【感想・ネタバレ】世界を、こんなふうに見てごらんのレビュー

あらすじ

子供の頃、芋虫と話がしたかった著者。おまえどこにいくの、と話しかけた。芋虫は答えず、葉っぱを食べはじめる。言葉の代わりに見ていて気がつくことで、気持ちがわかると思った。昆虫、猫や犬など動物とおしゃべりするには、観察が一番だとわかった。これが、いきものを見つめる原点。不思議と驚きにみちた世界を「なぜ?」と問い続けた動物行動者がやさしい言葉で綴る自然の魅力発見エッセイ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

自分の考えに自信が無い。自分なりに調べてこうだと意見を持ったとしても、でもこういう見方もある、という思考がいつも頭の中にある。自分の中の意見や思考と、人の意見や思考を照らし合わせることで、より自分の思考を深めたいと思う。言葉になっていないことを言葉にしたいと思う。その一環として、読書をする。私は今、そうして暮らしている。

日髙氏は、以下のように述べている。

「イデオロギーや思想、システムといった大きいところから話をしがちだが、ひとつひとつの具体例の積み重ねでしか環境問題は動かないものだ」(p17)

「イリュージョンを通してしか世界が見えないのであれば、そのイリュージョンというのはいったい何かということを、もっとまじめに考えなくてはいけないと思う。」(p113) 

「神であれ、科学であれ、ひとつのことにしがみついて精神の基盤とすることは、これまでの人類が抱えてきた弱さ、幼さであり、これからはそういう人間精神の基盤をも相対化しないといけないのではないか」(p202)

私はまさにその弱さ、幼さを抱えているなと思った。ひとつのことにしがみついているというよりも、そのしがみつける「何か」を探しているという状態だと思う。

「ひとつ」にしがみつくことは恐ろしいという気持ちがあって、ただ、自分自身の思考にも迷いや不安があるから、「何か」を探しているという感覚。

ある問題について、「正解」があるわけではない問題だと思っていながらも、でも、自分なりの「ポジション」を取らなければ、この社会の恩恵にあやかって生きている以上、「ポジションを取る事」や「考えること」から逃げるのは、楽だけれど大切なことから目を背けているようで、違うなと思っていて。ただ、あまりに向き合うのがきついときはそれを考えることから距離を置く時期もあって。結局、ズルズル考えるばかりで何も行動できていないじゃないかという思いと、できることからやっているじゃないか、できることをやるしかないんだ、という思いと。ごちゃごちゃ。

日髙氏は、自分がどうしたいのかを、きちんと受け止めて、(ご本人曰くいいかげんに)生きていたということか。
2022/12/1

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2022年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「なぜ」を大切に。

動物行動学という、それまでの権威から否定されていた分野。科学とは何か。「なぜ」を問い続けることの大切さ。理屈で詰められると、本当はそうではないことを受け入れてしまう。それほどにすっきりわかることの危険性は大きい。ここらへんは戦中戦後を過ごしてきた人の感覚だな、と思う。なんだかんだ理屈をつけて、それを守らせていく社会だから。

世界は、生物は、そんなに単純なものではない。ひとつの法則だけで説明できるものではない。環世界という考え方。自分の周りの必要な要素だけが「環境」としてそこにある。

だから、見ていこう。「なぜ」と問いながら。

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2020年11月23日

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