遠藤誉のレビュー一覧
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事実を確認していないので本書に書かれていることのどれだけが本当かはわからないが、かなり衝撃的で面白い。
とにかくアメリカは自国の利益を重視していて、そのためには戦争が起きることも厭わない。特にバイデンは副大統領時代に中立を目指していたウクライナをNATO加盟に誘い、侵攻直前にプーチンにはアメリカが部隊を派遣しないというシグナルを出していた。これがウクライナ戦争の直接的なきっかけになっている。本書のタイトルから離れているが、著者が一番力を入れて記述しているのはここのように見える。
中国とウクライナが長い友好関係にあること、中欧投資協定がポンペオのジェノサイド発言でポシャったこと、中ロの軍冷経熱な -
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非常に勉強になった。以下、要約。
本書のテーマ『習近平はなぜ3期目を狙ったのか』に関しては大きく2つ考えられる。一つは『習仲勲を破滅させた鄧小平への復讐』、もう一つは『米中覇権争いの最中で一歩も退けない』ということである。
❶習近平と新チャイナセブン
①米国はあの手この手で中国を潰しにかかっている。中国が米国に潰されないために打ち出したのが『ハイテク国家戦略』である。
②集団指導体制は鄧小平時代ではなく、1927年から始まっている。実際に、この原則のもと、大躍進政策で失敗した毛沢東は自ら国家主席を降りると言ってみたところ、常務委員の賛成多数で本当にクビになってしまい、国家主席が劉少奇に -
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面白く読ませていただきました。
がしかし、私は、中国で、現在働いていまして、何か複雑な気持ちになります。
中国共産党の腐敗とそれに関わる企業の腐敗は、数字で示すと、もう、どうしもないな!
と改めて思いました。そして、
「もう、ダメだな、、、この国は、、、」と確信しました。
何も救いがない気がします。毎年、千人近い、党幹部、元国有企業幹部が、
不正な金を持ち逃げしている、、、毎年40兆円ほど、、、いったいどうなっているのか!
私は採用もやっているので、女性の方を雇う場合、まずキレイな方だったら、どこかしかの社長が、
面接で、「俺の愛人になるか」と言われたなど、考えられない話しを良く耳にし -
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私の母方の祖父も、満州(長春)にいました。祖父は、13歳ほどで満州に渡ったと聞いています。
当時は、多くの日本人が、「新天地」に渡りました。
夢の国、満州と呼ばれていたそうです。
今とは比較にならないぐらいの日本人が住んでいたと聞いています。
祖父は、終戦と同時に、日本に帰国した引き揚げ者ですが、当時の状況は、母には語りたがらなかったみたいです。
「まぁ、ええではないか」が、口癖で、おそらく、たくさんの悲惨な光景を見て、それを思い出したくないんだと思います。
さて、この『チャーズ』ですが、読んでいくうちに、あまりの著者の過酷な体験に閉口させられます。
まさに、地獄そのものを経験した人が書く -
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ネタバレ[執念の証明]麻薬中毒患者を治す薬で一旗上げた著者の父は、長春(注:満州国時代の新京)で日本国の敗戦を迎える。中国国内における国共内戦の激化に伴う長春の封鎖がその後始まり、電気・ガス・水・食料の配給が停止。命を守るために長春からの脱出を図る家族であったが、そこで著者を待ち受けていたのは、中国現代史が忘れ去ろうとしている「チャーズ」の地獄であった......。渾身という表現が生易しく聞こえるほどのノンフィクションです。著者は、中国社会科学院社会科学研究所客員研究員などを務められた遠藤誉。
十数万単位の餓死者(正確な人数は現在も不明)を出したにもかかわらず、その事実が今日においても広く知られて -
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[以九為政]今や世界第2位の経済大国として、国際社会で大きな影響力を有するようになった中国。その中国の政治を仕切る「中国共産党中央委員会政治局常務委員会」の9人(評者注:本書執筆当時)に焦点を当て、今後の中国の舵取りについて考察を重ねた作品です。著者は、現在の中国の長春市で1941年に生まれた遠藤誉。
外部からは分かりづらい中国共産党のトップ陣の動きを、制度や歴史の歩みから紐解いていく遠藤女史の筆はまさに圧巻。胡錦濤総書記時代に続く中共中央政治局常務委員の顔触れ予想の結果はさておき、中国の複雑かつ(若干この表現は不謹慎かもしれませんが)面白すぎる人事ゲームを読み解く際にぜひ参考にしたい作品 -
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遠藤誉自身の中国における自分の体験。
そして、薄煕来ー谷開来+薄瓜瓜事件の成り立ちから、推察。
読みやすいようで、読みにくく、編集技術がいまいち。
それをこえる 現実と事実。
薄一波の執念。毛沢東、鄧小平より長生きしたオトコ。
小説より奇なり というほどの 想像的ノンフィクション。
中国を語る場合には こんな風にしか
書くことができないのかもしれない。
薄煕来 1949年7月3日生まれ。薄一波の息子。
薄一波は 革命初代の勇士。八代元老のひとり。
そして、文化大革命で 徹底して追求され、失脚。
胡耀邦によって名誉回復したが、
1979年 国務院副総理となる。
1982年 党中央顧問委員会副主 -
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求心力を高めるためにスパイラルから抜け出せない現状を変えるために、毛沢東が日本軍と共謀していた事実を世界に知らしめることが必要というのが、著者の主張。
毛沢東の目的は、中華民族を売り渡した彼の行為の証言者を全てこの世から消し去ること。
毛沢東が稀代の戦略家で、中国の政権を獲得するために手段を選ばなかったことがよくわかる。
国共合作は、コミンテルンの指示によるものだが、それを利用して国民党の中枢に入り込み、日本と共謀していかに勝利に至ったか。そして、戦略としては日本を敵としていなかったこと。末端での戦闘はあったにしても。
毛沢東は日本軍に恩義を感じており、1956 に日本軍の大将級を招聘しよう -
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[長大な不協和音]日本政府による尖閣諸島の国有化後、厳しさを増した日中関係。噛み合わなくなった日中の歯車の遠因はどこにあるのかを問いかける著者は、先の大戦におけるルーズヴェルトと蒋介石のカイロ密談にたどりつく。歴史の闇に埋もれ、多くは語られてこなかったその密談の内容とは、そして、それが今日の関係にもたらしている影響とは......。著者は、『チャイナ・ナイン』や『チャイナ・ジャッジ』で新鮮な中国観を提示したことで注目を集めている遠藤誉。
カイロ密談、日中国交正常化、愛国教育に領海法......。ねじれにねじれた日中関係の原因がつぶさに明らかにされており、日中関係を俯瞰する上で大変参考になる -
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予想はしていたが、深刻度の桁が
中国の政治を司る共産党幹部、その重要人物に寄生しながら莫大な富をつかんだ人々。
「ビジネス」とはなにか、「人生とはなにか」ということを考えつつも、強大な権力を握るということの理不尽さがありありと伝わる内容。
すでに、大物共産党幹部の更迭をも明確に説明している内容。
単に、中国共産党は権力を集中して自らの富と国民の生活を完全にコントロールしているというのみならず、人生とは何なのか?成功とは何を意味するのか?そんなことを考えさせられた。
中国共産党が腐敗しているということではなく、一部の人が権力と富と暴力を合わせ持った結果、どのようになってしまうのかが良くわかる。
あとは、こ -
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ネタバレ・中国建国前夜。かつて満州国の首都であった長春(満州国では「新京」と呼んでいた)を舞台に凄惨な攻防があったことはあまり知られていない。著者はその長春でギフトールというアヘン中毒に効く薬を作っていた「新京製薬」社長の娘。本書は当時7歳の少女だった著者が1953年の引揚げまでに経験した長春での生活、戦争、凄惨な逃避行を綴ったもの。「人民は飯を食わせてくれる者を支持する」「だから、誰が飯を食わせてくれるのか教えてやれ」という毛沢東の言葉から長春は重囲の中、飢餓による死地と化した。今となっては「为了人民服务(人民に奉仕する)」であるはずの共産党がそんなことをするはずがないと黒い歴史になっている事実だが