あらすじ
習近平はプーチンのウクライナ軍事侵攻には反対だ。なぜなら攻撃の口実がウクライナにいる少数民族(ロシア人)の虐待で、その独立を認めたからだ。これは中国のウイグルなどの少数民族の独立を認めることに相当し賛同できない。しかしアメリカから制裁を受けている国同士として経済的には協力していく。これを筆者は【軍冷経熱】という言葉で表している。ロシアが豊富なエネルギー資源を持っていることも【経熱】の理由だ。ロシアがSWIFT制裁を受けていることをチャンスと捉え、習近平は人民元による脱ドル経済圏を形成しようとしている。中国はEUともウクライナとも仲良くしていたい。一方、ウクライナは本来、中立を目指していた。それを崩したのは2009年当時のバイデン副大統領だ。「ウクライナがNATOに加盟すれば、アメリカは強くウクライナを支持する」と甘い罠をしかけ、一方では狂気のプーチンに「ウクライナが戦争になっても米軍は介入しない」と告げて、軍事攻撃に誘い込んだ。第二次世界大戦以降のアメリカの戦争ビジネスの正体を正視しない限り、人類は永遠に戦争から逃れることはできない。
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Posted by ブクログ
事実を確認していないので本書に書かれていることのどれだけが本当かはわからないが、かなり衝撃的で面白い。
とにかくアメリカは自国の利益を重視していて、そのためには戦争が起きることも厭わない。特にバイデンは副大統領時代に中立を目指していたウクライナをNATO加盟に誘い、侵攻直前にプーチンにはアメリカが部隊を派遣しないというシグナルを出していた。これがウクライナ戦争の直接的なきっかけになっている。本書のタイトルから離れているが、著者が一番力を入れて記述しているのはここのように見える。
中国とウクライナが長い友好関係にあること、中欧投資協定がポンペオのジェノサイド発言でポシャったこと、中ロの軍冷経熱な関係、中国が台湾に侵攻しない理由、ウイグル自治区の太陽光発電とテスラとの協働などにも触れている。
Posted by ブクログ
この本に書かれている内容がどれだけ正しいかは分かりませんが、ウクライナでの悲惨な実態の裏にある各国の思惑について考えるのに非常に良い本だと思いました。
最近は日本も近い将来戦場になってもおかしくないと憂いていますが、多くの国民が様々な情報源からの情報をもとに日本が正しい方向に進んでいるのか注視し、戦争回避に必要な行動(投票など)を続けることで、戦争による死者がこれ以上増えないことを切に願います。
Posted by ブクログ
中国は台湾に侵攻するなどの疑問が分かる書籍。
実際、中国が台湾に侵攻する可能性は低い。
それは、台湾に侵攻するとデメリットの方が大きいから。中国は無理に勝てない戦争はしない、今すぐ攻める必要がないなど、可能性の低さがわかった。
ただし、絶対とは言い切れないため、少しは懸念しておいたほうが良い。日本も隣国であるため、無関心ではいられない。国内にどんな影響を及ぼすかもきちんと吟味すべき。
Posted by ブクログ
中国の戦略的立場と「軍冷経熱」
習近平政権がロシアのウクライナ侵攻に対して「軍事的には冷却し、経済的には熱烈に支援する」という「軍冷経熱」の戦略を採っていると指摘している。
このアプローチは、中国がロシアの軍事行動には賛同しない一方で、経済的には協力を強化し、米国主導の国際秩序に対抗する姿勢を示している。
主要な戦略的要素
1. 経済的支援とエネルギー協力
中国は、ロシアからのエネルギー資源の安価な輸入を通じて、ロシア経済を支援している。また、ロシアの金融機関に対する制裁を回避するため、中国系銀行が貿易決済を担い、人民元を用いた取引を促進している。
これにより、ロシアは経済的に中国への依存を深めている。
2. 軍事的距離と外交的中立
中国は、ロシアの軍事行動には直接関与せず、ウクライナとの関係においても中立的な立場を維持している。
これにより、国際社会での非難を回避しつつ、ロシアとの関係を強化している。
3. 対米戦略としての中ロ提携
中国は、ロシアとの提携を対米戦略の一環として位置付けている。両国は、米国主導の国際秩序に対抗し、多極的な世界秩序の構築を目指している。
この提携は、経済、軍事、外交の各分野で深化している。
世界秩序への影響と今後の展望
中国の「軍冷経熱」戦略は、世界秩序に以下のような影響を及ぼしている
多極化の進展:米国主導の秩序に対抗し多極的な国際秩序の構築が進んでいる。
経済的再編:人民元の国際化が進み、国際貿易における通貨の多様化が進展している。
軍事的緊張の高まり:中ロ提携が強化される一方で、米国との軍事的緊張が高まっている。
今後、中国はロシアとの関係をさらに深化させる一方で、国際社会とのバランスをどのように取るかが重要な課題となるだろう。
Posted by ブクログ
ウクライナはアメリカのNATO加盟という甘い罠な嵌められてロシアを刺激し、ロシア侵攻を招いた。その背景には戦争ビジネス、エネルギービジネスで利益を得る為のバイデン大統領の策略あり。中国は自国でウイグル問題を抱えている為にロシアのウクライナ侵攻を是認できない立場であるが安価なロシア原油、LNGを手に入れ、経済的には友好関係を築いている。中国による台湾併合は台湾が独立を宣言しない限り、アメリカよりも経済的、軍事的に勝るようになると言われている2035年まで発生しない(負ける戦いは絶対しない習近平の方針)、ロシア制裁を他山の石にSWIFTを介在しない、基軸通貨をドルに頼らず人民元とした仕組みを築こうとしているのが中国の戦略であるとしているのが本著。
Posted by ブクログ
ウクライナ戦争はなぜ起こったのか?もちろん、ロシアがウクライナに侵攻したからであるが、それは原因ではない。ウクライナはなぜNATO加盟を欲したのか、プーチンの怒りを買うことが明らかであったにもかかわらず。このような戦争勃発の背景には何があったのか。そして中国の側から見た場合にこの戦争はどのように見えるのか。台湾有事は近いのか。国際情勢の混乱の中でこのような疑問を持っているなら、この本は必読の本だと思う。
大国であることを誇示するロシア。国際的なプレゼンスと経済的利益のために動くアメリカ。経済力と国際的な優位を獲得する中国。大国の綱引きの間で苦しむのは誰なのであろうか。
Posted by ブクログ
ウクライナに侵攻を始めたプーチン、そしてロシアの友好国中国。
当事国であるウクライナ及び現在最大の武器支援国である米とを絡めて相関関係を描く。
知らなかったが、アメリカ(と言うよりバイデン)の行ってきたこと、中国とウクライナの深い関係を知ることが出来、今後これらの国々を見る目も変わってきそう。
中国は新疆ウイグル自治区の民族浄化や民主化運動への弾圧があり、ロシアも伝統的な領土拡張思考があり(狂人プーチンが野に放たれたと書かれてある)、アメリカも個人や国としての利益のために戦争を仕掛け世界覇者となったと言う歴史がある。
大国に翻弄されているウクライナだが、やはり賄賂が横行していた国だったようなので、判官びいきするのも少し躊躇してしまう。
しかしソ連から独立して間もないし、どこの国もそれを乗り越えて、民度の高い国になるのだろうな。
負けるなウクライナ❗
Posted by ブクログ
中国ロシアの関係とインド、パキスタンも含めた関係性についてはとても興味深く読ませていただきました。この本が出た時からインドのスタンスなどは徐々に変わっていますが、過去の分析や情報、関係性について学ぶところが多かったです。
個人的にはアメリカ、特にバイデンに対して憎さが余って印象的ですが、それが中国感情の逆転移なのか、日本の中で醸成された感情なのかは興味深いです。アメリカはああいう国なので、色々と疑惑は絶えないですが、現状少なくとも現時点でそんなに得してるのかと言われると疑問ですし、何よりウクライナの反攻勢をサポートするあおきな力になってますよね。何よりウクライナにとって良い方向に向かって欲しいものです。
日本も台湾のように必死で存在価値出さないと、すぐ見捨てられそうな気はします。
Posted by ブクログ
81歳になられても全く衰えを知らない、遠藤さんの魂の叫び、切れ味、パワーに圧倒された。
陰謀論のように見えてしまうが、今となっては、やはり、バイデンの「不参戦宣言」が全ての発端。。
中国が背後にいるという話もよく出るが、嫌中の遠藤さんが「中国は侵攻を知らなかった」という論拠(ウクライナの中国大使館員への指示が180度転換)で、違うと理解した。
アメリカが制裁対象国を増やせば増やすほど、人民元の国際化が進む皮肉。
脱炭素、シェールで中東の産油国が苦境に立たされる分、中国が擦り寄る余地が生まれる!
台湾が中華民国として独立宣言をしない限り、中国は武力侵攻は絶対に、しない!勝てない戦争はしないし、今年の党大会まで、習近平は安定を求めている!次のタイミングは、中国がアメリカの国力を凌駕する2035年。
Posted by ブクログ
2022年41冊目。208ページ、累計11,614ページ。満足度★★★★☆
2022年2月のロシアによるウクライナ戦争について書かれている。この戦争の影の主役はアメリカであり、本書の内容もアメリカに関する記載が多い。
書名と内容はミスマッチしているが、読んで損がない一冊
他人事ではない
今回のウクライナ戦争に対して関係各国、特に中国がどのような姿勢で対処しようとしているのかを重点に分析した好著。
なぜ習近平はロシアの軍事侵攻に賛同できないのか、中国は台湾武力攻撃に進むのか、ウクライナはどうやってバイデンに利用されたのか。インドは、パキスタンは、…。国内で報道されている内容だけでは見えてこない各国の複雑な相関図まで説明されており、考える材料を与えてくれる。遠いヨーロッパの話で他人事だと安心していると危ない。