遠藤誉のレビュー一覧
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2012年の秋の中国共産党の10年に一度の最高指導部の交代を控え、中国国内で激烈な権力闘争が行われており、2012年の3月に「薄熙来」の失脚がマスコミを賑わしていたが、その複雑な背景事情を本書は実に詳細に調査している。
著者は「チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち」において、わかりにくい国である中国の内情を詳細に解き明かしており、その並々ならぬ調査能力には敬意を持っていたが、本書もそれにふさわしいものと言えると思う。
しかし、どうも本書での解析は「推理」の部分が多すぎるのではないか。
「薄熙来」の「男の生い立ち、不倫婚」「大連時代」「遼寧省時代」「重慶時代」等の経歴の調査と当人の -
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香港問題や新型コロナへの対応などで、激化する米中対立。ポストコロナの世界で覇権を目指す中国と、それに対抗するアメリカの戦略について、中国問題分析の第一人者らが解説する書籍。
新型コロナウイルス肺炎を巡る米中の戦略は、大きく異なる。
・トランプ大統領は、WHOが中国に忖度して警告を遅らせ、コロナを蔓延させたと非難。拠出金の停止、脱退を示唆した。
・中国はコロナの震源地だが、「人類運命共同体」を強調し、コロナで苦しむ国への「医療支援外交」を展開している。中国の戦略は、国際社会を味方に付ける上で賢明といえる。
中国は、国連や国連専門機関の要職に親中派や中国人を大量に送り込み、国連を乗っ取ろうとし -
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「米中貿易戦争」はなぜ起きたのか、それはいつまで続くのか?中国研究の第一人者が、激化する米中対立の裏側を読み解き、今後日本が進むべき道筋を提言した書籍。
中国共産党の一党支配体制にある中国では、民主的な普通選挙がなく、国益に適かなう戦略を長期的に立てやすい。
米中貿易摩擦が始まって以降、習近平はよく「あなたの中に私がいて、私の中にあなたがいる」という言葉を使う。これは、世界中に強固なサプライチェーンを形成し、何か衝突があった時には、相手がその「鎖の絡み」から抜け出せないようにしておくという、中国の戦略を意味している。
中国の精華大学にある顧問委員会には、フェイスブックやアップルなど米大手 -
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ネタバレ【248冊目】【248冊目】著者の遠藤誉さんは中国研究者で、かつ、科学者。そして、中国で生まれ育ったということもあって、知識と主張が溢れ出てくる感じが伝わってくる。資料を何も見ないで書いてるんじゃないかと疑ってしまうぐらい笑。
中国製造2025(発表は2015年)で特に注意すべきなのは半導体、そして宇宙航空関係であるというのが本書の主な主張。とはいえ、習近平氏が2025を出す前から、特に半導体の重要性に中国は気付いていたようで、実態面ではスローガンが出来る前から徐々に歩を勧めていたらしい。特に電子機器等について「世界の工場」となった中国が、実は「世界の組立工場」に過ぎなかったと自覚してから -
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2014年の今となっては随分昔の話に感じてしまうが、中国の第五世代の指導層に誰が入ってくるか・・というのは、中国関係者やそこに住んでいる人間からすると、一大関心事項だった。国家主席が誰になるか(結局は習近平になった)や、結局のところ政治的には完全に終わることになる薄熙来は常務委員になれるのか、といった人事に関することから、そもそも9人が選ばれるのか、それとも7人なのか、といったように多くのトピックがそこには含まれていた。
この本はその結果(18大)がわかる前に、現指導者層を予測するということで、書かれた一冊。著者は中国生まれで日本育ち、成人してからは中国の公的機関の顧問も経験したという立場に