遠藤誉のレビュー一覧
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この本は 中国を見る視点が 中国の現実の中から
歴史的な経過もふまえて、見通そうと努力している点ですぐれている。
この表題である チャイナナイン という言葉は
中国が 個人指導ではなく 集団指導であるという
ことを 正確に言い切っていることだろう。
それは,文化大革命の反省からきているというのも、
きわめて重要な指摘である。
権力が個人に集中することで、大きな誤りを起こさない
というのは,正しい選択である。
中国における権力闘争の構図が明確になる。
中国を牛耳っているのが チャイナナイン。
現在は チャイナセブン。
権力の中枢。ここにはいれば 安全圏 という話が、
今少し変わっているような気もする。
周永康の拘束は 明らかに 大きな衝撃。
石油族であり 公安のトップ。
江沢民派が ジリジリ と追いつめられているような気もする。
習近平が 江沢民派であるにもかかわらず。
薄煕来が あせりすぎたんですね。
自分の年齢が 10年というスパンで考える時に。
紅衛兵として 暴れた青春期から
ひたすら 権力に登ろうとする執念。
毛沢東回帰。
『紅色度』という革命度を センサーとする。
という 隙間を狙ったのは うまいと思う。
向前看から 向銭看。
中国の精神文化の衰退。
男人有銭、就変壊。
女人変壊、就有銭。
商品化された性。愛人が商売となる。有名大学まで。
三陪小姐。2000万人の売春婦。
麻薬、ドラックにおぼれる人たち。
現在の中国は こうしなければならない
という方向性はあるが,なぜこうしなければならないのか
ということが,明らかにされない。それを明らかにすることで
弱点や問題が浮き彫りになることが、現政権には困るのだろうね。
薄煕来がなぜ失脚せざるを得なかったのかは、
確かに 江沢民・太子党派と団派の権力闘争がありながらも
チャイナナインで 決定した ということが重要だろう。
陳良宇の失脚、そして,薄煕来の失脚。
江沢民派への追究は 強力である。そして、周永康も。
少なくとも 胡錦濤・共青団派が
今後の主流になっていくのは明らかなような気もする。
反日の潮流は 江沢民の強力な推進によって、形成された。
反日教育と言われるものは、精神形成の過程で深く刻み込まれている。
それが きっかけ で噴出するということだ。
愛国主義、愛国無罪というもの。
アニメブームによって そこにある 日本の文化が 浸透している
という遠藤誉の評価は正しいと思う。
『民主主義の鐘を鳴らす革命の道具』『生きていくための精神の糧』
人生の夢、人類への愛、学校キャンパス内での恋愛と苦悩、友情の大切さ、希望と絶望、ステキなファッション、ときめく心、性の開放、消費の喜び。
それは『青春の教科書』であり、『民主主義の教科書』でもあった。
終章 未完の革命
この章が 遠藤誉の 原点なのだろう。
餓死で死ぬ人々の中で みずからの原点をみつめる。
この章が 中国という国を 真摯に見つめる著者を形成する。 -
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小説より奇と言われた薄熙来事件の謎の部分の解明を試みた本である。中国生まれで中国での仕事の経験が豊富な著者が、過去からこの事件までの多くの報道事実を元に、薄熙来の人格や事件の背景をドキュメンタリーに描き、最後に筆者の推察を示してくれる。深い考察の基づくその結果はきっと正しい。何しろ筆者は、李源潮副主席の就任を予言して見事に当てた経歴があるのだ。そのような洞察力のある筆者は、物理学者で社会学者で、中国や日本の大学教授も勤めた才女である。名前で男性だと思いこんでいたので、それを知って驚いた。文章はわずかに感情的なところがあるが全体として優しい文体で、論理的であると同時にゾッとするようなところも淡々と記述するなど、筆者の経歴を知るとなんとなく納得する独特の雰囲気がある。筆者の他の本も読んでみようと思った。
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日経ビジネスオンラインで中国ネタはいろいろ有るが抜群に分析が鋭い遠藤氏の現在進行形の解説書。中身は先のサイトに書かれたものも有るがまとめて読む方が理解しやすい。
中国を動かしているのは9人の中央政治局常務委員で、25人の政治局委員から選ばれる。重大な決定は9人の多数決で行なわれるので、誰が選ばれるか熾烈な派閥争いが続く。失脚した薄熙来はパフォーマンスでアピールしたが、毛沢東時代に戻る気がない胡温に見放された。
今年の秋メンバーが入れ替わり習近平と李克強以外の7人が新たに常務委員となる。25名の内67歳以下が時期候補で9人いる。この中で誰が入るのかがこの夏の一つのポイントで、もう一つは習近平の次は誰か。先の9人のうち2017年に引退しないのは習、李以外に 李源潮、汪洋で習は上海閥だが、後は胡錦濤派の中共青年団派。江沢民の影響力は習近平を次期国家首席にするところまでだったと分析している。
2022年を睨むと習の次は現在52歳以下つまり1960年以降に生まれたものが候補であり、もしこの秋いきなり常務委員入りすれば胡錦濤、習、李と同じ路線であり胡春華、周強、孫政才の名が上がっている。
胡温体制は行き過ぎた経済発展からバランスの取れた社会への変換を目指しているが一方で現体制の安定が第一である。結果としては温家宝が民主的な発言をし一方で胡錦濤が締め付けるという役割分担をしていると言う。
これからの中国ではネットの力が無視できなくなる。広東省の烏坎村事件は村民の勝利がネットで瞬く間に拡がり民衆が勝利した画期的な事件だという。いつ迄も武力鎮圧一辺倒とは言えなくなってきている。また、胡温体制は何度か親日的なメッセージを出したがその度ネットの批判に晒された。尖閣についても08年5月7日の日中共同声明でガス田の共同開発を発表して売国奴とまで批判されたらしい。
こういったネット世論を作るのは主に30代迄で高卒以下の5億人。平均月収2000元未満が半数で5000元未満が9割を占める。一方で日本のアニメや漫画にはまっていたり、北京でSMAPを歓迎しているのも彼らだ。 -
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薄 熙来、中共八大元老の一人薄一波の息子で有りながら文革の際に率先して父親を殴り、倒れたあと蹴りつけて肋骨を折った男。薄一波はその後息子について、この酷薄さと手段を選ばない所について国家指導者としての見込みが有ると評しており、自分が引き上げた江沢民に息子を引き上げるように頼み、2004年に商務部長(大臣にあたる)として中央にデビューさせた。
天安門事件のきっかけは胡耀邦の死だが、失脚させたのは胡耀邦によって名誉を回復させてもらった薄一波だ。この時胡耀邦を守ろうとしたのが同じ八大元老の一人で習近平の父。薄一波は改革解放が進むと息子の出世の目がなくなるため推進派の胡耀邦と趙紫陽を失脚させ、鄧小平に江沢民を推薦し恩を売る。この時改革解放を進めようとしない江沢民を攻撃したのが有名な南巡講話だと言う。
97年の党大会では一票も取れず中共中央委員になれなかった薄 熙来は商務部長が病気のため退任した2004年に江沢民に抜擢される、そして2007年の党大会前に父親の薄一波が亡くなると、これで裏切られる心配がなくなった江沢民は薄 熙来を中共中央委員に入れる代わりに重慶に追いやる。
薄 熙来の最後の勝負は重慶での唱紅打黒運動で、毛沢東路線の再来を狙う。日本の報道ではこの頃薄 熙来のチャイナ・ナイン入りが有力視されていた。しかし、どうやら指導者層はこの頃すでに薄 熙来を切る準備を始めていたらしい。
終幕
2011年11月15日、妻の谷開来がイギリス人ニール・ヘイウッドを毒殺し王立軍が駆けつける。
2012年1月31日かつての部下遼寧省の公安局長、谷鳳潔がかつての汚職や不正で懲役判決を受ける。王は薄に谷守るよう頼んだが聞き入れられず、ヘイウッド殺害事件
をだしに交渉に出るが薄は直ぐに王を罷免し切り捨てにかかる。
2012年2月6日重慶市の副市長、公安局長の王立軍がアメリカ領事館に逃げ込むと言う前代未聞の事件が起こる。中央規律委員会に逃げ込もうにも薄のスパイがいる、まずイギリス領事館に連絡を取るが返答が無く、次にアメリカ領事館に逃げた。
3月15日 王立軍事件の責任を取らせる形で重慶市書記を解任。
4月10日 中央政治局委員と中央委員の職位を剥奪
同日 新華社は谷開来の逮捕報道。
4月15日イギリスのテレグラフが薄の息子、瓜瓜のイギリス留学時代の後見人がパウウェル卿だったと報道した。
殺人の動機はわかっていないが遠藤氏の推理はこうだ、パウウェル卿は元MI6と言うスパイの親玉で引退後は中英貿易協会の理事、イギリスは中国のWTO加盟に大きな役割をはたし、パウウェル卿は将来の指導者入りをアピールする薄に近づいた。国共内戦時代からスパイのレッテルをはられると中国での地位は無くなる、パウウェル卿が元スパイと気づいた谷開来は薄のチャイナ・ナイン入りと瓜瓜の将来が無くなることを恐れスパイの手先と信じたヘイウッドを殺害し関係を闇に葬ろうとした。ばれるわな。
中国の歴史は個人の欲と権力闘争で作られるらしい。薄 熙来はいなくなったが江沢民はまだ健在である。 -
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ちょいちょい著者の自己アピールを挟まないといけないという誘惑に著者は勝てないらしく、著者の我の強さに笑ってしまった。その自らを自らでプッシュすることに躊躇いを覚えないのが中国なのかとも感じた。
恥ずかしながら、中国の指導体制は共産党の支配体制だとは知っていたが、彼らがなにをして、どのように国が成り立ってるのかはまったく知らなくて、ものすごく勉強になった。
おそらく薄氏のような偏った者は少ないだろうが、中国人が海外に居を移す理由が透けて見えたし、政府が信用できないというのも頷けた。
中国恐るべしが非常によくわかった。昼ドラかと思ってしまうほど、俄かには信じ難い事実ばかりで笑えてしまう。だが、そんな人が何百人といる国と日本人とでは勝負にならないし、きっと勝てないだろうと思った。 -
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知らなかったたくさんの史実と考察が分かり易く描かれた素晴らしいルポルタージュ。
筆者の情報レベルの深さ・広さには感服するばかりで、平易な表現に徹していて とても読み易く、好感がもてます。
体制を危険にさらすのは、政治でも経済でもなく「精神文化」であること/
「たかが漫画」と放置した日本漫画が、若年層の精神に影響していること/
共産党以外に、8つの民主党派が存在すること。
これらのことは本書で初めて触れた事実でした。
今ままでは 狭く浅い情報で近視眼的に 中国を見てきたと省みるばかり。
やはり 多面的に知る・考える、が大切と思い知る。
終章にて明かされた 革命戦争時の筆者の壮絶な瀕死体験。
死線を越えて、
「~が実現したときに初めて、私にとってのあの革命が完結するのである。その日まで私は死ぬわけにはいかない。」
と表明された筆者に 凄みを感じます。
遠藤誉さんの原動力がここにあると理解して
彼女のレポートをこれからも追いたいと思う。 -
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ひさかたぶりに凄い本に出会えた。本書を読んで、中国の現状が手に取るようにわかる思いを持った。著者の情報力・分析力・表現力、全てを絶賛したい。
現在の世界において、かつてないほど大きな存在になった中国。その謎に満ちた政治体制の奥の院を、手に取るように語る本書の内容は、垣間見える中国共産党の姿を完璧に誰の目にも見えるように紹介したようにも思えた。
「江沢民・上海閥」「胡錦涛・共産主義青年団閥」「習近平・太子党」の権力の構図を、その歴史から現状、関係性、法則、力関係、文化、政治方針、構造にいたるまで詳細に解明していると思えた。
その内容は、最近明らかになってきた中国共産党の過去の詳細な歴史よりもはるかに深く明晰な分析であり、まさに現在の中国共産党の内情を明らかにしていると誰もが思える説得力に満ちていると思えた。
「鄧小平の先富論」とそれを実践した「江沢民の三つの代表論」が経済成長を重んじた結果、中国は歴史的な経済発展を成し遂げたが、同時に格差と腐敗を生んだ。
その後の指導者・胡錦涛は「共富論」と「化学的発展観」を掲げて「平等と安定」を志向するが、平等を重んじれば経済成長は鈍化する。
それらの「政治方針」と「経済政策」の違いと共に、三つの派閥が織りなす政治ドラマのような中国の内情は、まさに歴史のダイナミズムを実感させるものと思えた。
それにしても、本書を読むと、この中国共産党と日本の情けない民主党とを比較せざるを得ないと思えた。
確かに一見中国は民主化を拒む硬直した一党独裁のように見えるが、本書が明らかにしている中国共産党の内情は、決してそんなものではない。一面柔軟とも思えるダイナミズムに満ちている。
一方民主主義の日本においては、政権党の民主党と野党の自民党が政権を争うという理由で何も決められない泥仕合を演じている。これは政治制度としてどちらが優位なのかと嘆息せざるを得ないと感じた。
本書終章の著者の経歴と本書を著す動機・経過についても驚嘆する思いを持った。本書を絶賛したい。 -
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台湾国史館のデジタルアーカイブで機密解除された1938年6月から1944年6月にかけての「戦場からの手書軍事機密電文集」を判読し、整理された新書。
日中戦争中、国共合作により日本軍と国民党軍及び中共軍が戦争をしていたと理解していたが、実は日本軍と中共軍が裏で手を結び、国民党軍と戦争をしていたというもの。
中華人民共和国の建国は日本の「おかげ」という都市伝説にちかいものがあったが、これが史実であり、中華人民共和国は日本と「抗日戦争」は戦っていなかった。
国共内戦はいまも中国の国内問題であり、「金門島」はその象徴として敢えて攻略しなかったという内容は興味深かった。 -
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中国共産党が日本軍とほとんど戦っていない、と言うのは誰もが(中国人でも)知っている事実。習近平は知らないふりをしているだけだろう。
実は戦っていないだけではなく、共産党と日本軍は結託し(あるいは汪兆銘政権経由で)、国民党と戦っていた、と言うことを台湾の機密解除された文書から説明する。あまり驚かないのだが、細部は面白い。
例えば毛沢東に殺された彭徳懐は、抗日戦争中、唯一の大きな抗日戦である百団戦を勝利した人物で、毛沢東の恨みを買っていたためだという。罰を与えるのが遅すぎる嫌いはあるが。
第一章の話は分からない部分あり。日本軍上層部の知らないところでやっていた、ようにも読める。本当はどうなのか。
第五章以降が面白い。高市批判も根拠については了解できる。ただではどうすればいいかいいのか。ほっておけばいいというものでもないのではないか。