あらすじ
「米中貿易戦争」のカギは「5G」にある。
その5Gを制するのはアメリカか、それとも中国か。
趨勢(すうせい)を決する「周波数」と「基地局」について、「アメリカ国防報告書」は驚くべき真実を語っていた。
激化する米中対立の裏で、日韓対立が、東アジアの地殻変動を激化させている。
この展開を望んでいたのは、一体誰だったのか?
「モスクワ発の裏事情」を入手した著者が、混沌とする「米中貿易戦争」のゆくえを斬る。
〈目次(抜粋)〉
第一章乱舞する「米中露朝」、陰湿な「日韓」
一、ファーウェイ禁輸解除が前提条件だった―米中首脳会談の真実/二、グローバル経済と「中華の知恵」を読み解く/三、トランプvs.習近平、世界のリーダーにふさわしいのはどっちか?/四、トランプ電撃訪朝の裏側―地殻変動の予兆を読み解く/五、日韓険悪化が招く地殻変動―高笑いするのは習近平か:東アジアが中国の手中に落ちる「最悪のシナリオ」/ほか
第二章ファーウェイを「解剖」する
一、「改革開放の申し子」ファーウェイ誕生の秘密に迫る/二、国有企業ZTEvs.民間企業ファーウェイ/三、「ファーウェイは政府の支援を受けている」のは本当か?/四、ファーウェイと中国政府の「攻防」/CFO拘束の裏で暗躍する「謎のユダヤ人」の正体/ほか/五、5Gで世界をリードするファーウェイ
第三章米中「ハイテク覇権争い」のゆくえ―米国防報告書を読み解く
一、周波数が世界を制する―米国防総省イノベーション委員会報告書/二、中国の5Gに対して「敗北」を認めた国防報告書/三、中国政府「5Gの商業利用を許可」の衡撃「:5G関連特許」は誰が押えているのか?ほか
第四章米中インタビュー合戦
一、任正非が集団取材で語った「本音」/二、ポンペオの「ファーウェイは嘘つき」発言を検証する:中国政府によるスパイ行為の「真の実行犯」ほか/三、駐日米国大使「ファーウェイは国有企業」発言を検証する:ファーウェイの「本当の株主」は誰なのか?ほか/四、毛沢東の「農村を以て都市を包囲せよ」戦略を模倣した任正非
第五章二極化する世界
一、「ツキディデスの罠」に備えてきた中国/二、アメリカなしでも中国経済は成り立つのか:ゴールドマン・サックス100%出資を認めた中国の思惑ほか/三、「ファイブ・アイズ」の一角を崩したファーウェイ5G:ファーウェイを支援する香港華人の「正体」ほか/四、中国が胸を張る「ハイテク産業の成長ぶり」の真実/五、アメリカが「宇宙軍」を正式発足させた「真意」
第六章金融戦争に突入した米中貿易戦争
一、対中制裁関税第4弾発動&為替操作国認定の裏側/二、「金融核弾道ミサイル」米国債売却はあるのか―中国が取り得る報復措置を探る/三、「レアアース・カード」を準備する中国レアメタル禁輸でアメリカがすり寄る「驚くべき相手」ほか
第七章地殻変動と中国が抱える諸問題
一、韓国の「GSOMIA破棄」と「中露朝」のシナリオ/二、「米日豪印」対中包囲網と中露軍事連携:軍事パレードから見る中国の「ミサイル力」ほか/三、米中金融戦争と「国内問題」の真相/四、燃え上がる「香港デモ」と「台湾問題」の行方「:香港最高裁判所の裁判官は17人中15人が外国人」という「盲点」ほか/五、「米中二極化」のカギを握る日本「:日中友好ムード」が想起させる「かつての大失敗」/ほか
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Posted by ブクログ
間の問題に触れていい刺激になった。米中と言いながらも、米中韓日について東アジア全体の18、19年の関係がわかり易くまとまっている。5Gの丁寧な説明や、Huaweiが完全な民間企業である点についてはものすごく勉強になった。
Posted by ブクログ
この本を読むと、中国の覇権に向けた動きへの脅威をより感じるようになる。どこかで中国を馬鹿にしていた意識が変わる。当然経済的にも軍事、外交的にも無視できぬ存在だが、内政問題多く、知財もいい加減で技術力は模倣の張りぼて、共産党の強引な手法で何とか維持する状態、という理解も間違いではないが、それだけではない。
中国政府は、国家AI戦略実現のためのプラットフォームを指定。① 百度には自動運転②アリババにはスマートシティ③テンセントには医療画像認識④アイフライテックには音声認識⑤センスタイムには顔認識。これら英文の頭文字をとってBATISと呼ぶ。
国家転覆や民主化を望む中国政府にとってのスパイを発見したら、必ず政府に報告する義務をすべての中国人が負うと言う国家情報法。2022年までに中国は27.6億台の監視カメラを中国全土にはりめぐらし、13億以上の人民すべて1人につき二台の監視カメラで監視するようになる。センスタイムはAI顔認証に関して世界のトップに躍り出た企業で、2018年9月に日本のソフトバンクも10億ドル投資。企業評価75億ドルを突破してAIを手がけるスタートアップ企業として世界最大となった。全てが監視される社会。
ヘリウム3を用いると核融合による原子力エネルギーを得ることができ、核融合はいかなる汚染物質の放出しない全く無害でクリーンエネルギーだ。ただ実用化までにはまだ道が遠く、地球上にヘリウム3がまとまってあるわけではない。無尽蔵に堆積している月面を狙って資源基地を作るつもりというのが、中国の宇宙戦略。
さらに、中国が持っているアメリカ国債のことを金融核弾(金融核弾道ミサイル)と称する。アメリカが関税を追加させればさせるほど、その分だけ中国がアメリカ国債を売る頻度も量も多くなり、悪循環に入っていく。双方とも被害者となるが、持久戦である。
レアメタルは47 +2種類の希少金属からなっており、その中の17種類はレアアースと言う希土類である。中国が世界の70%を占めているのはレアアース。もちろんレアメタルの産出量も中国が圧倒的に多い。アメリカはレアメタルの約75%を中国からの輸入に頼っていると中国は笑う。
世界がコントロールできない強大な力をつけていく中国。いずれ、覇権国家と新興国家が戦争が不可避な状態になるまでぶつかり合うツキディデスの罠が訪れるのだろうか。
Posted by ブクログ
遠藤誉さんの著書は以前にも…薄熙来氏失脚の際に一体何が起きているのだろう?と読んだことがありますが、それ以来。女史の見方が100%正しいのかは私には分かりませんが、1つの観点からの解説として大いに参考にはなりました。
Posted by ブクログ
「米中貿易戦争」はなぜ起きたのか、それはいつまで続くのか?中国研究の第一人者が、激化する米中対立の裏側を読み解き、今後日本が進むべき道筋を提言した書籍。
中国共産党の一党支配体制にある中国では、民主的な普通選挙がなく、国益に適かなう戦略を長期的に立てやすい。
米中貿易摩擦が始まって以降、習近平はよく「あなたの中に私がいて、私の中にあなたがいる」という言葉を使う。これは、世界中に強固なサプライチェーンを形成し、何か衝突があった時には、相手がその「鎖の絡み」から抜け出せないようにしておくという、中国の戦略を意味している。
中国の精華大学にある顧問委員会には、フェイスブックやアップルなど米大手企業のCEO 約30名が入っている。また、多くの移民が活躍し、グローバルを重視するシリコンバレーは、移民に厳しいトランプの政策に反対する。この点でも、米大手IT企業が習近平のお膝元に集まる結果を招いている。
中国が推進する「一帯一路」への協力を表明した国は150カ国に及ぶ。その勢いは193の加盟国を持つ国連に迫るものだ。
従来は、アメリカこそが世界のリーダーにふさわしいとみなす人が多かった。しかしトランプが大統領に就任して以降、中国を支持する人が増え、2018年にはアメリカを抜いた。
アメリカのリーダーシップについて顕著な逆転を見せているのはヨーロッパで、支持が24%に対し、不支持が59%である。
世界は「米中二極化」へと向かっている。そうした中、日本は韓国と険悪な関係に陥った。このことは中国を喜ばせ、アメリカの東アジア情勢を不利な方向に持っていく結果を招こ
うとしている。