海老原嗣生のレビュー一覧
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人事の企み ~したたかに経営を動かすための作戦集~
著:海老原 嗣生
2020年代の経営を考える上で、重要となる課題について、「ロジック・データ・事例・具体策」の4つの要素を揃えて説明している。
本書では経営課題の中でも「人」に纏わるテーマについて、間違っていることや、見え難いテーマを、ロジック、データ、事例、具体策で、一つひとつときほぐしている。
構成は以下の4章から成っている。
①経営環境:若年人口が半減 その時どうする
②社風と人材:組織風土をどう操るか
③採用:採用は無手勝流で結果を出せ
④組織設計と育成:社内に2つの階段を作れ
人事のプロによる、知識を前提とした経験と実例を織り交ぜた、具体策のオンパレード。一見人事の常識からは離れているように見える人事への課題の解決策においても、実際に効果のあった施策により、納得性が高い。
マクロ的な視点や将来にわたる日本の課題について悲観するだけではなく、しっかりとした対策でそれを乗り越える実例が紹介されており、建設的な一冊となっている。
正攻法と裏技を織り交ぜた人事施策の紹介は読んでいて飽きず、楽しく読みながら学ぶことができた。 -
Posted by ブクログ
著者つながりで読んだ。
本は、よく聞くような話で始まる。
例え話も、いかにも、と言う内容で、内発的動機を高めましょうであったりとか、何をではなくどのようにと言う指示をしましょう、といったようなところがそう。
中盤は、部下との付き合い方指示の出し方について、わかりやすく、この本ではクイズ形式で一緒に考えると言うスタイルをとっているので、自分の状況と照らし合わせながら考えやすい。
自分にとって印象に残ったのは、
・逃げ場をなくすような指示
・2W2Rのうちのレンジ、何をするか、どの方向に行くか、どんな規模か、と言う3つの要素。
本のタイトルからすると即効的と書いているので付け焼き刃的なものを感じるかもしれないけれども、調子が本の中で言ってるのは、きらびやかなびろうよりも、サビずにずっと使えるようならやり方考え方理論と言うものである。
全くもってそうだと思った。
これはまた今後も読み返す、と言うよりかは、考え直しながら自分のモノにしていきたい。
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Posted by ブクログ
著者つながりで読み始めた本。
前半は別の著書にもあるように、欧米と日本の雇用システムの違いについて概観した内容。
中盤以降は、欧米と日本とそれぞれのいいとこ取りはできないと言うものの、今の日本の仕組みを少しいじりながらどうすればみんなが比較的幸せに生きていけるのかについて、様々な提案をしている。
印象に残ったのは、マミーに陥らないようにすること、また、会社のビジネスのスタイルに応じた、人事制度(年収や育成のあり方)、リーダーの抜擢及び育成のやり方など。
16時に帰る日を作ることにより、後ろが切られている人(例えば育児がある社員)を体感できる、もいう側面はなるほどと思った。
加えて日本の企業にありがちな、緻密に横一線で進めるのやり方には強く批判をしている。確かに前職においても、現職においても、思うところはあるが、うまく立場を利用して、一石を投じるような働き方をしてみたいものだ。 -
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タイトルは、「働き方改革の世界史」であるが、内容は、「資本と労働の対立と協調の近代史」、もっといえば「経営と組合の関係の近代史 国際比較」みたいな感じで、タイトルと内容はかなり違うかな?
本を買うまえに、いわゆる「働き方改革」の本ではないことを確認していたので、とくにそこについては違和感はなかった。
が、驚いたのは、近代史が歴史的な流れを通じて描かれるわけではなくて、この分野の「古典」の議論を紹介しながら、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、いわゆる欧米型の制度や現実の歴史が議論される。
そうした欧米型のもつ問題点を考えたときに、なぜか理想として浮かんでくるのが日本型の雇用制度というのが驚き。
たしかに、日本型の雇用制度はいわゆる「日本型経営」の重要なパートということで、70~80年代には世界の注目を浴びたのだが、その後の日本経済の凋落にともなって、忘れられていく。
と言っても、世界的にこれがよいという制度があるわけではなくて、結果的には、新自由主義的な個人と企業との関係というところに帰着しつつあるのかな?
今となっては、なんだったかわからない日本型の経営というものがあって、バブル崩壊後、それは否定され、欧米的な経営への転換をずっと模索して、一部の会社はなんとかなったのかもしれないが、日本企業の大勢は良くも悪くも日本型雇用のシステムのなかでもがいているのが現状かな。
歴史とか、国の文化、企業文化のなかでできあがったものは、なかなか変えることは難しいわけで、「過去の栄光」へのノスタルジックな退行になってしまうリスクはありつつも、なんらかの形で「日本型経営」を今のコンテクストのなかで再活用しているのが大事なのかな?と思っている。
そんな日頃の考えを、労働、雇用関係という視点でもう一度確認できるような本だったな。
歴史的な記述がもう少し欲しい気はするが、「古典」を通じて、問題にアプローチすることで、理論的に問題を理解できたと思う。
ちなみに、ここで紹介されている古典は、読んだことのないもの、というか、そんな本があることも知らなかったもの。
結構、なるほど感はあった。 -
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これもブログで見かけて手に取った本。
世間でよく言われることに対して、日本のこれまでの採用や人事の歴史から振り返り、欧米の実際を取り上げながら、丁寧に解説している。
よく表面的に言われるようなことではなく、きちんと丁寧に議論をしていて、改めて勉強になった。
大勢のジョブ型採用と言うのは、キャリアアップというのがそのままではないと言うことや、それより以前に手に職をつけておく必要があると言うこと、は既に知っていた。
この本で初めて知ったのは、超エリートの早期確保と、脳エリートの宿を別西様(今まで私が知っていた欧米のジョブ型産業)と言うこと。
日本のやり方も日本のやり方で良いことがかなりある、と言う事は言われているけれども、実際にはあまりにもランダムすぎるもの、というのが今の時代にはそぐわないのだろう。入社してしばらくしないとキャリアを描くことが難しい。
ジョブ型ジョブ型と言うけれども、実際の落としどころとしては、ある程度のディビジョンを絞ってあげて、その後は本人の希望とともに社内異動を試みると言うあたりではないだろうか。
ここ数年の流れで言うと、転職事情、といったところもこの人に解説してほしいと思った。実際のところ、新卒よりも転職市場の方が大きいのだから。 -
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よく言われるジョブ型雇用の意味が理解できた。
これ、日本人のほとんどが理解していないはず。人事MGRである妻も理解していなかった。
欧米には「エリート雇用」「ジョブ型(非エリート)雇用」が並列して存在すると言うのは、本当に目から鱗。
・コンピテンシーは「体現すべき理想的な活動」ではない
・ジョブ型雇用は「ジョブディスクリプションをきちっと書くこと」ではない
・HCは「雇用人数」ではない
欧米システムの換骨堕胎は日本のお家芸だと皮肉が書いてあるが、むしろ換骨堕胎は日本の強みであり、これを生かすべきである。逆に弱みは、本質を理解する人が少なすぎて、変化の効率が異常に悪いことである。
まずはこれらシステムをきちっと理解した上で、日本流に換骨堕胎すべき。 -
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ネタバレ年功型から職能型への移行問題は、所得倍増計画の時代からあった。
欧米型との違いは、JDではない。JDは欧米でも抽象的。
欧米の給与はポストによって決まる。ポストの数は決まっている。職務主義=やっている仕事が同じなら能力がある人であっても給料は同じ。
日本は能力によって決める。ポストの数はきまっていない。都合によってつくる。職能主義。
日本型は総人件費が上がる一方になりやすい。新卒一括採用と定年制の矛盾を非正規雇用で解決してきた。
日本は賞与で業績給を調整した。
成果主義は、管理職の給与を抑えるために生まれた。職能給の割合が多いので一般社員はさほど変わらない。
欧米のジョブ型とは、ポスト限定雇用、の意味。=日本の非正規雇用と同じだが、給料は高い。
日本では、ポストがあくと、内部で探す。その結果、平社員が空く。新卒が埋める。
人事権と解雇権はトレードオフ=日本は転勤命令など人事権があるかわりに解雇権がない。
欧米では、籠の鳥労働者=給料はさほど上がらず仕事も変わらない。エリートと一般ジョブワーカーが分かれている。
移民に仕事を奪われている、のではなく籠の鳥から出られない労働者の不満がたまっている。
欧米の評価は、ナインboxという優良可と行動と業績の2つの軸。
ジョブ型のジョブとは、仕事ではなくポスト。
一般社員はモチベーションが高くない。WLBが充実する。
日本では、階段を下りる選択肢がない。降りたら非正規になる=待遇が極端に悪くなる。
職種別組合だと最低時給より高くなる。
日本型雇用の問題点5つ
全員が階段を上がる前提=WLBの悪化。
幹部候補という名のブラック企業化。
高給な熟年、働かない管理職
出産した女性のキャリアが途切れる問題。
コースアウトすると待遇が低くなる非正規問題。
日本の労働現場には二人の神さまがいる=顧客と上司。
顧客第一でないほうが生産性は高い。
階段を上がれる可能性がある以上、文句が言えない。
欧米は、上司に対しては職種別組合が文句を言える。ブラック企業は生まれない。
階段を下りる仕組みを作るべき。
女性管理職は2030年になれば増えるはず。
結婚出産を経てキャリアを上げるのは難しい=少子化になりやすい
女性も高収入の男性と結婚したがる。そのほうが社会構造から暮らしやすい。その結果、女性が階段から先に脱落する。
テレワークで育児は無理。
老後は女性のほうが豊かな人生を送る=将来はいつでも階段から降りられる制度が必要。
階段を下りるコースを作ることこそジョブ型雇用。
日本は企業内労働組合のため、ストライキをしにくい。
2020年の改正労働者派遣法が風穴を開ける可能性。平均給与から算出した時給を割り込むことはできない。
どこの会社にいっても通用するキャリア、とは簡単にはない。OSは鍛えられるが、アプリ部分はその会社業界特有のもの。OSが大事な会社ならあり得るが、アプリが重要な会社では、難しい。リクルートはOSだけで活躍できる。しかし離職率が高い。
OSだけで活躍できない会社は、年功序列になる。
昇進が早いOS型、経験の積み上げが必要なアプリ型、どっちもそこそこの形もある。
商社、メガバンクはアプリ型、メインでない職種は中途採用できる。日本は、この形の会社が多いので、人事制度がそれに倣っている。
部下にNOを言えないのは、成長の階段ができていないから。
コンピテンシーは、人の能力ではなく、ポストに必要な能力、のこと。
35歳で階段を下りる道を作るべき。企業としてはずっと課長を目指してモチベーションをもって働いてほしいので、その宣言はしないことになっている。 -
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欧米では「エリートとノンエリは別」が前提。根底となる人生観が違う。ノンエリは最初に就いた仕事をやり続ける。定時あがりで年収は緩やかに上がっていく。
日本では「頑張りゃなんとかなるかも」が前提で、最初から割り切ることを良しとしない。教育実績をデータで見ること自体に嫌悪感を催すのも、根幹にこの感覚があるのではないか。ここから、ポスト固定採用をしない、本来出せる利益に比して人件費が上がりがち、新卒一括採用をやり続ける、などに繋がっていく。
著者の結論とは異なるかもだが、
そういう日本だから生み出せる在り方に張ったほうが面白いのではないか。昭和のままが良いとか言いたいわけじゃないしそれは違うが、そういう他国にはない「変なセンス」がある国なりの歩み方がいいのでは?AKIRA万歳。幻の開会式は心の中に。
お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの、それはお前も同じだろう?だって俺たち友達だろ?
この感覚は日本人が持ちうる独特のものかもしれない。ジャイアンは全てを語らない不器用な男なのだ。
※右でも左でもありません念のため。あと本書にジャイアンやAKIRAは登場しません。 -
Posted by ブクログ
新卒一括採用が廃れない理由
→重役が辞めようがヨコヨコタテの異動で最終的に末端にエントリーレベルの空席を大量にさせる仕組み。
→日本の雇用はポストは恣意的にできる。
人事権と解雇権はトレードオフ。
日本型
→できそうな仕事を集めてやらせ慣れてきたら少しずつ難しい仕事に変えていく。
欧州
→その仕事さえできれば良いので慣れた仕事を同じ給料でずっと続ける人も多い。
→同じ仕事で熟練度が上がるのと倦怠感が高まるので労働時間は短くなる。
欧州と日本の最大の違いは、人事の基本をポスト管理に置くか人材管理に置くか。
欧州の雇用の仕組みは高速でキャリアの階段を登る一部のエリートとストップモーションで同じ仕事を同じ年収で続ける大多数に分かれる。
日本の雇用の課題
→登れるキャリアであり登らなければいけないキャリアであった。
■キャリアの形
・OS:ポータブルスキル
・アプリ:業界内でしか使えない
→この二つのバランスによって活躍までの時間軸が変わりそれに伴い採用、育成、報酬も変えていくべき。
例)リクルートは2.3年目で辞めて欲しくない人、どっちでも良い人、辞めても良い人がわかる。その人が辞めたとしてもフレッシュな人を採用して1年育成すれば良くその方が原石を見つけられる。給与減資を年配の滞在者ではなく若者に多く配分できるようになる。初任給が高く、若くして活躍できると言う人気企業になる。その裏でダメなら年収が上がらず早めに辞めるがあるが多くの夢見がちな若者にはこの不都合な事実には目を向けない。ただ初期の徹底教育で一定の市場価値があるので転職などができる。
例)メガバンク、商社
10年ー15年で立派に育ち辞めてもらっては困る存在に。長期育成。階段を登れば登るほど売り上げや付加価値が増すためその分給与を大幅に上げても経営的には問題ない。
■この見極めは3年目と8年目の業績の差に着目すると良い。
個人差が大きいと言うことは長期蓄積よりも個人能力が業績の決め手となる。
→営業地から、企画力、ひらめきなど半ば先天的な個人能力が決め手となる。
■TypeB型→R
上位2割の引き留めで、表彰や昇給、高額賞与を与えても深みのない事業のため、倦怠感が生まれやすい。それを防止するには役職を与えて、経営への階段を登らせるのが一つ。
■育成の基本
①ボトムアップ
→全員一律の底上げ教育
会社が成長ステージをしっかり定義する!
②トップエクステンション
→優秀層の幹部教育
経営人材の明確化、人材プールと育成計画、成長促進施策
→タフアサインメント
海外法人、新規事業、社内出向、グループ企業社長など -
Posted by ブクログ
昨今、「日本型ジョブ雇用」などという呼称もさることながら中身を垣間見るだに何とも珍妙な議論が日本でされているな…と思っていましたが、少し前から言われている「ワークライフバランス」だとか「男性の育児参加」だとか「幹部社員の男女比率」の問題だとかもひっくるめて、なぜ日本で議論が迷走しているのか、本当に必要なことは何か、について明確に整理し処方箋を示してくれています。さすがは海老原嗣生さんです。
とても頭の整理になります。そして、日本における雇用改革の議論をするのであれば、これらの大前提知識を理解してからでないと話が噛み合わず話になりません。良書。