【感想・ネタバレ】世界を、こんなふうに見てごらんのレビュー

あらすじ

子供の頃、芋虫と話がしたかった著者。おまえどこにいくの、と話しかけた。芋虫は答えず、葉っぱを食べはじめる。言葉の代わりに見ていて気がつくことで、気持ちがわかると思った。昆虫、猫や犬など動物とおしゃべりするには、観察が一番だとわかった。これが、いきものを見つめる原点。不思議と驚きにみちた世界を「なぜ?」と問い続けた動物行動者がやさしい言葉で綴る自然の魅力発見エッセイ。

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Posted by ブクログ

和製、もしくは動物行動学版のセンスオブワンダーな一冊。「なぜ」と自身に問いを投げかけることは知性を育むことというのを改めて感じる。最後の講演録の幽霊のところの話はなんだかとても印象に残る。

「それはやわらかで何ものにも縛られない。科学ではなく知性こそが、このいきもの(人間)の本当の力だと思っている
「大事なことはシステムではない。なんでもやってみなさいよ、というのがぼくの基本的な立場だ」

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2025年05月10日

Posted by ブクログ

読書録「世界を、こんなふうに見てごらん」5

著者 日高敏隆
出版 集英社文庫

p32より引用
“ 日本はドイツ哲学の流れが強いのか、し
ばしば、人間は真実を追求する存在だといわ
れるが、むしろ真実ではないこと、つまりあ
る種のまぼろしを真実だと思い込む存在だと
いうほうがあたっているのではないか。”

目次より抜粋引用
“「なぜ」をあたため続けよう
 人間、この変わったいきもの
 宙に浮くすすめ
 それは遺伝か学習か
 コスタリカを旅して”

 動物行動学者である著者による、世界と動
物とその中の一種類としての人間を見つめて
描かれるエッセイ集。同社刊行作文庫版。
 目の前の事柄に不思議や疑問を感じる事の
面白さから研究の場での動物としての人間の
行動を見ることまで、抒情的というか情緒的
というか情感溢れる語り口で、人と動物、人
と人の縁などが綴られています。

 上記の引用は、人という生き物について書
かれている項での一文。
本当はあるかどうかわからなくても、そうで
あると信じることで、前を向いて動けるとい
うことはあると思います。人に迷惑をかけな
いのであれば、真実と違うことを思い込んで
生きるのも悪くないのではないでしょうか。
 著者がお亡くなりになられた後に出版され
た、遺作の一つとのこと。最後と思われる役
職の退官時の講演録も収録されています。
あとがきと解説から、何とも言えない寂しさ
がにじみ出ているように感じられて、著者の
エッセイが好きで何冊か読んできた私も、少
し寂しく思います。

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2024年11月20日

Posted by ブクログ

「議論して相手を言い負かすより、自分の思った道を粛々と行けばいい」
日髙先生のお話も素晴らしかったけれど、あとがきと解説のお二方が語る日髙先生の姿が本当に素敵だと思った。自分も、後輩ができたり教える立場になったら、こういう人になりたい。

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

初めて日高先生の著書を読みました。
「面白い」より「興味深い」という言葉がぴったりな本でした。
10のエッセイと御退官時の講演を読み、考えることができます。

意味が深すぎたのか一度では私の理解が追いつかず、何度も読み返す文がありました。それでも噛み締めるうちにじんわり染み渡ってくる、そんな内容です
イマジネーションとイリュージョン、自然の中での人間についてなど
多くのことを考えさせられました。
色々な問題が生じている現代だからこそ、日高先生の考え方やものの見方を
あらゆる価値観の中の1つとして1人でも多くの人が共有できていると
もう少し世の中に柔軟さが生まれるのかなと思います。
私もいつか日高先生にお会いしたいと思いましたが叶わないのだなと読みながらふと悲しくなりました。

本書の中で紹介された
「ソロモンの指環」
「尾行類」
「裸のサル」
「機械の中の幽霊」
「生物から見た世界」
(もし抜け落ちている本がある時は教えていただけると嬉しいです)
も、とても面白そうだったので少しずつ読んでいきたいです。

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2023年06月22日

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・5度と30度?の気温の高低差の中で実験が成立するということ。両方が必要なんだ、という話が感動的だった。
・論理的に筋道立ててあとから説明することはいくらでもできる。人前で発表するならそうなるかもしれない。でも実際はふとした思いつきから入ってやっていく。それの方が自然だなと自分の感覚として思った。
・おまえはどこにいくの。その素朴な問いが、心を打つ。

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2023年05月19日

Posted by ブクログ

生き方はひとつじゃない、自分にとって生きやすい生き方でいい。
そのために、色んな生物の生き方から学んでみる。

人間以外の生き物の視点を参考に、人生の選択肢を広げてみる。
〝こんなふうに見てごらん〟

生きるって大変なこと、だから、つい人間はなにかに頼ってしまう。
科学とか、神とか、宗教とか、時には他者への過大な期待とか…。

そんな不安定さを、支えてくれるのが、知性なのだ。
知性とは、何もにも縛られない、やわらかな、生き物の持つ本当の力なのだ。

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2023年01月11日

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とても読みやすく、内容も共感できるところが多かった。自分の頭で考えること。なぜを大切にすること。自分の子供たちに読んで欲しい一冊。

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2021年09月28日

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物事の見方、考え方の習慣を一新してくれる可能性のある本です。気になったところを転記します。◆「宙(そら)に浮くすすめ」人間は理屈に従ってものを考えるので、理屈が通ると実証されなくても信じてしまう。実は人間の信じているものの大部分はそういうことではないだろうか。いつもぼくが思っていたのは、科学的に物を見るということも、そういうたぐいのことで、そう信じているからそう思うだけなのではないかということだ。何が科学的かということとは別に、まず人間は論理が通れば正しいと考えるほどバカであるという、そのことを知っていることが大事だと思う。そこをカバーするには、自分の中に複数の視点を持つこと、一つのことを違った目で見られることではないかと思う。自分の精神のよって立つところに、いっさい、これは絶対というところはないと思うと不安になるが、その不安の中で、もがきながら耐えることが、これから生きていくことになるのではないかと僕は思う。◆「コスタリカを旅して」人間は環境を破壊するものだ。そうはっきり認識しておくようが、よっぽど自然を守ることにつながる。守っているといいながら破壊している人間がたくさんいるのだから。◆「いろんな生き方があっていい」。人間には自然を破壊することはできてもコントロールすることはできない。ある時代から人間は、科学の力で自然を制御できると思い始め、いまもそう信じているが、それは根本的な間違いだ。自然には人間がわかっている以上のたくさんの変数があり、自然をいじってダメにすることはできるけれども操ることはできない。◆「行ってごらん、会ってごらん」◆「イリュージョンなしに世界は見えない」。ユクスキュルのダニの環世界を書いた本。人間は人間の環世界、すなわち人間が作り出した概念的世界に生きている。人間には、その概念的世界、つまりイリュージョンという色眼鏡を通してしか、ものが見えない。◆「じかに、じっと、見続ける」。僕は養生というものをしようと思ったことがない。

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2021年06月23日

Posted by ブクログ

良質な本という感じがぷんぷんするよ。ひと頃、「〇〇しなさい」調のタイトルをつけたビジネス・自己啓発書がたくさんあったけど、この本は「〇〇してごらん。ぼくはそういうふうにしてきたよ、こういうふうに考えているよ」と、動物行動学の第一人者でありながら独立独歩であった著者がやさしく示唆してくれる自己啓発書。「示唆」としたとおり答えがそのまま載っているわけじゃなくヒントをくれるような感じだけど、そのぶん広く適用できる知のヒントが書かれていると思う。
響いたのは「正しく見えることと、ほんとうに正しいかどうかは関係ない」(p.47)とか「自分の精神のよって立つところに、いっさい、これは絶対というところはないと思うと不安になるが、その不安の中で、もがきながら耐えることが、これから生きていくことになるのではないかとぼくは思う」(p.49)といったところに代表される、物事は相対化してとらえてごらんというところ。
絶対というものを廃し、もがきながら自分の精神を頼りに考える・行動するって大変だけど、それが生きるっていうことなのだ。

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2021年05月08日

Posted by ブクログ

私の気持ちを全肯定してくれる優しい本でした。
幼い子に、読み聞かせてあげたい。
なにより、リカちゃん人形にもふわふわのドレスにも興味がなくて、周りの女の子たちとの違いに、不安を抱いていた小学生の頃の私に読ませてあげたい。
日高さんの他の著書も読んでみよう。

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2020年10月14日

Posted by ブクログ

ヤンデルさんのヨンデル選書にて購入。科学リテラシーなんて言葉すら吹っ飛んじゃう、本質的なものの見方。若い人向けかもしれないが、50過ぎのオッサンにもグサグサ刺さりました。
解説が素晴らしい、それ以上の感想がないくらい。

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2020年07月18日

Posted by ブクログ

難しい文章ではないので、スラスラ読めましたが、ちゃんと読めていないんだろうなと思いました

表面の言葉を読む内容の本ではないことはわかりました

生き物の原点に触れている内容です

アジアでもアフリカでも、人間が一度自然に手を入れてしまうと完全には元には戻らない

手付かずの自然なんてないかもしれないと思うと、人間の地球に対する影響力がどれだけなのかを感じました

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2023年07月06日

Posted by ブクログ

学ぶということはどういうことなんだろうと改めて考えさせられた。

机に向かってペンを握ってノートを取るという学び方も素晴らしいし、自分の興味を持ったことをひたすら追求していく姿勢も、この本の著者も含めて一重に何か追い求める人達は素敵だと思いました。

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2023年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分の考えに自信が無い。自分なりに調べてこうだと意見を持ったとしても、でもこういう見方もある、という思考がいつも頭の中にある。自分の中の意見や思考と、人の意見や思考を照らし合わせることで、より自分の思考を深めたいと思う。言葉になっていないことを言葉にしたいと思う。その一環として、読書をする。私は今、そうして暮らしている。

日髙氏は、以下のように述べている。

「イデオロギーや思想、システムといった大きいところから話をしがちだが、ひとつひとつの具体例の積み重ねでしか環境問題は動かないものだ」(p17)

「イリュージョンを通してしか世界が見えないのであれば、そのイリュージョンというのはいったい何かということを、もっとまじめに考えなくてはいけないと思う。」(p113) 

「神であれ、科学であれ、ひとつのことにしがみついて精神の基盤とすることは、これまでの人類が抱えてきた弱さ、幼さであり、これからはそういう人間精神の基盤をも相対化しないといけないのではないか」(p202)

私はまさにその弱さ、幼さを抱えているなと思った。ひとつのことにしがみついているというよりも、そのしがみつける「何か」を探しているという状態だと思う。

「ひとつ」にしがみつくことは恐ろしいという気持ちがあって、ただ、自分自身の思考にも迷いや不安があるから、「何か」を探しているという感覚。

ある問題について、「正解」があるわけではない問題だと思っていながらも、でも、自分なりの「ポジション」を取らなければ、この社会の恩恵にあやかって生きている以上、「ポジションを取る事」や「考えること」から逃げるのは、楽だけれど大切なことから目を背けているようで、違うなと思っていて。ただ、あまりに向き合うのがきついときはそれを考えることから距離を置く時期もあって。結局、ズルズル考えるばかりで何も行動できていないじゃないかという思いと、できることからやっているじゃないか、できることをやるしかないんだ、という思いと。ごちゃごちゃ。

日髙氏は、自分がどうしたいのかを、きちんと受け止めて、(ご本人曰くいいかげんに)生きていたということか。
2022/12/1

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2022年12月01日

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言葉が通じない生き物のことがわかりたい。ひたすら観察し考えてきた日高先生による、とぼけた味の鋭いエッセイ集。かつて『鼻行類』という、鼻で歩行する生物の生態をくわしく述べた真っ赤な嘘本を翻訳出版して、論理的首尾一貫性こそが科学であると信奉するひとたちをまんまと騙したこともあるのだった。
「人間は、論理が通れば正しいと考えるほどバカである」。くりかえし思い起こしたい名言である。

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2022年08月18日

Posted by ブクログ

いきものとおしゃべりするには、観察するのがいちばんだ。引き込まれる冒頭の1文。
何故?という疑問と観察から対象を知る。
虫だけでなく、動物や植物を相手にする人、親、教育者、医療・介護職、様々な人が気づきを得ることのできる内容だと感じた。

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2022年07月24日

Posted by ブクログ

モンシロチョウは紫外線の夢を見るか?

動物行動学者・日高敏隆先生による、動物行動学と自身の経験から得た「世界の見つめ方」を説いた本です。とても読みやすいエッセイ形式であり、最後には講演が収録されています。

著者の日高先生は動物行動学者ですが、著作にふれるたびに科学者的ではなくてエッセイスト的だなあとつくづく感じます。学術的でなく文芸的な表現です。

学会みたいな肩肘張った場所から離れた、軽やかで柔らかな日高さんの姿勢に憧れます。日高さんは科学的な理屈の世界に埋没せず、子どもの頃のシンプルな「なぜ?」を大事にし、そのせいで権威的で格式を重んじるような場所では異端だったことでしょう。しかし、だからこそ万人が気軽に読めるようなエッセイで自分の考えを人に届けることができるのだと思います。

人類学系の本によく登場するトピックに「宗教と科学」があります。今のように科学が進歩する前は、人間に分からないことは全部「神のお考え」であって、変に理屈をこねずに済ませていたのです。しかし科学の進歩と引き換えに宗教の力が弱くなった今、頼るべき道徳的規範となる神を失くした多くの人たちは、心の支えがないために悩みが多くなってしまいました。しかし悩み多けれど、神と科学、どちらにもしがみつかずに自らの知性を力にして生きていくことが今後の人間のテーマだと日高先生は語ります。胸にささる言葉です。

ほかの方の動物や虫の本を読んでも思うのですが、動物学は動物を通して「人間とはどんな生き物か、人間社会とはどんなものか」を探りたいという欲求が根本にあるのだなとつくづく感じます。

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2022年03月31日

Posted by ブクログ

 "人間は理屈にしたがってものを考えるので、理屈が通ると実証できなくても信じてしまう"という筆者の考えが印象に残った。
 科学の世界において、上記のようなものの見方をすることが果たして可能かということについて、著者は『鼻行類』を例に説明をしてくれる。   

 科学の世界ではこの著者の意見に対してどのように考えるのかは僕にはわからないが、生活の中にある理屈や不安に対して、いろんな視点から物事をみることを後押ししてくれるやさしい本でした。

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2021年12月29日

Posted by ブクログ

再読。
何度も何度も読みたい一冊。
読む度に、見える景色が変わるような気がする。
これもイリュージョン?
出逢えてよかった本。
また近いうちに読みたい。

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2021年09月25日

Posted by ブクログ

動物行動学者の本。“科学的”と表現することへの過剰な信用、見つめ直すようなエッセイ。日高先生の世界の見方は、ワクワクする見方だ。「なぜ?」を大切にしたい。

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2020年06月29日

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「ネコはどうしてわがままか」「犬とぼくの微妙な関係」などの著者、動物行動学者、日高敏隆さん(1930.2.26~2009.11.14)著「世界を、こんなふうに見てごらん」、2010.1発行です。人間と人間以外の動物のたったひとつの大きな違いは「自分の死を考えないこと(知らないこと)」だと。人間だけが「死」を知っているんですね。母猫が死んでも、子猫はそばにじっといる。「星守る犬」の犬も同じでしたね。お父さんが死んでもずっと自分が死ぬまでお父さんのそばに。「死」と「美」の意識は人間だけのようです。

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2020年05月14日

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良かった。著者の考え方を伝えるエッセイ。
文体が自然で柔らかく、部屋で目の前にいる著者の話をうなずきながら聞いてるかのような感じだった。水々しく世界の不思議に目を向ける姿勢を失わないようにしたいと思った。

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2020年04月19日

Posted by ブクログ

植物を研究する人はどのように植物に興味関心を持ったかを知りたくて読む。

植物の話というよりは、それを介して世界をどう見るかという方が主題であった。植物、動物の様々な特徴を観察し仮説検証を繰り返す中で、物事の成り立ちの複雑性を気づき、決まった真理等を見出しそれに沿って生きることに疑問を呈している。それよりかは、真理とされているものも一時点で通っている考えにすぎない一種の幻(イリュージョン)ととらえて、複数の視点を持ちながら分からないことも受け入れる姿勢が良いとのこと。

決まった答えや正しさに固執しがちだが、そうではなく寛容な態度で物を見たり人に会ったりして、いろんな疑問を持ちそれを自由に解明する態度を持ちたいと思う

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2025年04月30日

Posted by ブクログ

タイトルだけで買ったけど、良かった。
物の見方が変わるような感覚

p.197「手にするのはコンパス一つ、風が出てきたり、高い山が現れたり、急に気温が下がったりしたら、その都度立ち止まり、なぜかと考え、何が正しいのか判断し、何かが違っているという気がしたら修正しながら歩いていけばいい。それが人間としての態度ではないのか」

p.201「神であれ、科学であれ、ひとつのことにしがみついて精神の基盤とすることは、これまでの人類が抱えてきた弱さ、幼さ」

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2025年03月09日

Posted by ブクログ

想像したほどは面白くない。「なぜ」を続けろ!?当たり前ではないか。それが許されなかった学問の世界があったとは信じられない。
論文の書き方の話は面白い。思いつきからデータを取り、分かったとしても、推論から始めてデータを取ったと書かなければならない。しかしこれも無意識にやっていたかも。要するに私はこの著者と似たものということなのか。

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2024年03月10日

Posted by ブクログ

動物行動学者のエッセイ。
動物行動学は、動物を観察してその行動についてを研究する学問。モンシロチョウは下を飛ぶのに、アゲハチョウはなぜ高いところをとぶのか。花、メスに、どうたどりつくのか。

正しい見方とはなにか、いろいろな立場からみてごらん。相対的にみてごらんと。

とにかく読みやすい。軽い文体なのに味わい深い。動物行動学というものが認められていない時代の話。東大や京大の違いなどもさらりと。苦労話ではなく、楽しそうに振り返っている。

時代によって見かたも価値観も変わる。
絶対的なものなどない。

なんだかほっとするような、本。
なにかモヤモヤするときに読み返したい。

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2023年11月18日

Posted by ブクログ

感想
人間は何をしてきたのか。自然はいつでもそこにあり微笑む。人間が誕生するその前から。きっと受け入れてくれている。だから恩返しも必要。

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2023年09月05日

Posted by ブクログ

動物行動学者、日高敏隆さんの著書。タイトルが面白そうで買ったが、この方の翻訳された本をよく目にしていたことに驚く。優しい語り口で楽しい本なのに、どう紹介したら良いか分からない。それこそ色んな見方があるんだよ、ということなのかもしれない。

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2022年11月18日

Posted by ブクログ

・科学を志す人には、なぜということしかない。おおいに「なぜ」に取り組めばいい。自分の「なぜ」を大切にあたため続ければいいと思う。
・立つ地面はないということが、物理的な意味でも精神的な意味でもこれからの人間の最大のテーマなのだと思う。

2021.5.18

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2021年05月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「なぜ」を大切に。

動物行動学という、それまでの権威から否定されていた分野。科学とは何か。「なぜ」を問い続けることの大切さ。理屈で詰められると、本当はそうではないことを受け入れてしまう。それほどにすっきりわかることの危険性は大きい。ここらへんは戦中戦後を過ごしてきた人の感覚だな、と思う。なんだかんだ理屈をつけて、それを守らせていく社会だから。

世界は、生物は、そんなに単純なものではない。ひとつの法則だけで説明できるものではない。環世界という考え方。自分の周りの必要な要素だけが「環境」としてそこにある。

だから、見ていこう。「なぜ」と問いながら。

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2020年11月23日

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