杉原理生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ後書きで作者が桜並木を書きたくて書いたお話だと言っているとおり、桜のため息が出るような美しい風景描写が何度も登場します。他の方のレビューを読むと、好きと嫌いと分かれていたので、大好きな作家さんだけど、過剰な期待をしないで読みましたが、私はかなり好きです。とにかく毎度のことだけど、読者にはとうの昔に心のうちはお見通しなのに、ぐるんぐるん悩み続ける主人公、そしてジレジレと進展しない恋。高校の同級生同士の微妙な三角関係。みんながみんな、相手を思うあまりやさしさで相手を傷つけて、少しづつ自分も傷ついていくみたいな。結末は最初に見えてしまっているのに。さなぎが羽化するのをじっと見守るように、ただ息をつめ
-
Posted by ブクログ
ネタバレとにかく『ザ・青春まっただなか☆』なお話。初夏のコントラストがはっきりした青い空。真っ白い半袖のシャツ。自転車に乗る先輩の背中を一生懸命追いかけた。大掛かりなストーリーはありませんが、ただただ高校生の頃を思い出し、甘酸っぱさにキュン死しそうになります。こんな風に誰かをただひたむきに、好きで好きで仕方なかったこととか。世界が先輩で回っているような気がしていたこととか。すっかり薄汚れてしまった今となっては、そのきらめきがただ眩しくて愛おしい。大人になって、何もかもすっかり変わってしまったけれど、こんな想いは胸のずっと奥に大切にしまってあったなぁ~とあらためて思い出させてくれる素敵なお話です。
-
Posted by ブクログ
【あらすじ】「淋しいだけじゃ、俺はひとを好きにならないよ」姉の結婚式の日、理也は数年ぶりに従兄弟の高成と再会した。高校にあがるまで、ふたりはとても仲のよい従兄弟同士であり、理也にとって高成といる空間はひどく居心地のいいものだった。けれど、ふたりの間にはなにか曖昧なものが忍びこみ、いつしか距離を置くようになっていたのだ…結婚式の夜をきったけに再び一緒の時間を過ごすようになったふたりだが、曖昧だったなにかが露になってゆき。
『思い出せばつらいのに、まだ心が痛むことに安堵する。当分、過ぎた記憶にはならない。そうしたくない。
思い出にならないまま、高成のことはこの胸にもうすこし痛みとしてかかえていた