大庭忠男のレビュー一覧
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20世紀中ごろのイギリスのミステリー小説。
あまり時代背景を描くことには力入れておらず、最新の機器が無く、タイプライターや手紙が登場することを除けば、いつの時代でも解釈は可能。
モース警部の想像力は逞しく観察眼は鋭いが、怒鳴るし会話は成り立たないし、「勤務中だから」って部下にはアルコールを与えずにじぶんだけ飲んだり、聞き込みを理由に好きな女性のところへ行ったりと、結構自分勝手で嫌なやつ。
その上、推理は間違ってたり、偶然ヒントを手に入れたり、キャラクターとしてはなかなか興味深い人。
この人あってのミステリーと言える。
まさに、テレビドラマの主役ですね。
(「主任警部モース」「刑事モース -
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テレビドラマにもなったモース警部シリーズ2作目。同僚の死によって引き継いだ行方不明の若い女性探しが思わぬ複雑な事件になっていて…というストーリー。ただ、モース警部がわりと気分屋っぽいところがあるのと、彼の捜査はミスを積み重ねて可能性を消去していって、最終的に残ったものが正解というパターンで進行する。これが通常みられる小さい正解を積み重ねていって結論に到達するというパターンとは全く異なっている。そのため、モースの行動を味わい深いとみるか、「いやモース、そうじゃないよ。もうちょい考えなよ」と思うか、要は読者の嗜好で評価が大きく分かれるシリーズだ。なお、本作は導入から容疑者が絞られていくところまでは
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ネタバレ
面白かった!
いままで読んだエラリー・クイーンの本の中で一番真実にびっくりしたし分かりやすかったし納得したような気がする。
途中でカザリス博士犯人説が持ち上がった時は残りのページ数こんなにあるのにもう犯人分かるって…それほんまに犯人?何かこの後まだ展開ありそうやし真犯人は別にいるのでは?と思ったら案の定やった。
産婦人科医が自分がお産でとりあげた人をひとりずつ選んで…っていうのはなるほど、というか、よく考えたなあとしみじみ思った。
しかも何故男性は既婚者もいるけど女性は未婚ばつかりなのか?ていう伏線もちゃんと「電話帳で探したから。名字がかわってる女性は見つけられなかった」ということでちゃ -
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ネタバレ読後の今になってこの題名の示唆する意味が仄かに立ち上って来て、カーもなかなかやるな、とちょっと心地良い余韻に浸っている。前回読んだ『疑惑の影』のようにこちらも毒殺物だが、それに加え、密室の中で重い石の棺が独りでに開くというクイズみたいな謎があり、カーの味付があちらよりも濃い。
事件は小粒だが、今回はヒステリー症という病例を上手くトリックに盛り込み、物語に二面性を持たせているところを高く買う。
こういう一見、何の変哲もなさそうな事件なのに何かがおかしいというテイストがセイヤーズを髣髴とさせており、カーの中でもちょっと珍しい部類に入る。しかもこれが冒頭述べたようにこの謎めいた題名の意味を徐々に腑に -
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幅広いミステリのジャンルの中でも「本格」と呼ばれる分野に、それ程の興味は無い。といっても、私がミステリ愛好家となったきっかけは、多分に漏れずエラリイ・クイーン「Yの悲劇」の絢爛たるロジックの世界に文字通り感動したからなのだが。要は物語としての強度があるか否かだ。驚天動地のトリックや〝どんでん返し〟が幾ら仕掛けられていようと、納得できるストーリー展開や登場人物、文章に魅力がなければ、「本格」についてはシノプシスを知るだけで事足りる。
本作は、シリーズとしては既に完結しているモース主任警部登場の第1作。殺人事件自体はいたってシンプルなものだが、モースがさまざまな仮説を立てながら、中途で明かとなる -
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深夜、停留所で二人の女性がウッドストック行きの最終バスを待っていた。しかし翌朝二人のうちの一人が死体となって発見される。誰が殺害したのか?目的は?もう一人の女性の正体は?謎が謎を呼ぶ、わけではなく最初に提示された謎三つの謎を解くことに終始する話です。
しかしこの作品の見どころは推理ではないでしょう。
モース主任警部の人間臭さがこの作品を他の推理小説とこの作品を差別化していると言えます。推理小説における探偵最強の風潮に反旗を翻すかのように、彼は推理を間違い、容疑者の女性に恋をし、挫折し、鬱状態に陥ります。最終的には冷徹に論理的な推理を披露したものの、モースの思考は私たちに近いものがあり、この小説