大庭忠男のレビュー一覧
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本書は、イギリスの作家、コリン・デクスターの「モース警部」シリーズの第一作。このシリーズも、私が好きなシリーズの1つだった。「モース警部」シリーズは、イギリスではTVドラマ化もされており、人気のあるキャラクターであったようだ。
筆者のコリン・デクスターは、1930年生まれ、2017年3月に86歳で亡くなられている。デビュー作である本書「ウッドストック行最終バス」は、本国では1975年に発表されているが、日本での翻訳の発行は、1988年11月であり、本国での発行から10年以上の年月を経ての翻訳となっている。
本シリーズは、本格推理小説としても高く評価されている。例えば。
■2012年の文藝春秋に -
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「ウッドストック行最終バス」に続くモース警部シリーズ2作目。前作に続いてルイス部長刑事とコンビを組んで捜査にあたる。
モース警部が事故死したエインリー警部から引き継いだ仕事は、2年前に失踪した少女の捜索だった。 エインリーは何らかの調査でロンドンを訪れ、その帰りに自動車事故で亡くなったが、その直後失踪したバレリー・テイラーから両親のもとに無事を知らせる手紙が届く。 しかしモース警部の直観は、バレリーは既に死んでいると告げていた。 手紙は本物なのか。 エインリーは何かを掴んでいたのか。 モースはルイス部長刑事とともに捜査を始めた。
モースの独特の推理と、常識的なルイスとの掛け合いとともにスト -
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なかなか来ないウッドストック行のバスを諦めて、ヒッチハイクをした二人の娘のうち一人が死体となって発見された。 モース警部はルイス部長刑事と共に捜査に当たるが、一緒にヒッチハイクした女性も拾った人物も誰だかわからない。 殺された娘の同僚は何かを隠しているようだが....
モース警部が活躍するシリーズの第1作。 本格ミステリの楽しさで一気に読んでしまった。 少ない判断材料から大胆な仮説を立てて真相に迫ろうとする、モース警部のアプローチが面白い。時代背景としては科学捜査も重要なはずだが、このシリーズではストーリー上あまり重視されないらしい。 重層的な謎が最後に一気に氷解する面白さを味わえる。 -
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「ウッドストック行き最終バス」を読んでから、10年ぶりくらいのモース警部ではないだろうか。長いこと積んでしまった。
モースという人物にイライラしたり、早く解決しろとモヤモヤする方は、肌に合わないだろう。彼の妄想爆発推理、仮説に次ぐ仮説。これを楽しめる読者の私は、この物語を終わらせたくなかった。ずっと彼の推理に寄り添いたかった。もちろん真相は知りたかったですけども…
相棒のルイスが呆れ果てるほどの、モースの変人っぷり。偉大な探偵達に背を向けるアンチ名探偵。
何度もモースの推理に驚かされ、そして笑わせてもらった。バークリー作品にもいえますが、正統な流れから逸れて、意表をつく。これが私は愛おしい -
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ネタバレ十年ぶりに書庫から顔を出したコリン・ デクスターの「モース警部シリーズ」十数冊。その中から忘れている話を読み始めました。
いまではオックスフォードまでグーグルのストリートビューであっという間に飛んでいけますが、当時はイギリスの地図を指で追いながら小さなジェリコ街を探していました。隔世の感があります。
「あたしの住所はおわかりでしょう?」彼女はささやいた。
彼はうなずいた。「しかし、お名前を知りません」
「アンよ。アン・スコット」
彼は微笑みをうかべた、ほとんど幸福そうな笑顔だった。
「あなたのお名前は?」
「モースです」警官は言った。(大庭忠男訳)
翻訳がとてもいい名訳です。
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ネタバレモース主任警部第七弾。
オックスフォードのホテルで企画された
大晦日から新年二日にかけて宿泊プラン、
その山場は大晦日の夜の仮装パーティだった。
仮装コンテストで優勝したのはラスタファリー教徒の仮装をした男だったが、
翌朝ホテルの別館三号室で死んでいるのが見つかる。
殺された男は顔を激しく傷つけられ、
警察が来る前に帰ってしまった宿泊客たちは正体不明、
雪が降っていたので別館は密室状態と、
設定は悪くないし描写も面白いので、読んでいて楽しい。
モース主任警部が登場するまでは。
ちなみにラスタファリー教徒、というのは信仰というよりも思想運動のようだが、
その仮装はドレッドヘアーにフェルトの -
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ネタバレモース主任警部第五弾。
パーティで偶然会った若い女性に家に招かれ、
半年後にふらりと訪れたモース警部。
もちろんロマンス的な展開にはならず、
鍵が開いていた部屋の1階には誰もいなかった。
だが、その夜に女性が首つり死体で発見される。
女性の部屋を訪れたのを隣の男に目撃されていたモース警部は…。
といっても今風に、警部が犯人だと疑われたり、
内部監査をうけたり、警部を陥れる陰謀だったりはしない。
いつも通り推理が迷走して、
女性の自殺の理由は自分の息子の子供を妊娠してしまったからだ、
とルース刑事に主張していた。
身代わりのトリックは前回も見たような気がするが、
今回のトリックは見事だった