木皿泉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書を読んで一番強く感じたのは、人は「過去を乗り越えて」前に進むのではなく、過去を抱えたままそれでも日々を生きていくのだということだった。
この作品には、大きな事件や劇的な展開があるわけではない。誰かと話したり、ご飯を食べたり、仕事をしたり、誰かを好きになったりする。そんな一見すると何気ない日常の積み重ねによって、登場人物たちは少しずつ前へ進んでいく。
興味深いのが、タイトルの「昨夜のカレー、明日のパン」という言葉。昨夜のカレーは過去で、明日のパンは未来。その間にある「今日」を、人は生きているのだと思う。過去にどれだけ大きな喪失があっても、それを消してから未来へ進む必要はない。昨日のカレ -
Posted by ブクログ
二回、読んだ。
一度目はいつも通りに。
二度目はじっくりと噛み締めるように。
あらすじに、
病気のため43歳で息をひきとるが、その言葉と存在は、家族や友人、そして彼女を知らない次世代の子どもたちにまで広がっていく。
と書いてあった。
フィクションだから、奇跡みたいなことがおこるのかな?と軽く思ってたけどそうじゃなかった。
普通に生きてる人が、日々生きていく中で起こす行動や言動であっても、人の心に響くことがあるんだ。ずっと心に残り、その後の人生の指針になり得ることも。
私は偉人にはなれない。
国から表彰されることも世界的にすごい賞を獲ることも絶対に、ない。
何も残せないどこにでも居るような -
Posted by ブクログ
ネタバレ・ドラマを書く仕事をしていて考えるのは、人は何を見たいのかということだ。ストーリーだと思うかもしれないけれど、実はそうじゃないと私は思っている。見たいのは、人間のリアクションなんじゃないだろうか。バラエティー番組で追い詰められた芸人さんの姿に思わず笑ってしまう。ドラマも同じだと思う。役者がこの状況でどんな表情をするのか、もしかしたら見たいのはそれだけかもしれない。
・よい結末になるかどうかは、日常のささやかな行動の中にすでにある。人はなりたいものになれるはずである。
・匂いは、コトバにできない、でもそこにある。白い夏の制服に、うっかりつけてしまった習字のシミのように、洗っても洗っても消えず