木皿泉のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
世の中には誰かを見張るための人のなりすましたロボット「カゲロボ」がいる。いじめや社会の問題を監視するために存在すると言われている。それは人の形であったり、ネコだったり、場合によっては箱の場合もあり…。
生活の中に入り込んで、いろいろな人を監視するための小さかったり大きかったりするロボットたちが、人々に能動的にではなく働きかけ、人の気持ちを変えていくというストーリー。
足の先を切られたネコ、置いていかれた金魚、友達だという箱など、ロボットや機械などがこそっと入ってくる、まあショートショートなのかな?
ただ、後半数本において、それまでの話のストーリーの登場人物を再度出そうとして、無理やり繋げているのは悪くないものの、途中からコンセプトにこだわりすぎて、ロボットの出現が取ってつけたような出現方法になっていく。
全体に表紙の100%オレンジの絵に軽そうなタイトルだが、全体に重いというかくらい方向の話が多く、一部はホラー的な手触りも有る。また、むりやり純文学のような言葉選びをしているのも、普通にエンターテイメントに振ったほうが良かったんじゃないのかな。
ダメだ、失敗作というものではなく、全体に印象が良いだけに、最後数作で尻すぼみになってしまったり、個々の作品も無理やりほんわか終わったりは気になった。もっと残酷でクールで良かったかも。
でもまあ、なかなか良かったですよ、 -
Posted by ブクログ
友人・知人に「この本どう?」って聞かれたら…
「おもしろいよ。すごい感動するわけじゃないけど、短編9編で読みやすいし、ひとつふたつは印象に残るものがあるんじゃないかな」
って、言います。
「はだ」「あし」「こえ」など、身体に寄せたひらがな2文字がそれぞれの短編タイトルになっています。最初に目次見た時も面白いなーと思うけど、読後に見るとまた話を思い出しやすいのもいいですね。(これどんな話だっけ、と思うものもありますが)
裏表紙の紹介文に「押し潰されそうな心に、刺さって抜けない感動が寄り添う、連作短編集」とあり、これを見て読んでみたのですが、私はそこまで感動しなかったですかね・・・。
でもロボットに関連しつつもSFファンタジーすぎず、リアルな感じでよかったです。それぞれ独立した短編ですが同じ登場人物が出てきたりしてちょっとした伏線回収もあります。
私は「めぇ」「こえ」「ゆび」が印象に残りました。
「めぇ」は軽い気持ちで参加した単発バイトから混乱が起こる76歳友子の話、「こえ」は今日からこれが不登校の中島だと思えと言われ謎の箱の世話を任されるツチヤの話、「ゆび」は終末医療施設でOL時代の通勤時の痴漢に思いを馳せる65歳有子の話、です。
中学生のミカの話「かお」がいちばんいい話だなーと思いましたが、私が後々に話を思い出す可能性があるのはインパクトの強い上記3編になりそうな気がします。 -
Posted by ブクログ
木皿泉さんの初期作品。
1998年~1999年にスカパーで放映されたドラマのシナリオが20年の月日を経て河出文庫で出版される。
イッセー尾形さんと永作博美さんが歳の離れた夫婦を演じた。
舞台となる場所はふたりの家のリビングのみのワンシチュエーションコメディ。
主にふたりの会話の妙で笑わせ、ほっこり、胸がぽ、ぽ、ぽ、とあたたかくなる。
解説は女優で本も出している美村里江さん。
自身は女優デビュー前から熱心な木皿ファンで、デビューしてからも「いつか木皿作品に参加すること」を目標にしていたそう。
しっかりと分析された解説を書かれている。
ネタバレになるから書かないが、第十二話の妻が夫に送ったメモがいい。
理想の夫婦だわ~。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「すいか」で大事な言葉をたくさんいただいたので、お二人の対談エッセイとなれば、是非とも読んでみたいと思い購入した。
心に留めておきたいことメモしておく。
・特に家族ともなると、相手になにかをしてもらうことが当たり前になり、それが引け目となって積み重なり、その人にあらがえなくなる。そうならない方法は「ありがとう」を言うこと。感謝の言葉が届けば、やってもらった側もやった側も、気持ちが空へキレイに消えて行く。
・家族も愛も確かなものではない。この世にある確かなものは好きだという気持ちだけ。
今日の好きは今日の分。明日の好きは明日つくればいい。
・かっぱさんが鬱病になって苦しんで泣いていた時プロデューサーがかけてくれた「たかがドラマじゃないですか」の一言。
・何となくいろんなことをぼやかして曖昧にしてるからこそ成り立っていることもある。
そもそもわたしたちは、自分がなんで生まれてきたかだって、自分が何者かなのかだって、わけもわからず生きてるそういう存在。
・街で突然知らない男に蹴り倒されたかっぱさん。「あの時もしピストルを持っていたらためらわず撃ち殺してしまっていたと思う」
人を殺すなんて想像できないことだけど、もしも凶器を常に持っていたら、カッとなった瞬間誰だって人を殺してしまう可能性はあるってこと。その後の辛さを想像できずに。
・大福さんが誰に聞いても知らないという、子供の頃読んだ本を、かっぱさんも当時読んでいて、内容を事細かに語ってくれた。子供の頃出会ってなかったはずなのに、思い出の中で一緒にいるような懐かしく嬉しい気分。