海老原嗣生のレビュー一覧
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小泉悪玉論をデータを用いて反証。小泉改革が始まる前から、格差も失業率も、非正規雇用者も増えていた事実などを示す。小泉さんを擁護するとく目的ではなく、感情で世論が流されている実態に待った!をかけることが狙い。
「小泉改革で、正社員が減少した」との感情論があるが、本当なのか。
正社員数の増減は、今後65歳以上の人口が急増する中にあっては人口構成も考慮しなければ数値を見誤る。(★生産年齢人口(15歳〜65歳)は、今後10年で730万人減る★)
生産年齢人口が現在と同じ8178万人だった1984年との比較では、正社員数は3333万人→3441万人(108万人増加=3.2%増加)。非正規社員は1128万人増加。つまり、正社員が減っているのではなく、正社員は増えているが、それにも増して非正規社員が増えているというのが実際のところ。(P54〜)
日本型雇用が崩壊したと騒がれるが、実は15年に一度「日本型雇用が崩壊する」との騒ぎがおき、ゆるかやなシフトチェンジが行われている。1960年代の資本・貿易自由化時、1975年のオイルショックから安定成長への移行期、90年代のバブル崩壊期。これを大騒ぎにしつつ、実質的には一部の修正を加えることで、日本型雇用の進化を実現しているとも見える(60年代は個人評価が困難であった点から能力給を導入、75年時はポスト不足の問題を職能資格制の導入で部下なし担当課長を導入、90年代は下方硬直性で給与が高まりする部分を緩やかなな成果主義で改善。この流れで言えば2005年頃の崩壊騒ぎはもらいすぎの熟年の給与を下げるために成果主義とコンピテンシーを導入したと言える)。
若者の非正規社員数の増加を見て、ワーキングプアが若者に増えているというが、実際には正規社員数も増えている。ワーキングプアの増加の実態は、非課税(年収103万円未満)、被扶養者(130万円未満)という上限により、おもに主婦(と学生)の労働が制限されながら、増えているから。
慶応大清家篤教授は「一人で4人(夫婦子ども二人)を養う社会から、二人で5人(夫婦・子ども・両親)を養う社会へ」の構造変革が浸透しはじめており、熟年年収の削減で企業体力は温存され、人口減で働き手が減る中に新たな主婦労働の提供が進むことが期待される。しかし、主婦労働の制約となっている非課税・被扶養者枠の再考が不可欠であると指摘している。
女性の管理職が増えない要因、データで見ると、新入職者数は男性とほぼ同様でも、管理職比率が伸び悩んでおり、その原因は早期退職者が多いためとなっている。ではなぜ早期退職するのか、育児が女性だけの仕事になっており、ママ社員の退職理由の86.7%が出産・育児となっている。とくに、復職時の意識差に悩み、その後退職する例が多い。
本書のポイントは、「小泉改革批判を表層でとらえず、メガトレンドで見よ(要はGNP二位に躍り出た1967年頃はダントツに人件費が安く、人口は英、仏、西独などの二倍いることで、高度成長を続けた。80年代中盤になっても、欧米比60〜70%野レベルだった。ところがプラザ合意後の5年間で為替レートが2倍に高騰、以降日本は世界一高い人件費に悩まされ続け、右肩上がりの時代に設計された福祉モデルの維持も困難になった、小泉改革以前から非正規・高失業率の問題は顕在化しはじめていた)」「ガラパゴス化している正規男性社員への過剰保障構造から、非正規と正規の行き来が可能でや育児でキャリアを中断された女性も再挑戦可能な構造へ(グレイのハイブリッドへ)」の二点。
点でなく、線・面で考える思考を促す意味でも、労働問題をとらえ直す好著である。 -
Posted by ブクログ
著者は「静かな退職」の例を以下のように言う
言われた仕事はやるが会社への過剰な奉仕はしたくない
社内の面倒くさい人間関係は可能な限り断る
これって「退職」なの?って気もするけど、このような働き方をする人と、これまでのような「会社人間」との軋轢を解消するための本らしい。
そもそも、静かな退職的働き方はヨーロッパのジョブ型雇用の社会では当たり前。職業に階級があり、簡単に昇進、昇給できない社会であれば、言われたことだけを時間内に終えるのが仕事、という考え方。
むしろ日本が特殊。仕事で昇進、昇給ができる社会。仕事に「熱意」があるのが当たり前の社会。
ただ最近は、昇給も難しくなり、女性の社会進出で多様な働き方をする人が増え、「静かな退職」も市民権を得てきた。
まぁ、24時間戦えますか?の時代じゃないよね、とは思う。
で、後半は静かな退職的仕事術が書かれていたけど、
マナーに気をつける、やらなくていいことはやらない、自分に向いている厄介な仕事は引き受けて心象を良くする、で、さらに副業のおすすめとか。
前提が「能力のある人」すぎてなんだか微妙だった、、
以下メモ
女性のキャリアの4類型
①結婚せず、男性同様に忙しい毎日を送るおひとり様&Dinks
②事務職として結婚まで働く
③出産まで猛烈に働き、出産退職
④出産→育休→復職を経てぼろぼろになって辞める
え、この4類型悲しくない?もっとあるよね、と個人的には思う -
Posted by ブクログ
「静かな退職という働き方」という、クソみたいな本書いた人か。
「就職氷河期」について、データをとれば全く出鱈目だという主張。
まさに。
むしろバブル時期が異常だったのであって、少なくとも大学卒業者について、同条件で比べればさほど差がない。
ただこの期間中に、低レベルの大学がむっちゃ増えたし、女性活用により男性に限って言えば採用も減っただろうし、雇用が65歳までに伸びたので給料全体のコストが変わらないとしても、単価は下げられてる。
数字から見えるのは、そうした状況の変化と、低学歴就業者と、性差による収入の違い。
そんな当たり前のことが「就職氷河期」という言葉で歪められる。ので、対策があっち向いてホイになってしまっている。
多分、マスコミも官僚もわかっているのだろうがわかりやすいキーワードに乗る方がやりやすいし、実際、就職氷河期を擁護しない主張には、むっちゃクレームが来るという。
なんだ、ちゃんと分析して語れる人なんや。
「静かな退職」は主張の仕方がおかしかったのか。 -
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何だか思っていたのと違う内容だった。現在の職場に過度な期待をせず出世を狙おうとせず粛々と仕事すればいいという、いわば個人の趣向としての「静かな退職」というか一線を自ら下りた働き方の勧めかと思っていたんだけど、会社の制度として静かな退職制度を設けてはどうかという話だった。対局には頑張って出世するコースもありで。
でも、その静かな退職コースっていわゆる「多様で柔軟な働き方」として挙げられているような働き方じゃないだろうか。しかも、静かな退職コースは自分で選んでそういう働き方をしているのだから、無理なことは強いない一方で合意のうえで課したことができなければ退職勧奨や査定を下げていいんだというようなことも書いていて、これは果たして労働者にとっての能動的な「静かな退職」になり得るのだろうか。会社が都合よく使えるような視点から書いてあるような感じがした。 -
Posted by ブクログ
●真面目すぎる日本人に贈る「戦略的サボり」をすすめる本。
●「静かな退職」という新しい働き方の是非を分析する。
●「静かな退職」という怠け者の問題を指摘する本かと思ったら、推奨する本だった。要約すれば、日本固有の仕事の制度が、世界のスタンダードの定着を阻むという話。著者は、日本特有の「過剰なまでの丁寧さ」や「業績に関係のない努力の信奉」が、実は労働生産性を著しく下げていると指摘する。欧米では標準的な「契約範囲内の仕事だけをこなす」というスタイルが、なぜ日本では定着しなかったのか。それは、全員が同じ出世の階段を競わされ、そこから外れれば「地獄」が待っているという独自の雇用慣行があったからだと述べる。後半は楽するための仕事術などの「静かな退職」を実現するための方法について語られる。頑張りすぎる自分を解放し、「仕事の本質」を再定義させてくれる、目から鱗の仕事論。 -
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ネタバレ外国人の犯罪は、不法滞在者が桁違いに高い。
不法滞在者は、2%。ほとんどは滞在資格を持っている。
中長期滞在が376万人、3%。インバウンドが90万人、不法滞在は8万人。
難民の申請は、2010年の変更で、申請から半年すると就労が認められるようになってから、激増した=就労目的の難民申請が増えた=却下が増えた。前科者で、不法滞在で強制退去命令を受けてから難民申請をする者が増えた=審査スピードが2年ほどになった。現在は、3度目の難民申請は認めていない。
30万人いた不法滞在者は、取り締まりと特別在留資格を与えたため、減少。
国外退去の95%は自費で帰還している。
難民認定は少ないが、在留特別許可で対応。矯正帰還手続にはいっても、1~2割程度は在留特別許可が出ている。人道的措置だが恣意的運用との批判がある。
2027年からは育成就労ビザができる。
少子化でも大卒は増えている。ホワイトカラーは人手不足感は少ない。
工場移転による人材移転、女性、高齢者、が人手不足の解消手段だった。今後はこれに期待ができない。=製造業の国内回帰、女性就労の限界、前期高齢者の人口減。
欧米のように、店が少なく高く不便になる。
レーン=メーナードモデル。最低賃金を緩やか二上昇させて、耐えられない企業の淘汰を図る。
AIではそれほど仕事は減少しない。書類作成はなくなるが、今でもせいぜい200万人ほどしかいない。
人手不足は、客にやらせる化、で乗り切る。
派遣は1/4が外国人。
技能実習は、就労ではないという建前のため無理がある。特定技能から育成就労へ。外国人就労を認める制度。
技能実習は、企業の負担が大きいので賃金を安くせざるをえない。
労基署は人手不足だが、OTITは、10倍の監督官がいる。
日本語学校が留学生集めの起点。現地の日本語学校から、ブローカーを使って日本の日本語学校の学生を集めて留学させる。留学生の目的は日本での就職。大学、専門学校に進学して日本企業に就職する。10年在留すれば永住権が得られる。毎年3万人の永住者が生まれている。
無名大学でも、大手飲食、サービス、流通へ新卒就職する。これらの企業の人材難の解消。有名大学の留学生は、本国に帰る率が高い。
日本の大学は入りやすく出るのも簡単、学費が高くない、新卒一括採用がある、在学中の就労が可能、日本文化のファン。という理由から人気がある。
日本の国民健康保険で高額医療を受ける、国民年金の滞納、外国人の生活保護など批判がある。企業で働けば年金保険は天引きなので、未納はない。
本国に帰る時、年金の本人負担は一時金で受け取る。企業負担分は没収。これを外国人教育費用、融和費用として活用できないか。
帰国人材は日本ファン。新日人材網を作るべき。そのためにも各地に日本語、日本文化学校を作る。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「静かな退職」と聞くと「働かないおじさん」と連想してしまう人がいると思いますが(わたしがそうでした)、
内容はまったく反対のものでした。
上を見て働く(出世のために働く)のではなく、
足元を見て働こう(自分の身の丈にあった仕事を的確に熟そう)、ということなのだと思いました。
・マナー良く
・反論せず
・新規チャレンジせず
・得意分野を確立する
効率的に成果を出していくことで、生産性の高い人財となるにはどうするか?
ということが書いてあり、自分にとって最適なライフワークバランスを目指すことが大事なんだと提唱してるようにも感じます。
ただ、本書にもあるように、日本企業は誰にでもエリート街道に乗れるような錯覚があることも事実です。とくに日本は中小企業がやたら多く、実務者レベルのスキルしかないのに会社役員になれてしまうような社会構造です。
本書の言う「静かな退職」という生き方が大半になると、日本が誇ってきた「中流階級」が没落し続けると思いますが、それは好むと好まざると止められないのかなと感じます。