遠藤誉のレビュー一覧
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著者は中国で製薬会社を経営し、中国人、韓国人にも慕われていた日本人社長の娘。巻頭、浴衣のようなかわいいもんぺを着た写真、文章も戦時中の満州の日本人の生活がよくわかる。そこから敗戦、解放区への逃亡、チャーズ、天津、帰国と著者の
記憶もショックでところどころ飛んでいる壮絶な体験。飼い犬が人間の赤ん坊を食い、餓死者を見た日に露天があり食べ物が売られている景色を見る秩序ない町の状態、兄と弟の死。チャーズでの一斉に新参者流民を強奪する流民、自分はあそこまでされなくて良かったとおびえるそばから「自分たちがそのうち奪う側になるんだよ」と言われる恐怖。「日本人は戦争に負けたことがないんだろ?中国では大昔からい -
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薄熙来事件の時に慌ててチャイナ・ジャッジと共に斜め読みしたのをゆっくり再読。今回の香港の件の背景を理解する為にも読んどかないとと思って。現実に2012年にはチャイナジャッジがチャイナセブンになり、団派の汪洋や李源潮が外れているところに、江沢民と胡錦濤の壮絶な駆け引きがあったんだろうなあと想像。開明派の汪洋(広東省長経験者)が中央にいないのは、香港にとってマイナスになってしまったと思う。そう言えば汪洋の後の広東省長は同じく団派で第6世代ホープの胡春華である。今回の件は広東省長も無縁ではいられない、2017年のセブン入りを念頭に置けばかなり難しいハンドルになるのかも。それを考えるとこの放置政策は判
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この本は2011年末に書かれたが、時は中国の胡錦濤政権末期で、中国の政権構造の解説とともに次期政権の顔ぶれを予想している。その結果が分かっている今から見て、ほぼ正解である。中国人や共産党の考えかたと経歴などの事実を基に自ら分析しての考察であり、他の言い分や思いこみではないだけに、洞察力はすばらしい。
筆者は、幼少期を中国内戦を命からがら抜け出し、長じては中国のシンクタンクで職を得るほどで、上から下まで通じている本当の中国通である。
中国の分析は、この人がいちばん信用できると思う。
それにしても、国共内戦の長春包囲を生き延びたと凄まじい人生を過ごしてきたものである。生い立ちのその部分は本 -
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中国や中国共産党の内部情勢を読み解くことにかけては、著者は第一人者であると思っていたが、本書にはそれまでの著作とやや違うトーンを感じた。
1943年に行われた蒋介石とルーズベルトの「カイロ会談」で話し合われた「尖閣領有権」のついての考察は、著者のネット発信によって概略は知っていたが、本書での全容を読むと、著者の中国への厳しい視線がにじみ出ている。
著者は、少女時代を文化大革命の中国で過ごし、過酷な人生体験を持つが、それを描いた著作を読むと、それを全否定せずに「赤いノスタルジー」を著者自身が抱いているようにも思える。まさに著者にとって日中両国は「ふたつの祖国」なのだろう。
しかし、本書で -
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本書の目玉は新華社が報じたカイロ密談でルーズベルトが蒋介石に沖縄を割譲する提案に対し蒋が断った事実をアメリカ公文書館のHPから見つけたことだ。
尖閣諸島の帰属について例えば孫崎享氏はポツダム宣言受諾により尖閣諸島は中国に帰す地域に含まれる可能性が有るとしているが、このカイロ密談の際に沖縄に尖閣が含まれているというのが日米共通認識であり、蒋介石が尖閣は中国固有の領土と主張していれば間違いなくそうなっていた。沖縄が中国領にならなかったのは幸運だろう、米軍がいかに問題が多くても大躍進〜文革時代に中国の一部になっているよりは遥かにましだ。
題名はチャイナ・ギャップでテーマは何が原因で日中関係がこれほ -
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面白い!
薄熙来氏といえば、大連市長〜遼寧省長〜商務部部長~重慶市長と歴任され、革命第二世代の御曹司であり容姿も端麗なビジネス感覚をもったやり手の中国共産党次世代のホープくらいに思っていましたが、こちらの本を読んでイメージが180度近く変わりました。
もちろん、この本に書かれていることが100%正しいかは分かりませんし、最後の方は筆者の推理ないしは推測ですので、全てを信じるかどうかは別として、
なぜ突然重慶市長を解任され失脚?
しかも奥さんがイギリス人を暗殺した疑惑??
と、突然の出来事に頭の中が「?」だらけでしたので、この本によって一旦の整理が出来た感じです。それにしても、こんな背景があり、