最終話の最初の数ページがサービスで紹介されていたりもする。今の心境。このまま最終作を読むまで、本書で新たなに開示された謎を解くことができないことが辛い、の一言。
本作では、第一作『悪の猿』に続く少女連続誘拐監禁事件を違うバージョンで見させられているイメージである。しかしどうも本作では、一作目の事件から四か月後、前作とは異なる種類の人間による内容の異なる連続誘拐監禁事件が発生し、異常性は前作よりも増している。前作では知的で整理された天才犯罪者4MK(四猿)の存在がクローズアップされたものだが、本書では自分をコントロールできない身も心も魁偉な異常者による荒っぽい犯罪が注目される。怖さはそのアンコントロール感により、むしろ倍増すると言ってよい。
そして捜査側も分断してゆくように見える。前回の主役サム・ポーターは無論主役を引き継ぐのだが、どうもポーターが前妻ヘザーを失った過去による傷だけでは事は収まらぬようである。語られない深淵がまだまだ三作目に用意されていることを暗示しつつ、サブ・ヒーローとも言うべきFBIのプールが並行した捜査を展開する。前作の捜査チームだけでは足りないのだ。
しかもニューオーリンズやサウスカロライナ州にまで謎の行方は過去を通して繋がってゆく。スケール感が大きくなり、前作で解けたように見えていた謎はさらなる謎につながる呼び水のような構造となる。新たな展開により倍増する犠牲者たちと、その関係性に対する謎。そんんなすべてに解決をつけないまま、物語は最終作に語り継がれようとしている。
解決したかに見えた捜査チームの成果が次の作品でどんな逆転劇を見せてゆくか、緊張は全く緩まないまま、疾走感はブレーキを壊したまま、スピード感、恐怖、展開の大胆さに対する期待、そして何よりも知りたい真実へのはるけき距離を思いつつ巻を閉じる第二作。
今秋までこの展開を覚えておかねば。片付かぬ宿題をそのまま背負わされたような重圧と期待感を表裏一体にして、700頁越えの本書の厚みと深みとが、ぼくの時間を侵食してくる。ううむ。 -
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そもそもが幽霊のルポなどもやっていた文字通りの「ゴースト・ライター」だった。魔女の小説を書いてブラム・ストーカー賞候補になったことでデビューした新進作家の作品である。デビュー二作目にして、怪談話ではなく、サイコ&バイオレンスな警察小説を描いた本書は、圧倒的な物語構築力がアメリカン・スリラー界の注目を集めたということである。
帯にはジェフリー・ディーヴァー、ジェイムズ・パタースン、ジャック・ケッチャムなどのスリラー系作家による賛辞が並ぶ。いわゆる鳴り物入りの作品ということである。
当時からの興奮覚めやらぬ読者の期待を一身に背負った続編『嗤う猿』が、この3月に登場したことで、ぼくのように一作目の本書から手に取る読者も少なくないのではないだろうか。
文字通り巻置く能わずのページターナーの本書は、のっけから読者の好奇心を掴んで離さない強力な推進力を持つ物語である。
既に7名の命を奪っている『四猿』こと<4MK>なる凶悪犯罪者がバス事故で死んだということで、五年に渡り彼を追っていた捜査チームのリーダー、サム・ポーターが訳ありの休暇中であるにも関わらず、事件の捜査チームに呼び戻される。彼の傷にしても事件の長く巨大なスケールと、送り付けられる「耳」「眼」「舌」という奇怪さが幕開け。
その題材として語られる「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿(もちろん日光東照宮のあれなのだ)、その後に死体となって発見される被害者たちはいずれも社会に悪を為した男たちの大切な娘、妻などのか弱き女性たちばかり。残酷な犯人は事故現場に日記を残しており、物語は現在の捜査と、過去の日記による犯人の少年時代の異様な物語で構成される。
いわばトマス・ハリスの『ハンニバル』と、主人公レクター博士の成長の秘密を明かした『ハンニバル・ライジング』とが、纏められたスタイルの小説と言っていい。そしてどちらの時世の物語も手に汗握る展開となって後半にスピードアップしてゆく展開なのである。
<4MK>を誕生させてしまった両親が揃って異常すぎる設定に無理は感じる。また隣人との関係にもあまりの偶然性が集まり過ぎているなど、無理は感じる。様々な無理は感じるのだ。しかし、ここまでエンターテインメント性に長けていること。ストーリーテリングの質がページを追う毎に高度化してゆくことで、散乱し、錯綜したように見える物語が、最後にはしっかりと纏まってゆく、いわば収束の見事さとカタルシスを味わえるプロットは見事としか言いようがない。
当然、続編への期待が疼く終章であるが、待たずにすぐに『嗤う猿』に取り掛かれる幸福をぼくとしては早く味わいたいと思うばかりだ。 -
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若い女性ばかり殺す四猿。悪いことをしている者の娘などの耳を本人に送りつけて後に殺す。何年も未解決になっていたら、バスに自ら突っ込んで死んだ者の持ち物から切り取った耳が出てきた。送り先は大富豪。四猿が死んでしまったのか。富豪の非嫡子の娘が行方不明になっている。彼女はどこに?
物凄く面白かった。大好物。
事件と並行して描かれるのは死んだ容疑者四猿が遺した日記。子供の頃に異常な体験をしたことがじっくりと描写されてたて、怖くて面白い。
二転三転するストーリーもいいし、続編「嗤う猿」へと繋がるラストもいい。サイコスリラー好きなら必読。文章のリズムなのか翻訳の巧さなのか、分厚いのにスラスラ読める。
ちなみに、見ざる、言わざる、聞かざる、に続いて「せざる」が4番目の猿=四猿という意味。 -
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J・D・バーカー『嗤う猿』ハーパーBOOKS 。
最高に面白い。心して読むべし。
サイコ・ミステリー三部作の第二作。前作の『悪の猿』で大暴れした連続殺人犯『四猿』ことアンソン・ビショップが再び我々に狂気と恐怖を見せる。前作よりもストーリーが格段に面白く、ミステリー色も強くなっている。勿体無さのあまり、久し振りに約1週間を掛けて少しずつ読み進めた。この秋に刊行予定の第三作の完結編が非常に楽しみだ。
日光の『見ざる、聞かざる、言わざる』に準え、被害者の耳、眼、舌を切り取り、家族に送り付け、最後には殺害するという残酷な犯行を繰り返す連続殺人犯『四猿(4MK)』が忽然と姿を消してから4ヶ月後……
長年この事件を捜査している刑事のポーターは、シカゴを震撼させる新たな事件に遭遇する。公園の池で発見された凍った少女の溺死体には拷問の形跡が……そして、第2、第3の殺人事件が起こり、捜査にあたるポーターは4MKの過去に触れていく。
知らぬうちに4MKの狡猾な罠にはまり、追い詰められていくポーター……まさかの感染……
本体価格1,236円
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ジェフリー・ディーヴァーらからの賛辞とあったけど、間違いなくそれにふさわしい面白さだった。一気読みに近い感じで読んだ。
日光東照宮の三猿をモチーフにはしているけど、意味は違ってる。そこは日本人ならわかってくれるはず?これが正しいと思われたら嫌だな。
主人公の奥さんのことは最初から違和感はあった。
それにしてもひどい家庭環境だと思った。母親が恐ろしすぎる。バリー・ライガの作品を思い出したけど、それに輪をかけてすごい。
犯人が捕まってないのにあまりイヤーな感じてはないのが不思議。最後なんかむしろやるじゃんなどと思ってしまった。
続きあるんですかね? -
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まず最初に書いておきたいのですが、この作品すっごく面白いです。 少しでも興味があるなら読むのをおすすめしたい!
約600ページとボリュームがありますが視点の移動が激しいからか途中でダレたりすることもなく最後まで読めてしまいます。視点がコロコロ変わると、「えっ、主人公はどうなっちゃうの?」とか焦らされてしまうように思うかもしれませんが、むしろどの視点も続きが気になって仕方なくなってしまうので心配はいりません。どんどん読めちゃいます。
キャラクターもそれぞれ役割を持たされており、みなが物語に彩りを添えてくれるところが海外ドラマのようで楽しめました。
なかでも特に作者の気合の入りようを感じたのは4MK。存在感抜群の凶悪殺人犯に主人公も含め登場人物はみな翻弄されっぱなしなのですが、妙にフェアなところがあり、きちんと主人公にヒントを与えてくれるんですね。また主人公とともに4MKの生い立ちを辿っていくことでなんだか愛着が湧いてきたりもしたり。やってることはえげつないし、頭がおかしいことにちがいはないんですが、こういう天才型の犯人が出てくる話はやっぱりおもしろいですね。
ぜひシリーズ化されて欲しいと思いました。 -
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J・D・バーカー『悪の猿』ハーパーBOOKS。
大昔の扶桑社の海外ミステリーを思わせるようなサイコ・ミステリー大作。連続殺人犯『四猿』の狂気を最後まで見事に描き切っている。
日光の『見ざる、聞かざる、言わざる』に準え、被害者の耳、眼、舌を切り取り、家族に送り付け、最後には殺害するという残酷な犯行を繰り返す連続殺人犯『四猿』……長年、この事件を捜査している刑事のポーターは『四猿』とおぼしき人物の死を知るが……
ポーターの捜査状況と『四猿』により拉致監禁された少女エモリーの過酷な運命、『四猿』の恐ろしい日記が交互に描かれ、少しずつ事件の核心が見えてくる。
久し振りに物凄いサイコ・ミステリーに出会った。 -
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★メタメタ小説のひねり★探偵である語り手は事件の進行と同時に物語を記しているように見えるが、当然ながらそんなことはありえない。後から振り返って小説を記録している。そのメタ状態を明示しながら、推理小説のルールに沿っていることを小説内でアピールする。さらに語り手は筆者とは別存在なので、二重のメタ状態というしかけを施した推理小説。構成の妙が面白い。
密室の豪華列車を舞台に謎解きを促す伏線の張り方は上手だし、読者との勝負を最初から楽しませる。ただ、個人の嗜好として、謎解きよりも文章を読む楽しさを優先することが改めて分かった。とはいえ、もう一作読んでみたい感じ。 -
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ぼくはアーネスト・カニンガム。まだ駆け出しのミステリー作家だが、きたる推理作家協会主催の50周年イベントになぜか招待された。
豪華列車で行く3泊4日の旅には錚々たる作家たちが招かれており、僕は肩身の狭い思いだったが、そのうち1人が旅の最中殺害されてしまう。
『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』の続編。伏線・説明・ネタバレだらけのミステリ第2弾。
前作と変わらず"フェア"に語り手が様々なことを教えてくれますが、事件の流れなどは前作よりゆっくり。そのせいで序盤は少々テンポが悪く感じますが、その分終盤解決編に入って怒涛の伏線回収が気持ちいいです。
アレだけ犯人の名前が出てくる回数やら、生きて列車を降りる人数やらに言及しているのに、それでも騙されるのがおもしろい。
1作目のときはあまり思いませんでしたが、アーネストのこの「実際に巻き込まれた事件を小説にする」というスタイル、フィクションといえ考えようによってはかなり悪趣味でグロテスク。
生きている理由を正当化したいとか、本人的に色々理由はあるし自分のことだけで必死な部分もあるのは理解できますが、本筋の事件はともかく少なくともアーネストの周囲に関わることに関しては起こるべくして起こった気はします。
次はどんな話が読めるのか、また楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ふとしたきっかけでこのシリーズの3作目が最近出たことを知り、面白そうなので最初から読むことに。最近すっかり追えていなかったのだが、2025年度版本格ミステリ・ベスト10海外作品で4位であった。
冒頭にノックスの十戒を置いてくる時点でミステリ好きには嬉しい。そして意味深なタイトル、身元のわからない死体、家族の業のような物語…そしてメタフィクション。
謎が解けた、のあとあんなに手がかりを羅列されてもさっぱりだが、謎解きは本当に素晴らしい(そして悲しい)。殺人犯の手法にあのような意味を持たせるとは…そして最後にきちんと残りのピースをはめるのも忘れない。
ミステリというのはそのトリックありきで人間が描けていないという指摘を受けることもあるけれど、古典的なフーダニットであるこの作品の登場人物は、一癖も二癖もあるが、愛すべき人物、愛せなくとも憎めない人物として描かれ、「そうなるしかなかった」背景の物語描写も見事であった。