大庭忠男のレビュー一覧
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劇的な終幕を迎えた「十日間の不思議」(1948)に続く1949年発表作。単なる〝思考機械〟から苦悩する探偵へと様相を変え、円熟味を増したエラリイ・クイーン中期を締めくくる傑作だ。
正体不明の連続殺人鬼にマンハッタンは震撼していた。何れも絞殺で、犯行には絹紬が使われていた。性別や人種、年齢や家庭環境に共通点はなく、動機も解明されない。新聞は過激な記事で恐怖を煽り、殺人鬼を〝猫〟に見立て、新たな犠牲者をその尻尾に付け加えた。すでに尾は五つ。市民らは自警団を作り、不甲斐ない警察と市政を批判。父・リチャードに懇願されて捜査の陣頭指揮を取ることになったエラリイは手掛かり皆無の連続殺人事件に着手するが、 -
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ネタバレ競馬シリーズの後ろの広告で見て。
まったくもって作者の思うつぼにはまっていたらしく、
全然犯人がわからなかった。
まだタイピストが全盛の時代で、
しかも主人公のモース主任警部が熱を上げた女性が犯人なんて、誰が思う?
ウッドストック行き最終バスを逃した二人の若い女性のうち、
一人が殺された。
ヒッチハイクを一緒にしたもう一人の女性は誰なのか。
殺された女性と同じ職場の女性がその日の行動に嘘をつき、
暗号が隠された手紙を受け取ったとしたら、
その女性が同乗者だと思い込んで当然でしょう?
途中で、モース主任警部が事件と全然関係ないところで足にけがをしたり、
部長刑事相手に犯人の条件をあげて統計 -
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ミステリ。モース主任警部。
著者の本を読むのは4冊目。
3冊読んで4冊目に挑戦している訳なので、何かしらの魅力を感じてはいたが、シリーズの面白さを明確に認識できた一冊。
読んでいて連想した作家はアントニイ・バークリー。
個人的に思う作品の魅力は、モース警部の想像力を活かした捜査スタイル。
証拠からストーリーを考える論理的手法ではなく、ストーリーを考えてから証拠を集めるスタイルが特徴的。
このスタイルのおかげで、一冊を通して推理がひっくり返され続ける。
最後の最後まで、事件の輪郭が掴めず、何が起きているのかも分からない。ホワットダニットというやつか?
独特のユーモアもあり。
自分のなかではかなり -
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難聴のニコラスクインが殺された。海外学力検定試験委員会に選ばれた無害な彼はなぜ殺されたのか?
モース主任警部のアクロバティックな推理?が炸裂する!!
期待通りの仮説と推理の繰り返しで大満足。事件の肝が不正絡みか恋愛か動機は釈然とせず。被害者も含めた登場人物の行動の時刻がいまいちわからない。モースとやきもきしながら推理の妄想を楽しみました。
ある程度構えてしまったため、前作ほどのカタルシスはなかったものの、モースが閃くたびに、私も目がキラキラしてしまいました。
モースの天才と紙一重な探偵っぷりがほんとたまらない。
「極度の難聴」この事実が見事に最後のピースになっていることが本当に憎い!! -
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英ミステリ作家、コリン・デクスター(1930-2017)による、モース主任警部シリーズの1作目。
モースは、「英国で最も好きな探偵」第1位に選ばれたこともあり、イギリスではシャーロック・ホームズを凌ぐ人気があるとも言われるのだそうである。
本シリーズは長編13作、短編集1冊が刊行され、モースの死によって完結している。
本編もドラマ化されているが、近年、若き日のモースを主人公としたテレビシリーズが制作され、日本でも一部が放送された(『刑事モース〜オックスフォード事件簿〜』(原題は"Endeavour"。モースのファーストネームで、原作の壮年モースはこれを明かしたがらず、ネタの