酒井啓子のレビュー一覧

  • 〈中東〉の考え方

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    2010年発行の中東解説書。現時点では少し状況が変わっているかもしれないが、それまでの歴史的経緯を知るには十分な情報量がある。全体像をつかむには良いと思う。是非アップデートした内容での続編を希望する。

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    2021年04月23日
  • 〈中東〉の考え方

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    イラク戦争のときの的確な解説がとても印象的だった著者による「中東」全体に関する概説書。

    「中東」といっても、そもそもそれはヨーロッパが作った概念で、具体的にどこからどこまでが「中東」なのかもわからないし、国や地域によってとても多様性がある。著者の専門は、イラクということで、その領域を超えることへのおそれも感じつつも、こういう概説がないことを踏まえて、書いてみたとのこと。

    著者の「9.11後の現代史」を最近読んで、今、中東で起きていることの意味がなんか浮かび上がった感覚があったので、より長い期間をカバーしているこちらも読んでみた。

    中東というと、イスラム教と他の宗教の対立、イスラム教の中で

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    2019年03月10日
  • 9.11後の現代史

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    9.11以降の現代史。

    といっても、現代史全般ではなく、中東、そしてアメリカと中東との関係を中心とした現代史。

    面白いのは、年代順の記述ではなくて、まずイスラム国の話があって、その原因としてのイラク戦争、その原因としての911とその背景と、現代を理解するために時代を遡るかたちで書かれていること。

    また、アラブの春とその後の残念な展開、一見、イスラム内の宗派対立にみえるものの背景にある現実的な政治的な利害対立、そして、その原因にある旧宗主国の密約、ダブルスタンダード、二枚舌。。。。

    中東問題のそもそもの根っこだと思われていたパレスチナ問題も、問題の発端ではあっても、いまや問題の後景でしか

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    2019年03月08日
  • 9.11後の現代史

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     「9・11」以後の中近東をめぐる国際関係・政治構造の変化を実態に即して明らかにし、なぜこの地域で武力紛争やテロが横行するようになったか明快な回答を示している。「イスラム教の宗派対立」に還元する通俗的な枠組みを排し、あくまでミクロな政治対立の連鎖が多元化・複雑化して、中近東の政治に混乱と混沌をもたらしているとみなす。アメリカの場当たり的な介入・関与、特にイラク戦争の強行が決定的な岐路であったことがわかる。シリア内戦以降、従来中近東の最大の政治課題だったパレスチナ問題が後景に追いやられ、アラブ対イスラエルの対抗軸が事実上崩壊したという指摘は重要で、政治思想・宗教やイデオロギー、あるいは歴史的利害

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    2018年09月21日
  • 9.11後の現代史

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    近代的国民国家の定義は崩壊している。そもちゃんとした定義ってあったのだろうか。宗教や出自・民族にとらわれない民主的国家が近代的国民国家とされてきた。
    西欧からもたらされたこの国家概念が世界を覆ってきたわけだけど、これも19世紀後半に都合がよかっただけのものかもしれない。最初の定義に基づけば、イスラエルは明らかに近代的国家の資格をもたない。でも存在を認めるしかないの現実をどう受け止めていけばいいのか。他者に寛容になれないのが人間の本質だとして、だからこそ理性で不寛容を制御していくしか未来は展望できない。もしくはある一定の不幸に心を閉ざすかだ。

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    2018年03月18日
  • 高校生と考える世界とつながる生き方 桐光学園大学訪問授業

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    「私は この小説を書くときに、読んでくださる人が小学六年生までの漢字を読む力があれば読んでもらえるものと思ってこの作品を書き始めました」
    と「氷点」を書いた三浦綾子さんがいってらっしゃいました。

    この本の中で出張授業をされる先生たちは
    もちろん、その道のプロフェッショナルの方たちです
    そして、聴いている対象者たちは 中学生、高校生たち
    その語り口が そのまま 一冊の本にまとめられました

    その「語り口」を読んでいて
    冒頭の三浦綾子さんの言葉を思い起こしたのです

    本当の専門家は
    ただ感心させるだけでなく
    それなら 僕も(私も) 何かやってみよう
    そんな気にさせてくれる方なのです

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    2016年07月05日
  • 〈中東〉の考え方

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    イラク研究の一人者である酒井啓子先生の中東現代史概略の入門書。分かりやすく且つ深みがある。研究者として一流であるだけでなく、大学で教鞭を取られている経験がフルに活かされている。必読。

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    2015年03月19日
  • 現代思想 2015年3月臨時増刊号 総特集 シャルリ・エブド襲撃/イスラム国人質事件の衝撃

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    中田考、廣瀬純、ジジェクの文章が面白かった。

    いろんな文章を読むほどに自分からそう遠い話ではないと思わざるを得ない。しかし同時に大量の文章がテロリズムについて語るほどに、自分の頭で主体的に考える機会も失われていく。研究の指針が失われていくのと、いわゆる最後の人間に自分も近づいていくことを感じる。何かの原理主義者にでもなりたい気分である。その何かは不在であるのだが。

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    2015年03月03日
  • 〈中東〉の考え方

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    中東と聞いて私が真っ先にイメージするのは、やはり絶えることのない紛争、テロであった。イスラエル、パレスチナの対立の原因となったフサイン・マクマホン協定、バルフォア宣言、サイクス・ピコ協定ぐらいは知っていたが、それ以外はほとんど無知であった。なぜここまで争いが絶えないのか、なぜイスラム教徒たちはテロを繰り返すのか。
    本書は、「イスラム教」という切り口ではなく、「中東」という地域性に焦点が絞られている。私は前者に興味があったので、その点に関しては少々物足りなかったが、それでも学ぶべきことは非常に多かった。

    特に冷戦時代の米ソとの関係性は、複雑に入り組んでいたように感じた。左傾化する中東諸国をけん

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    2013年07月26日
  • 〈中東〉の考え方

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    「中東」は、奥が深い。新書1冊くらいで分かった気になってはいけない、ということが良く分かる、分かりやすい入門書です。

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    2012年03月10日
  • 〈中東〉の考え方

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    中東については無知に近かったので大枠の知識が理解でき有効であった。
    ・イスラエルはユダヤ民族主義を元に建国された。出身は皆異なる。
    US、軍事費の1割をイスラエルに使用する。イスラエルロビーの影響。
    特に民主党はminorityを尊重する。
    ・ビンラディンはUSの子分だった。
     ソ連がアフガン占領時に、対ソ連で地元アフガンと闘った。

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    2011年12月17日
  • 〈中東〉の考え方

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    日々ニュースで取りざたされる中東問題の、「わけのわからなさ」。その背景には何があるのか、いままで断片的にしか知らなかった。そんなときに手に取ったのが、この本。本書を読むことで、日々ニュースで接するアラブ諸国への理解が進んだように思う。予備知識がなくても、とてもわかりやすいし、かなり勉強になった。

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    2011年08月21日
  • 〈中東〉の考え方

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    ネタバレ

    中東についての基本的な知識が得られた。
    わかりやすい!
    基礎知識がほとんどないままよんだのでもう一度読むことになるだろう。

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    2011年10月22日
  • 〈中東〉の考え方

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    中東がいかに国際政治の中心であったかが書かれている。

    中東の歴史をあまり知らない状態で読んだので中々難しい内容であったが非常におもしろかった。

    中東の入門書としてはあまりオススメできない。

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    2010年11月25日
  • 〈中東〉の考え方

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    中東に関して幅広くかいてあるが、多くの国にまたがっているため、時々どの国の話をしているのか混乱してくる。中東ではさまざまな要因により、今が成り立っていることがわかった。

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    2021年09月18日
  • 9.11後の現代史

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    20世紀を通じて中東で起きてきたことは、世界の、特に欧米諸国が行ってきたことのツケみたいなものである。そして、21世紀。アメリカの陰り、テロ、難民、宗教対立……2001年の9.11米国同時多発テロ事件を機に、そのツケがさらに巨大なものとして私たちの目の前に現れている。中東から、混乱の世界を読み解き、どう次の時代につなげていくのかを問う、かつていない現代史。
    ちょうどアフガニスタンのニュースが入ってきたタイミングで興味深く読みました。中東=宗教宗派の戦いというイメージがどうしてもあったのだけれど、筆者の丁寧な説明で、なぜここまでこじれてしまったのか、決してイギリスの二枚舌だけではなかったと分かっ

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    2021年08月29日
  • 9.11後の現代史

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    ちょうどこの本を読み終えた時期に、アメリカのトランプ大統領がイランの司令官を殺害したというニュースが報道されました。タイムリーだなあ、と思いつつも、こういうタイミングは合わなくていいのに、とも思ったり。

    本書の内容は主に中東と欧米、特にアメリカとの関係を考察していきます。構成として工夫されていたと感じたのは、イスラム国といった最近の話題から遡って、イラク戦争、9.11と話をつなげていくこと。そこでまずイスラム過激派の潮流を追った後、アラブの春と視野を中東全体に広げ、中東全体の様子とアメリカの中東政策を俯瞰し、最後にパレスチナの話になります。

    イスラム国という最近の衝撃的なトピックから入るの

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    2020年01月20日
  • 〈中東〉の考え方

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    複雑過ぎてとても新書一冊では「分かった」気にならない。
    中東と言ってもその定義は民族でもなく、地理でもなく、宗教でもない。ただ何と無くある種の連帯感みたいなものはあって、それはおそらく大国の世界規模の戦略の中で利用され(時には自ら)、結果として様々な矛盾を孕んできたという歴史が一役かっているのだろうと思う。

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    2014年07月26日
  • 〈中東〉の考え方

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    中東のわかりにくさは、欧米の文脈に乗り切っていないことにある。日本人が欧米の文脈をちゃんと分かっているかは疑問だが…。

    以下、引用。
    近代国民国家の思想においては、「国民」アイデンティティーがすべてに優先する。それ以外のアイデンティティーは、背後に追いやられる。そのことは、かつて共存していた人々を、異なる民として切りすてることでもあるのだ。
    引用ここまで。

    国家も民族も、あるべき論というのはは幻で、ただ現在・現状と各々で異なる願望だけがある気がする。

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    2013年08月20日
  • 〈中東〉の考え方

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    ネタバレ

    石油と冷戦。この二つが中東を歴史の荒波に翻弄される小舟足らしめる大きな要因だったのだろうか。それにしても今の混沌を招いたアメリカの所作には大きな責任があると思う。
    冷戦も全体のバランスを考えれば意味のあったあり方なのかもしれない。今は西洋文化・キリスト教的思想が多勢を占めているが、今後はイスラムであったりアジアといった力が肥大することで偏ったものの見方が正されればと思う。

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    2012年05月28日