海老原嗣生のレビュー一覧
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いま、静かな退職が広がっている。
静かな退職というのは、会社を辞めるのではなく、働き続けるが、必要最低限しか働かない状態のこと。
例えば、
●会議で発言しない
●飲み会に参加しない
●定時で帰る
●管理職になりたくない など。
会社に24時間尽くすという考えの、高齢な方には違和感を感じるかもしれない。
その一方で、若者の中には、コスパが悪いので当然という意見もあるかもしれない。
海外では、特にヨーロッパを中心に、エリート層とそれ以外が明確化しているとのこと。
エリート層は残業が当たり前で働きまくるが、それ以外は定時退社が当たり前だとか。
働き方の新しい考え方を提示してくれる本。
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欧米の人って多様な生き方を自分で選ぶ。全部自己選択。自己責任。これをやって、本当に業績がアップすることにつながるのかと考える癖をつける。厄介な仕事に手を挙げておくと、部署の中で自分の存在価値を著しく高めることにつながるだけでなく、自分のペースで仕事をすることができるようになる。勤務地を移動するたびに1つ長く付き合える顧客を増やしておく。4月から6月の残業を抑制する。現役時代の生活レベルはあまりあげないように収入を貯蓄に向けておく。節税可能な金融商品をうまく活用する。退職後も、ダブルワークのノウハウを活かして、リモート中心で楽にある程度の収入を得ること。
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「静かな退職」をするためのノウハウ本というよりは、みんな忙しい日々を過ごしているのに生産性も賃金も上がらない日本の労働環境を俯瞰した一冊、という印象。日本の大学教育から新卒一括採用、その先にある日本型の雇用慣行が、全員を階段を登らせようとする会社を形作ってしまい、本書の言う「忙しい毎日」から逃れられないサラリーマン生活を生んでいるということがよく分かる。
いつもながら筆者の労働環境の描写は鋭い。例えば若者の転勤に対するスタンスのように、その雇用慣行を取り巻く雰囲気が昨今急激に変化したようにも感じるが、4章で筆者の提示するその原因は、実証されている訳ではないにしろ、なんとなく現場で感じる肌感に通ずるというか、妙に腹落ちするところがある。
最終章の政策提言、高プロの部分の「エグゼンプションにするなら、労働者保護がパッケージでなければ」という部分はぜひ多くの人に知ってもらいたい。 -
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著者の海老原嗣生氏はyoutubeで見たのだが、イメージで語られるネット世論やマスコミ、評論家、政治家らの話を、正しいデータを開示して視聴者の思い込みや誤解を解くような話をする。それが面白かったので本を探したらこれがあった。
何かと世論を二分する外国人問題。どう思うかという前に、その考えの根拠となっているデータの解釈が正しいのか?ということがひどく気になる。
そこで著者は外国人反対派、外国人擁護派それぞれが勘違いしてることをデータとともに説明する。そのうえで、こういうふうにしたら解決するんじゃないのか、という提案をする。そう言われればそりゃそうだということも多いものの、具体的なトラブルではなく数字で話すので大雑把でちょっと乱暴なところはある。この著者の出すデータなので分析に間違いはないだろうが、そこから導く提案はいろいろでしょうからね。 -
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雇用ジャーナリスト・海老原嗣生氏が、アメリカ発の「Quiet Quitting」を日本の文脈で解説した話題作です。出世を目指さず最低限の業務だけをこなす「静かな退職」という働き方が生まれた社会構造の変化を、豊富なデータとともに分析しています。日本独特の「忙しい毎日」文化と対比しながら、欧米では当たり前の働き方であることを指摘し、手を抜けば抜くほど労働生産性が上がるという逆説的な事実を示します。静かな退職を選ぶ人への働き方の指針やライフプラン、管理職や企業側の対処法まで実践的に提案しており、新しい労働観に向き合うすべてのビジネスパーソンに必読の一冊です。
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【異次元の少子化対策が、意識や社会を変えられたら】
子供がいなくても幸せなあなたへ
労働力や税源として
いずれ子供達に支えられる未来に想いを馳せてほしい
育児は苦でなく楽しいもの
共働きと両立できるものだと
誰もが思える日が来ることを願って
・90年代以降の経済不調で短大卒の就職先が減少、4大進学率上昇と総合職化が進む
・女性の高学歴化や社会進出に伴い「格上」の男性が減った一方で、依然として男性に「経済力」「職業」「学歴」を求める女性が多い
→高学歴女性、低賃金男性が余る(ハードワークな低学歴低賃金女性も?)
・夫婦共に正社員雇用でも妻の家事育児時間が長い
・40代は子供が産めないというメディアを中心とした刷り込み
→男性が35歳以上の女性を避け、女性自身も婚姻を諦める要因に?
・サービス業の単価が安すぎるので諸外国と比べ外食やサービス業の利用割合が高い
→非正規雇用の人件費が高まり販売価格に転嫁されれば利用者が減り、人材不足も収まり、家で済ませるとなると共同生活で分業するメリットが増す
・子育て支援の財源として新たな社会保険を創設すると「なぜ子供がいないのに負担しなければならないのか」という批判が渦巻く
→介護保険導入前は介護=嫁がやるのが常識だったが、制度設立が意識や社会を変えた
・子持ちの主婦が遊ぶなんてもってのほかという風潮
→社会全体で育てる仕組みづくり、仕事と両立するうえでの精神的負担軽減に公費を割く
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本書は専門的すぎないし、それていてデータを駆使して、分かりやすい文体で非常に興味深く読み終えました。
過去は明治の与謝野晶子から歴史を紐解いていますが、時代と意識の変化は、多くの人が思うよりも大きいと感じましたね。
読んでいて、そう言えば過去はそうだったよねとうなずくこともしばしば。
女性の問題ほど、日本社会で意識の変化が大きく変わった事は無かったのではないかと思いましたよ。
「昭和型社会構造」が壊れた経過などは、小生の青年時代を振り返って納得の思いを持ちました。
さらに「女性の社会進出」が「理念や啓蒙活動」でおきたのではなく「経済・人口構成・差別などの社会的要因」が起点になったとの認識は説得力が有りましたね。
また「家事・育児の外部サービスを利用すべきか」の出生動向基本調査の結果が、短い期間に「利用すべきでないから「すべき」に大きく変化したなどの、興味深い指摘には驚きました。
本書は、本来個人の私的な決断である「婚姻と出産」についての「社会意識」を抉る様に明快に書いた本だと高く評価します。 -
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総論においては、筆者の主張に首肯できるのだが、第5章で積み上げ方式の査定を改めて、洗い替え方式にせよ、と主張している。
積み上げ方式の評価の会社もあるのだろうが、公式には洗い替え式を謳いつつも、実際の運用は積み上げ式に近い会社も多いのではないか、と推察しています。
知り合いの会社では以前、エリート人材を発掘・伸ばすためと称して、優秀層を積極的に登用する施策を続けてきました。確かに一部の優秀な人材が取り立てられたのですが、あぶれた次点、中間層が会社から流出するなど、弊害が大きくなり、従来型の査定に戻したとのことです。このように制度を作っても、運用が難しい人事制度は大部分の会社で上手くいかないのではないかと思います。 -
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大学生の就職活動のことを「就活」と呼ぶようになったのは随分以前のことだと思う。興味のある会社の就職用サイトがオープンしたタイミングでエントリーシートを提出するところから就活は始まる(ただ、私が知っている「就活」はコロナ前のタイミングでのものなので、それから何かやり方が変わっているかもしれない)。選考が進み、面接等が行われた後、合否連絡が企業から学生宛に送られる。その中の不採用通知のことを、「お祈りメール」と呼ぶ。不採用のことを「ご縁がなかった」と表現し、末尾に「今後の発展をお祈り申し上げます」と書く。このような紋切り型のメールのことを揶揄して「お祈りメール」と呼ぶのだ。
本書の題名は、日本型の新卒一括採用の功罪を論じるようなものであるが、実際には、日本と欧米(特にフランスとよく比べている)の雇用システム全体の違いについて論じている。
日本の雇用システムの最も大きな特徴の一つが、職務を特定しないまま採用する「新卒一括採用」であるが、それは例えば「学生にとって大きな負担」だとか、あるいは、「学業スケジュールを邪魔している」等の批判を受けることがある。また、最近では新卒採用のみではなく、企業の中で主にジェネラリストとして育成・活用されていく日本の雇用システム全体が、職務を特定して採用・育成・活用していく欧米型の雇用システムに対して劣っており、それが、日本の長期的な経済停滞の主因だ等と主張する人まで登場している。
それに対しての本書のスタンスは、「雇用システムは各国ごとにユニークな側面がある。ただ、どの国の仕組みも一長一短があり、万能なものなどない」というものである。例えば欧米型の雇用システム(本書では上記の通り、特にフランスの制度について詳しい)は下記の特徴を持つ。それは、職務ごとに採用・活用が行われる、その前提としての職業訓練の仕組みが充実している社会である。
①職業訓練などの公的インフラが必要となる
②市場ニーズに合うように訓練される人数を調整しなければならない。そのため、幼少期より、学業成果によって、就くべき仕事へと半ば強制的な振り分けが行われる
③職務別の契約のため、すぐ隣の仕事にも移りづらく、キャリア形成に必要な職務の幅が保てない
④ホワイトカラーの職務については学校での再現訓練が難しいので、企業実習を長期に行い補完する必要がある。そのため、学業阻害が起こりやすく、また、就業先企業でのブラック労働が起こりがちである
⑤職務が限定されるため、担当外の上位職務を切り出して少しずつ経験することができない。そのため、上位職務者と下位職務者が固定化され、それがそのまま社会的な階層となってしまう
⑥空席ができた職務毎に採用するので、新卒者は簡便なエントリーレベルの職務に空きが出たときしか雇われない。そのため、就業機会が減り、若年失業率が高まる
「雇用システムは各国ごとにユニークな側面がある。ただ、どの国の仕組みも一長一短があり、万能なものなどない」という本書のスタンスに私は賛成であるが、それに加えてコメントしておきたいことがいくつかある。
■特定の国の雇用システムは、「雇用の仕組み」だけから成立しているわけではない。それは、例えば、一国の教育システムと密接な関連を持つし、税制や社会保障の仕組みとも補完的な関連を持つ。すなわち、それらは、大きな意味での「社会システム」そのものであり、「雇用システム」だけを取り出して何かを論じることは出来ないはずだ。それは本書の中でも、「それぞれの国の社会構造が異なる中で、他国の事例を日本にそのまま接ぎ木するという話は現実性がない」と論じられており、その通りだと思う
■最近、「日本の雇用システムも、欧米のような"ジョブ型"を目指すべきである」との議論が盛んに行われている。ばかりではなく、国の政策提言書、例えば、2023年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」の中で、「労働市場改革を実行することを通じた構造的賃上げを実現」することが謳われている。ただ、大きく振りかぶった割にはその内容は、「リスキリング」「日本型職務給導入」といった、欧米的なジョブ型雇用システムを目指すことが論じられている。それに対しては、既に上記しているが、「どこの国の雇用システムも一長一短ある。日本と欧米のシステムの全体像を論じたうえで改革の方向を定めるべき」「雇用システムは、社会システムとして捉えるべきものであり、ある特定の制度のみを接ぎ木的に導入しても何の意味もない」と私は思う。