日高敏隆のレビュー一覧

  • 生物から見た世界

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    ネタバレ

    ありがとう。良いものを読みました。
    私の語彙と読解力でざっくり内容を書き記すと、こうです。

    「動物は全て反射と本能で行動しており、機械と同じ」という思想に対する、反証。
    動物のみならず、単細胞生物も含んだ、生物は主体であり、物事を知覚し行動していることの解説。

    動物は機械じゃないんですよ

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    2025年12月06日
  • 生物から見た世界

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    人間が動物であるなら、客観的な世界というものが、決して主観の外側にあるのではなく、人間の環世界に含まれている。

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    2025年10月14日
  • 生物から見た世界

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    読み難く十分に理解することはできなかったが、環世界(Umwelt)という考えはとても面白かった。
    すべての生物は、自分の感覚器官と運動器官を通して「独自の世界」を構成している。生物が感覚できる環境である知覚世界(Merkraum)と生物が働きかける環境である作用世界(Wirkraum)の両者が繋がり、その生物にとって完結した環世界(Umwelt)がある。
    読む中で感じた、人間中心主義からの脱却というのがとても好ましく感じる。ヒトが生きる世界もまた一つの環世界にすぎず、その周りにはおびただしい数の環世界が多様に広がっている。
    また、環世界を観察する際、われわれは目的という幻想を捨て、設計という観

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    2025年09月06日
  • 生物から見た世界

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    めちゃくちゃ面白い本でした。
    著者は1864年生まれの大学教授です。
    この本は、「生き物(主体性)には、それぞれの世界(環世界)がある!」と論じています。
    とても古い本ですが、現代でも役に立つ、名著だと思いましたー
    「世界は一つ」ではなく、「生き物の数だけ世界はある!」という考え方は、とても刺激的で良かったです!!
    世界が広がった読後感があり、とても良かったですねー!

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    2025年09月03日
  • 生物から見た世界

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    面白かった。動物行動学の本で、「環境」ではなく「環世界」という観念から動物の行動を解説する。環世界とはそれぞれの動物の知覚物で埋められた世界のことで、同じ環境にいても動物によって環世界は違う。動物行動学を齧った人には当たり前のことなのかも知れないが、ど素人の私には知らないことが多く引き込まれた。ドイツ語で1934年に出版された本が2005年に新たに訳されたというだけでも読むに値するかもしれない。

    本日の「終わらない読書会」の課題図書。間に合って良かった。

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    2025年08月22日
  • 生物から見た世界

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    生物によって、見ている物が違うのではなく、見えているものが違う。物を探す時に「アレ」を探すが、認識が違うと目の前に有っても見つけられない。

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    2025年08月11日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    生物や生物学に興味を持つ一歩としておすすめの必読書。
    動物行動学という領域を開拓し、ノーベル生理学医学賞を受賞したコンラート・ローレンツ氏による動物行動学入門書。「動物たちへの分懣」という生き物への愚痴から入る。しかし、本書の根底にあるのは生き物たちの営みの美しさと深い愛情(そしてローレンツ氏の良い意味での異常性)。
    「永遠の変わらぬ友」で登場するコクマルガラスの生態はとても深淵で「人間っぽさ」があるが、それは擬人化ではなくコクマルガラスの生態こそ生き物らしさであり、「人間っぽさ」は「生き物らしさ」であると感じさせる。
    原書のタイトルは「Er redete mit Vögeln, Fische

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    2025年06月29日
  • 世界を、こんなふうに見てごらん

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    和製、もしくは動物行動学版のセンスオブワンダーな一冊。「なぜ」と自身に問いを投げかけることは知性を育むことというのを改めて感じる。最後の講演録の幽霊のところの話はなんだかとても印象に残る。

    「それはやわらかで何ものにも縛られない。科学ではなく知性こそが、このいきもの(人間)の本当の力だと思っている」
    「大事なことはシステムではない。なんでもやってみなさいよ、というのがぼくの基本的な立場だ」

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    2025年05月10日
  • 生物から見た世界

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    主体を取り巻く客観的な「環境(Umgebung)」とは異なり、主体が真に現実的に生きる場として存在する「環世界(Umwelt)」。生き物が見ている世界をより「生物」学的に研究しようと試みた傑作
    マダニやコクマルガラスが生きる環世界から、人間という種の内部─天文学者や物理学者などの違い─に存在する環世界についても論じられており、約100年前に書かれた本ながら根幹となる理論は現代にも問題なく通用するし、この理論を呈示したユクスキュル本人が猛烈な問題意識をもっていたためにこの時点で射程を広く取って問題を呈示しているのも素晴らしい

    私としては、実はこの本を読む前に環世界という概念に触れたことはあって

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    2025年04月07日
  • 生物から見た世界

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    甲虫やチョウは野原をどう見ているか.行動は環世界あってのものと本書は唱える.生物の世界像を追って環境の世紀に先駆けた名著.
    「岩波文庫」内容紹介より

    「環世界」
    人には人の見え方があるように、人以外の動物や昆虫にもそれぞれの見え方がある.
    意味のないもののようにみえて、そうでないものもある.
    意味のあるようにみえて、そうでないものもある.
    世界は多様だ.

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    2025年03月23日
  • 人間はどういう動物か

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    ネタバレ

    ・利己的遺伝子説。調べてみたい。

    ・知らなかったこと:
    『人間の場合もお尻は女の性的信号になっているが、直立して互いに向きあって話をするようになると、後ろ向きの性的信号は、思ったほど効果を生まない。これでは困る。前に向けてもきちんと性的信号を発信したい。そこで、なんとかしようとした。

    元来、生物はあまり突拍子もないものを使ったりはせず、今あるものをうまく使おうとする。本来お尻が性的信号だったのだから、前を向いたお尻はつくれないか。なにかそれに使えるものはないかというと、おっぱいがあるではないか。「よし、おっぱいをお尻にしてしまえ」ということで、おっぱいをなるべくお尻に近いものに変えてしまっ

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    2025年01月30日
  • 生物から見た世界

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    これは面白い。
    生き物は皆、各々の環世界を生きている。

    ーーーーーー
    マダニ
    酪酸を嗅覚で受信→飛びつく→温度感覚で温血動物に降り立ったことを知覚する→毛のない場所を触覚で見つける→頭から食い込んで吸血

    環世界
    知覚と作業の相互作用
    概念、システム

    動物を主体とみなすか客体(機械)とみなすか
    生物学者と生理学者

    三半規管→その主体にとっての三次元空間を作る、コンパスの役割
    →世界は一つではなく、生物毎に座標系が存在する
    昆虫や魚の帰巣本能

    時間軸すらも、生き物毎に異なる。
    カタツムリは自分自身がノロマだとは思っておらず、そもそも時の流れが早い(フレームレートが荒い)

    目的があるとみ

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    2025年01月11日
  • 生物から見た世界

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    とても面白かったです。日本語の翻訳も秀逸で読みやすかったです。本書は、それぞれの生き物が固有の環世界を持っていること、また同じ種(例:人間)の中でも環世界は異なっているのだ、ということを、ダニや犬、昆虫、鳥、魚など様々な生き物を例示しながら説明しています。

    本書は哲学書的な意味合いもある一方で、様々な生き物の生態についてイラスト付きで解説していて、NHKの「ダーウィンが来た!」のような面白さもあります(イラストが素晴らしい)。哲学的という意味では、マルクス・ガブリエル氏の新実在論との共通点を感じました。ガブリエル氏は「唯一無二の世界は存在しない」とし、同じ場所にいても各人それぞれにとっての「

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    2024年12月30日
  • 世界を、こんなふうに見てごらん

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    読書録「世界を、こんなふうに見てごらん」5

    著者 日高敏隆
    出版 集英社文庫

    p32より引用
    “ 日本はドイツ哲学の流れが強いのか、し
    ばしば、人間は真実を追求する存在だといわ
    れるが、むしろ真実ではないこと、つまりあ
    る種のまぼろしを真実だと思い込む存在だと
    いうほうがあたっているのではないか。”

    目次より抜粋引用
    “「なぜ」をあたため続けよう
     人間、この変わったいきもの
     宙に浮くすすめ
     それは遺伝か学習か
     コスタリカを旅して”

     動物行動学者である著者による、世界と動
    物とその中の一種類としての人間を見つめて
    描かれるエッセイ集。同社刊行作文庫版。
     目の前の事柄に不思議や

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    2024年11月20日
  • 生物から見た世界

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    物の見え方(空間把握)だけでなく、時間という感覚すらも生物(主体)によって異なる。そんなことを、教えてくれる本。生態学の本だけど、哲学的な本でもある。

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    2024年08月18日
  • チョウはなぜ飛ぶか

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    アゲハチョウはなぜその様に飛ぶのか?という疑問から始まった研究。観察、考察、実験、失敗を繰り返し新たな疑問がまた湧いてくる。その過程をこの本ではユーモアを交えて非常にわかりやすく書かれていて、探究心を持ち続ける大切さを教わることができた。

    巻末のエッセイも素晴らしくて日高先生の言葉に感銘を受けたので子供の頃にこんな本に出会えてたらよかったのにと思った。
    舘野鴻さんの後書きでは面白くて大好きな『うんこ虫を追え』(たくさんのふしぎ)の制作途中であると書かれていたのも楽しく読んだ。

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    2024年04月25日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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     興味深い本でした。わたしが読んだ本は,1976年発行の単行本。
     ずっと前に古本屋から購入して本棚にあったのだけれども,やっと読んでみた。
     ローレンツのこの本は,大学で学んだ教育心理学の時に知った著作なので,出会いはずいぶんと古い(40年以上前)。「動物行動学」「比較行動学」という学問を世に知らしめた人といえるかな。有名なひな鳥の刷り込み理論のもとになった実験など,貴重な話を読むことができる。
     訳者の日高敏隆氏は,「訳者あとがき」で「ローレンツのこったドイツ語には,かなり頭をかかえたこともある」と書かれているが,翻訳ものにしてはたいへん読みやすくて,ここに取り上げられている動物たちとロー

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    2024年04月24日
  • 世界を、こんなふうに見てごらん

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    「議論して相手を言い負かすより、自分の思った道を粛々と行けばいい」
    日髙先生のお話も素晴らしかったけれど、あとがきと解説のお二方が語る日髙先生の姿が本当に素敵だと思った。自分も、後輩ができたり教える立場になったら、こういう人になりたい。

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    2024年03月09日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    筆者の動物愛がものすごく、本に収録されているエピソードが全て面白い。
    古い本のため現在の生物学的に間違った記述も結構あるようで、注意が必要。

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    2024年04月03日
  • 生物から見た世界

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    生物(主体)は自分が持つ感覚器で世界を捉え、作用器で世界を変化させる。外界の物体(客体)は生物からの作用によって変化させられ、その結果生物に与える作用を変化させる。この環状構造を環世界と呼び、全ての生物がそれぞれ固有の環世界を持っているという。
    感覚器の空間方向の分解能(例えば視力)によって世界の捉え方が変わるのはイメージしやすいが、時間方向の分解能(人間は1/18秒)によって時間の捉え方が変わるというのは面白かった。我々は自分の感覚器で感じられる世界を"実世界"と捉えがちだが、それはあくまで人間の感覚器が受け取れる側面で切り取られた世界である。普段1人の人間として主観的に

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    2024年09月24日