遠藤誉のレビュー一覧
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遠藤先生が、テレビの経済番組で中国を語る時の勢いや情熱が好きで、本書を手に取りました。
実はあまり時間がなく、本書は目次だけメモを使用かと思っていました。目次だけとはいえ、興味のあるページは本文を参照するわけですが、遠藤先生の語り口調と同じく筆の勢いも魅力的で、結局全部を一気に読んでしまいました。
中国事情に精通している方にとっては、目新しい情報ではないのかもしれませんが、日本国内で限られた情報のみで「中国」を見ている者にとっては、大変参考になりました。
量子暗号、量子コンピュータ、一対一路、BRICs+などについて書かれています。強い口調で中国を批判するかに見える遠藤先生ですが、「ホァーウェイ」にこだわるあたり、やはり中国愛が根っこにあるのかな、と思いました。 -
Posted by ブクログ
著者は中国で製薬会社を経営し、中国人、韓国人にも慕われていた日本人社長の娘。巻頭、浴衣のようなかわいいもんぺを着た写真、文章も戦時中の満州の日本人の生活がよくわかる。そこから敗戦、解放区への逃亡、チャーズ、天津、帰国と著者の
記憶もショックでところどころ飛んでいる壮絶な体験。飼い犬が人間の赤ん坊を食い、餓死者を見た日に露天があり食べ物が売られている景色を見る秩序ない町の状態、兄と弟の死。チャーズでの一斉に新参者流民を強奪する流民、自分はあそこまでされなくて良かったとおびえるそばから「自分たちがそのうち奪う側になるんだよ」と言われる恐怖。「日本人は戦争に負けたことがないんだろ?中国では大昔からいろいろな国が土地を奪い合って人民は次はどっちにつくか負けたときのことをいつも考えてる。この国では負け方を知らない人間は死ぬんだよ!」チャーズを出るときは自らの人脈を利用しすべての人を助けることは叶わないまま脱出。でもそうしなければ生きていたかわからない。著者い命を救うため父は一生かけて借金を返すつもりで月賦でストレマを購入。そのおかげで著者は生きている。子供の命の大切さ。あのとき借金をためらっていたら。。。その後の著者の中国の学校での苦労、特に日米安保の進捗、警察予備隊の発足時の心中はいたたまれない。最後は世話をした日本人からの批判、つるし上げで中国に見切りをつけて帰国する。 -
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薄熙来事件の時に慌ててチャイナ・ジャッジと共に斜め読みしたのをゆっくり再読。今回の香港の件の背景を理解する為にも読んどかないとと思って。現実に2012年にはチャイナジャッジがチャイナセブンになり、団派の汪洋や李源潮が外れているところに、江沢民と胡錦濤の壮絶な駆け引きがあったんだろうなあと想像。開明派の汪洋(広東省長経験者)が中央にいないのは、香港にとってマイナスになってしまったと思う。そう言えば汪洋の後の広東省長は同じく団派で第6世代ホープの胡春華である。今回の件は広東省長も無縁ではいられない、2017年のセブン入りを念頭に置けばかなり難しいハンドルになるのかも。それを考えるとこの放置政策は判らないでも無い。
しかし、本編と関係ない、終章の長春包囲から脱出するシーンが凄惨すぎる…。 -
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この本は2011年末に書かれたが、時は中国の胡錦濤政権末期で、中国の政権構造の解説とともに次期政権の顔ぶれを予想している。その結果が分かっている今から見て、ほぼ正解である。中国人や共産党の考えかたと経歴などの事実を基に自ら分析しての考察であり、他の言い分や思いこみではないだけに、洞察力はすばらしい。
筆者は、幼少期を中国内戦を命からがら抜け出し、長じては中国のシンクタンクで職を得るほどで、上から下まで通じている本当の中国通である。
中国の分析は、この人がいちばん信用できると思う。
それにしても、国共内戦の長春包囲を生き延びたと凄まじい人生を過ごしてきたものである。生い立ちのその部分は本書のおまけの部分だが、最も読み応えのある部分である。 -
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中国や中国共産党の内部情勢を読み解くことにかけては、著者は第一人者であると思っていたが、本書にはそれまでの著作とやや違うトーンを感じた。
1943年に行われた蒋介石とルーズベルトの「カイロ会談」で話し合われた「尖閣領有権」のついての考察は、著者のネット発信によって概略は知っていたが、本書での全容を読むと、著者の中国への厳しい視線がにじみ出ている。
著者は、少女時代を文化大革命の中国で過ごし、過酷な人生体験を持つが、それを描いた著作を読むと、それを全否定せずに「赤いノスタルジー」を著者自身が抱いているようにも思える。まさに著者にとって日中両国は「ふたつの祖国」なのだろう。
しかし、本書では一転して、中国共産党の「尖閣」や「反日教育」について実に厳しい視線と考察を広げている。
これは、著者が「日中の摩擦と軋轢」が、双方の政府のコントロールを乗り越えて、臨界点を超えることもありえるとの危機感によるものなのかもしれないと思った。
すでにグローバル化によって経済も政治もかつてとは様変わりしている。本書を読んで、政治の深淵をのぞきこむような興奮を覚えた。
本書は、日中の軋轢を読み解くには歴史への考察が欠かせないことが認識できる良書である。
本書を、現在の日中関係を読み解く上で最良の書であると高く評価したい。 -
Posted by ブクログ
本書の目玉は新華社が報じたカイロ密談でルーズベルトが蒋介石に沖縄を割譲する提案に対し蒋が断った事実をアメリカ公文書館のHPから見つけたことだ。
尖閣諸島の帰属について例えば孫崎享氏はポツダム宣言受諾により尖閣諸島は中国に帰す地域に含まれる可能性が有るとしているが、このカイロ密談の際に沖縄に尖閣が含まれているというのが日米共通認識であり、蒋介石が尖閣は中国固有の領土と主張していれば間違いなくそうなっていた。沖縄が中国領にならなかったのは幸運だろう、米軍がいかに問題が多くても大躍進〜文革時代に中国の一部になっているよりは遥かにましだ。
題名はチャイナ・ギャップでテーマは何が原因で日中関係がこれほど悪くなってしまったか。例えば昨年のデモの際にも「ガス抜き」などと言う人がいるが遠藤氏はそう言う見方では中国を理解できないと言う。第一次世界大戦で日本、中華民国は共に連合国側であったが終戦の結果、日本は中国に対し対華21か条の要求をつきつけ16か条を飲ませた。この結果起き上がったのが五四運動でベルサイユ条約調印拒否に至りその後共産党が生まれるきっかけになっている。毎年五月四日は抗日デモが起こりやすいのはこういう理由だ。
共産党革命やその後の文革は暴力の肯定という面があり、江沢民が進めた反日教育もあり反日デモが許されやすい土壌が出来上がってしまっている。一方で半日デモはすぐに反政府デモに変わりかねないので暴走しないように押さえつけている面も有る。遠藤氏が「ガス抜き」に反応する理由はこういうことらしい。
江沢民がここまで反日に走った理由は父親が日本の傀儡政権の官吏だったからだ。文革は家族がブルジョアだったり国民党に協力していたなどの理由で「反革命的」としてつるし上げに会う時代だった。北京閥との権力闘争で父親のことを指摘されたため反日を表に出して自分の権力基盤を守ろうとしたのがその後の反日教育につながってしまう。その江沢民もどうやらひっそり引退らしいが習李体制になってもすぐには対日方針は変わらないだろうと分析している。
この本の上梓は2/28だが3/5から始まる全人代でチャイナ・セブンから外れた李源潮が国家副主席になると予想して当てている。この辺りの分析はさすが。チャイナシリーズはこれで一段落だというのが少し残念。チャイナ・ジャッジ、チャイナ・ギャップの連作には遠藤氏の執念を感じた。 -
Posted by ブクログ
面白い!
薄熙来氏といえば、大連市長〜遼寧省長〜商務部部長~重慶市長と歴任され、革命第二世代の御曹司であり容姿も端麗なビジネス感覚をもったやり手の中国共産党次世代のホープくらいに思っていましたが、こちらの本を読んでイメージが180度近く変わりました。
もちろん、この本に書かれていることが100%正しいかは分かりませんし、最後の方は筆者の推理ないしは推測ですので、全てを信じるかどうかは別として、
なぜ突然重慶市長を解任され失脚?
しかも奥さんがイギリス人を暗殺した疑惑??
と、突然の出来事に頭の中が「?」だらけでしたので、この本によって一旦の整理が出来た感じです。それにしても、こんな背景があり、経緯があったとは…