富永和子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んだひとをほほ笑ましくさせる独創性と広げた大風呂敷が綺麗に畳まれていく快感がありました。本作は前作『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』から続くシリーズの第二作目に当たります。
実は前作を未読のまま読みはじめたのですが、読んでいないからと言って、楽しめない、というわけではまったくなく(それでもやはり先に読んでおいたほうが良い側面はあると思いますが)、ラストまで遊び心に満ちていて嬉しくなるような読書体験でした。『こんなミステリが読みたかった!』という気持ちになるひとも多いのではないでしょうか。
『信頼できる語り手』が語る、作家たちが乗り合わせる豪華列車での殺人事件の結末は。現代的なツールが謎 -
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ネタバレ主人公のメタい語口が面白い!
犯人が分かって片付いて一件落着…みたいな感じだけど、本当は1番の被害者だよなと思ってしまう。
犯人の中には大人によって傷付けられた小さな子供がいる。
それによって犯した罪を擁護することはできないけれど、幼少期に周りの大人と信頼関係が築けないことが人格に直結する。
個人的には叔母さんが犯人に言った「どうして私達家族に馴染めると思ったのよ?」みたいな台詞がキツかったなぁ。
だって、元はと言えばあんな仕事、あんな生き方をしていた実父のせい。元はと言えば(悪意があったわけじゃないけど)お母さんのせい。
そもそもそれで犯人は人生の全てを奪われたのに、自分達の過去の行動を棚に -
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ネタバレタイトルのキャッチーさが強すぎてあまり期待はしていなかった一冊。
いやいや、むしろ好きな方だった。
タイトルからは、ともするとサイコパス一家のしのぎの削り合いのような構図の想像もしてしまうがちょっと違う。
雪山のリゾート地、警察組織との因縁を持つとある一族の再集結の物語。
兄のマイケルが3年前の殺人の罪での刑期を終え出所する。
「ぼく」はその兄の刑に引導を渡した一族の裏切り者でこの3年間つまはじきにされてきた。
「ぼく」の一人称語りで綴られる再会の場で起きた事件と過去の事件の真相をめぐるオーストラリア発のモダンミステリ。
「ぼく」の語りのおどけ具合とメタっぷりが良い。
冒頭、ノックスの十戒 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの時代に、クローズドサークルでフーダニットの本格ミステリーは設定するのが難しいよなぁと思っているのですが、今回は登場人物が敢えて下界に降りないシチュエーション、そして警察が来れない(来ない)理由も含めて、よく練られているなというのが前提で面白く、ドキドキワクワクしながら読めました!
家族はみんな誰かを殺している…それだけ狂った人たちなのか…という前提で前半を読んでいくものの、実はみんなそれぞれの理由や背景、家族愛があり、それが犯人の動機との対比、つまるところ「家族とは何か」に行き着いて、読み応えありました。
冒頭に◯ページで殺されると言われ、「そんなに死ぬのか!そして誰もいなくなっなくら -
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読み終わりました。全部で2千頁を超える大作。必死に着いて行かないと迷路に入り込みそうになる。
登場人物(殺害された人、司法側の人達、犯人側の人達)の人数が、どんどん増える。
もう、誰が誰だか分からなくなる。何をしたのか、何処で出てきたのか、数人の人に関しては諦めた。
物語の伏線回収が完全では無く、謎のままの部分が有ると思うけど、僕の読解力や記憶力が足りないせいで、そう思うのか?
最後も、悲しくて救いのない結末で後味が悪い。
主人公の今後が気になるので、この主人公の今後の話が読みたい。シリーズ化してくれ。
ともかく、面白かったのは間違いないけど、大食いチャレンジみたいで、完食出来てない感じがする -
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ネタバレ3部作とは知っていたけど、嗤う猿のエンディングがあまりにも!だったので感想難しい…なんせなにもほとんど解決してないから。むしろこれは悪の猿と、嗤う猿上下くらいの緊密度だと思う。
嗤う猿に関してはネタバレせずには語れないかな…
明らかに親ないし姉の罪を娘や妹に償わせる形で綺麗に完結した前作からするとまず本作は、4MKが真犯人なのか?そのつながりは?という謎から入る。若い女性というか少女の手の込んだ殺害ではあるけど、前作のように順番に体の一部が送られてくることで親が苦しむわけではない。娘が死ぬとその親が殺されるパターンは、前作のように贖罪を求めているのではなく、単なるセット?とも見える。残され -
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被害者を誘拐し、その家族の元へ切り取られた耳を送りつけ、次に目、最後に舌を送りつけるという全米を震撼させている連続殺人鬼「四猿」。
その四猿 = 4MKの自殺から物語は始まる。新たな被害者のものであろう新鮮な耳が入った小箱と共に。
4MKの過去を追体験させる日記と、リアルタイムで監禁されている少女を追う現在編が交互に展開される。4MKはどのようにして"造られた"のか、その手口・殺人の目的は何なのか、が日記と現代の捜査が立体的に折り重なって暴かれていく様が面白い。
なにより一番最初、連続殺人犯の自殺というショッキングな出来事から始まるプロットの巧さ。
ジャンル的にはサイコサス -
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ネタバレ良かった点
・前2作の伏線やアンソン達の目的が丁寧なものも雑なものも含めて解明されている
・長いけど、沢山の視点が入り混じるので飽きない
ちょっと疑問に思う点
・ウェルダーマンとストックスは具体的にいつ殺害されたのか(日記での描写はヒルバーン夫人の証言から否定)
・何故ウィーゼルやティーガンはサムのことを皆に言わなかったのか
ずっとサムが報われることを信じて読み進めていたのでこの終わりは個人的には満足です。
トイレでのアンソンとサムの会話は日記の中のアンソンと話しているかのような幼さを感じました。
作者あとがきにて映像化されることが決定しているようなので、クリミナルマインドや映画SE7E -
Posted by ブクログ
#猿の罰
#JDバーカー
#富永和子
四猿シリーズ三部作、完結編。
前作『嗤う猿』から、ノーブレーキのまま今作に突入。
起・承は『嗤う猿』で済ませてるので、
ひたすら「転」「転」「転」
もはや、何がどうなってるのかわからなくなる。
???頭はパニック寸前。
内容は何を書いてもネタバレになるから書けませんが、衝撃の結末まで最高のエンタテイメントでした。
オススメです。
相変わらず、気分が悪くなるほどのグロさはあるのでご注意を。
それと『悪の猿』『嗤う猿』を読んでないと話はわかりませんので、必ず先にそっちを読んでからどうぞ。
#今回も600ペーシ -
Posted by ブクログ
#嗤う猿
#JDバーカー
#富永和子
前作『悪の猿』でもそうだったけど、速攻で物語に入り込む。
今回は700ページのボリューム。
『厚いな…』と思ったけど、
5ページで入り込み、50ぺージには引き返せないところまでのめり込む。
あとはラストまで一気。
前作同様、捜査のシーンと被害者のシーンを交互に繰り返すスタイルで、テンポよく読み進められる。
魅力的な登場人物たちも映画を見ている様に心地いい。(この捜査チームは最高だ‼︎)
中盤を過ぎるとノンストップ。
そして、最終盤は…。
衝撃の展開。
これ以上はネタバレになるので。。。
続編の『猿の罰』。
読みたい本が溜まってたので、間に何冊か挟もうと思っ -
Posted by ブクログ
「悪の猿」の続編。凍った池で殺された少女が発見され、また別の少女が行方不明になる。読者はある男が彼女を監禁しているのは分かるがそれが誰だかは分からない。逃亡中のビショップの仕業なのか。事件を外されたポーター刑事、シカゴ市警、FBIが別々に捜査を進めていくと分かる意外すぎる真実・・・
うおー!ラストでポルシェのように急加速してゆく。スゴイスピード感、そしてまさかあの人が!意外性を煮詰めて煮詰めて凝縮した意外性。素晴らしい。
三部作の二作目だそう。秋に出る三作目が出たとき忘れないように特にラスト近辺を盛大にネタバレ。
※以下ネタバレ
パーカーはビショップからニューオーリンズの刑務所の写 -
Posted by ブクログ
『悪の猿』『嗤う猿』に続くノンストップ・スリラーの三部作完結編。三作でワンセットの巨大なストーリーとなっているため、一作目から読んで来ずにいきなり本書を手に取ってしまうと大変なことになる。要は続き物なので、ここから読んでも何のことやら何もわからないだろう。そのことを最初に断っておきます。注意書き付き作品。
前作で、主役のサム・ポーターに対し、新たなFBIの捜査官フランク・プールという第二の主人公的存在が登場。複数主人公型の物語へと変化したのだが、本書ではポーターを主軸とした描写は激減する。それどころかポーターが疑われるべき側に徐々に変化してゆく、という逆転の発想がストーリーに盛り込まれて