日高敏隆のレビュー一覧

  • 生物から見た世界

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    暇と退屈の倫理学の元ネタが載ってる。
    環世界。
    とても面白い視点。普通に生きてると、主観的な視点から全てのものを見てるという根本的なことを忘れがち。だから、相手も自分と同じように周りの世界を認知してると思ってしまうけど、少し引いて考えると全くそんなことはない。一つの客体をたくさんの主体が共有してるという考え方は生きるための方法論としてとても好き。

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    2024年09月18日
  • 生物から見た世界

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    ネタバレ

    現代において思想的に新しいところはないんだけど、どちらかというとこの本によって僕らの常識が変えられた、という言い方の方が正しいんだろうな。

    本書が厳しく批判する「動物機械論」はデカルトに端を発していると思うけど、今からすれば人間原理がすぎるよなぁ。動物をひとつの機構としてしまうなら、人間だって機械として見なせてしまうわけで(だから"魂"という発明が必要だったんだけど)。

    ユクスキュルの引いた高等生物のラインは、刺激などに対して中枢部からの指図(フィードバック)があるかどうかなのかな。「犬が歩くときは、この動物が足を動かすが、ウニが歩くときは、その足がこの動物を動かす」と

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    2024年05月12日
  • 生物から見た世界

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    あらゆる生命は、それぞれの時間軸をもち、その多様な時間軸がたまたま歯車のように噛み合って世界が回っていると思っており、そのイメージからこの本を読み始めた。

    すると、空間も時間も、まず先にあるものだと思っていたが、主体があってから始まるという話がかかれており、新鮮かつ腑に落ちるような話だった。
    また、つい、種族の異なる生き物同士で考えてしまうが、人間同士でも既にそれぞれ持っている時間が違うことが、「なじみ」の道の概念で描かれている。

    「環境世界」と「環世界」の微妙なニュアンスの違いも、著者の気にかけている点の一つ。

    確かに、生物学を知る上で必読書となる1冊だった。

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    2024年03月28日
  • 人間はどういう動物か

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     日本の動物行動学の先駆者のお一人である故:日髙先生のエッセイ的な本。(2008年) 文章が知的でユーモアがあり面白いです。

    3章から成り、表題作(人間とはどういう...)は、第1章だけですが、読み終えると、やはりタイトルをもう一度考え直してしまうから凄いです。

    ドーキンスの「利己的遺伝子」説や、科学(学問)とは「ものの見方が変わる」もの、「共生」とはせめぎ合い…etc.動物から自然、教育や宗教、幽霊、頭の良さなんかにも少しずつ触れています。

    言語がますます新しい概念をつくり、先生のいうイリュージョンや「美学」を生み出し、戦争をする、アンチ•エイジングに狂奔するー「人間」という動物は、果

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    2024年03月06日
  • チョウはなぜ飛ぶか

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    動物行動学の本でありながら、どこかミステリのようなワクワク感を伴う本。解説の舘野鴻さんも言う通り、日高先生を主人公とする物語が、内側に展開していく。そして、謎解きを楽しみにしていると、まさかの結末を迎える。それこそが、生物研究のリアリティなのだろう。また、表題作とエッセイのコントラストも良い。45歳の著者と、75歳を過ぎた著者の視点の違いと変わらないところが、寄り添っているように見えた。虫好きの人は勿論、生物の授業がつまらない人にお勧めしたい。ただし、研究の為とはいえ蝶を殺す描写が非常に多いので、注意。

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    2023年12月17日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    非常にユーモアのある、動物に関する本だ。本書は、動物行動学をつくりあげてノーベル賞を受賞したコンラート・ローレンツ氏によって書かれた。
    もっとも有名でおもしろい例は、鳥類の刷りこみだろう。通常、人間を含むほとんどの哺乳類では、性的な愛の対象は遺伝に刻まれており、しかるべき時になれば適切な対象に気づく。しかし、鳥ではまったく違っている。ヒナのときから1羽だけで育てられ、同じ種類の仲間をまったくみたことのない鳥は、自分がどの種類に属しているかをまったく知らない。すなわち、彼らの社会的衝動も性的な愛情も、彼らのごく幼い、刷りこみ可能な時期をともに過ごした動物に向けられてしまう。ニワトリとともに育てた

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    2023年10月20日
  • 世界を、こんなふうに見てごらん

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    難しい文章ではないので、スラスラ読めましたが、ちゃんと読めていないんだろうなと思いました

    表面の言葉を読む内容の本ではないことはわかりました

    生き物の原点に触れている内容です

    アジアでもアフリカでも、人間が一度自然に手を入れてしまうと完全には元には戻らない

    手付かずの自然なんてないかもしれないと思うと、人間の地球に対する影響力がどれだけなのかを感じました

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    2023年07月06日
  • 世界を、こんなふうに見てごらん

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    学ぶということはどういうことなんだろうと改めて考えさせられた。

    机に向かってペンを握ってノートを取るという学び方も素晴らしいし、自分の興味を持ったことをひたすら追求していく姿勢も、この本の著者も含めて一重に何か追い求める人達は素敵だと思いました。

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    2023年02月04日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    ムツゴロウさんの様な人だったのでしょうか。
    あるいは、実在ドリトル先生でしょうか。

    動物行動学者であり、ノーベル賞受賞者でもあるのですね。

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    2023年01月08日
  • 世界を、こんなふうに見てごらん

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    ネタバレ

    自分の考えに自信が無い。自分なりに調べてこうだと意見を持ったとしても、でもこういう見方もある、という思考がいつも頭の中にある。自分の中の意見や思考と、人の意見や思考を照らし合わせることで、より自分の思考を深めたいと思う。言葉になっていないことを言葉にしたいと思う。その一環として、読書をする。私は今、そうして暮らしている。

    日髙氏は、以下のように述べている。

    「イデオロギーや思想、システムといった大きいところから話をしがちだが、ひとつひとつの具体例の積み重ねでしか環境問題は動かないものだ」(p17)

    「イリュージョンを通してしか世界が見えないのであれば、そのイリュージョンというのはいったい

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    2022年12月01日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    著者と翻訳者、ふたりの動物学者による動物への愛に溢れたユーモラスな二重奏。

    動物行動学の第一人者で、動物の"刷り込み"の研究で知られるコンラート・ローレンツの1949年刊行の名作です。
    動物との微笑ましい交流と、動物の行動に見られる不思議さが描かれます。堅苦しさのない軽やかな文体で、エッセイのように楽しめます。翻訳の日高敏隆先生もまた温和な動物行動学者で平易な文体の方なので、この読みやすさは著者と翻訳者による、ユーモラスな人柄の二重奏によるものかもしれません。

    鳥や魚、犬たちに囲まれて暮らす動物行動学者である著者は、動物にメスを入れたり薬を飲ませたりという実験をせず、そ

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    2023年06月10日
  • 世界を、こんなふうに見てごらん

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    言葉が通じない生き物のことがわかりたい。ひたすら観察し考えてきた日高先生による、とぼけた味の鋭いエッセイ集。かつて『鼻行類』という、鼻で歩行する生物の生態をくわしく述べた真っ赤な嘘本を翻訳出版して、論理的首尾一貫性こそが科学であると信奉するひとたちをまんまと騙したこともあるのだった。
    「人間は、論理が通れば正しいと考えるほどバカである」。くりかえし思い起こしたい名言である。

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    2022年08月18日
  • 世界を、こんなふうに見てごらん

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    いきものとおしゃべりするには、観察するのがいちばんだ。引き込まれる冒頭の1文。
    何故?という疑問と観察から対象を知る。
    虫だけでなく、動物や植物を相手にする人、親、教育者、医療・介護職、様々な人が気づきを得ることのできる内容だと感じた。

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    2022年07月24日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    読書会、面白いです。

    読書会に参加したことが無い、という方が大半だと思うので、すぐ共感してもらえるとは思わないのですが、少なくとも私にとっては10年近く続けている習慣になっています。
    テーマの本を1冊決める。参加者みんなでそれを読む。決めた日にカフェに集まる、そして意見を言い合う。

    これだけ。発表者がいるわけではなく、資料を用意する必要もありません。(ノートを取ってくる時はありますけれど)本を読むという行為が、「5月8日にいっしょに意見をシェアする」と約束するだけで、いかに充実した行為になるか。お近くで催しがあれば、ぜひ参加してほしい企画です。

    そんな読書会で、昨日とても良い本に出会いま

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    2022年05月09日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    動物に関する深い愛情と畏敬の心、そして探究心が紡ぐ動物論文。髄分古い著作だが、今見ても新しさを感じる。
    今から動物を飼おうとする人、今も飼っている人はもちろん読むべき本だと考えるが、動物に興味のない人でもとても楽しく読めます。
    この本を読みながら無性に動物を飼いたくなって来たところタイミングよく「8章何を飼ったらいいか」の章に至り嬉しくなりました。著者かおすすめのアクアリウムかゴールデンハムスターを検討してみたい。各章とも興味深く、何れも作者が動物と過ごす中での実験と経験に基づいており、楽しげではあるが相当に動物への愛情がなければこの苦労は背負えないな、とも感じる。印象深いのはコクマルガラスを

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    2022年04月10日
  • 世界を、こんなふうに見てごらん

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    モンシロチョウは紫外線の夢を見るか?

    動物行動学者・日高敏隆先生による、動物行動学と自身の経験から得た「世界の見つめ方」を説いた本です。とても読みやすいエッセイ形式であり、最後には講演が収録されています。

    著者の日高先生は動物行動学者ですが、著作にふれるたびに科学者的ではなくてエッセイスト的だなあとつくづく感じます。学術的でなく文芸的な表現です。

    学会みたいな肩肘張った場所から離れた、軽やかで柔らかな日高さんの姿勢に憧れます。日高さんは科学的な理屈の世界に埋没せず、子どもの頃のシンプルな「なぜ?」を大事にし、そのせいで権威的で格式を重んじるような場所では異端だったことでしょう。しかし、だ

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    2022年03月31日
  • ソロモンの指環 動物行動学入門

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    ネタバレ

    犬の賢さすごい
    動物がなつくことの微笑ましさと感動
    どういう生き物を飼育したらいいか習性を元に書かれていて参考になる
    作者のあくなき探究心

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    2022年01月26日
  • 世界を、こんなふうに見てごらん

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     "人間は理屈にしたがってものを考えるので、理屈が通ると実証できなくても信じてしまう"という筆者の考えが印象に残った。
     科学の世界において、上記のようなものの見方をすることが果たして可能かということについて、著者は『鼻行類』を例に説明をしてくれる。   

     科学の世界ではこの著者の意見に対してどのように考えるのかは僕にはわからないが、生活の中にある理屈や不安に対して、いろんな視点から物事をみることを後押ししてくれるやさしい本でした。

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    2021年12月29日
  • 動物の言い分 人間の言い分

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    ■印象に残った言葉
    飛ぶために内臓をできるだけ軽くコンパクトにすることに熱中している鳥の場合とは違って、蛇では身体をできるだけ細く長くすることにすべての関心が向けられていることがよく分かった。

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    2021年10月10日
  • 世界を、こんなふうに見てごらん

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    再読。
    何度も何度も読みたい一冊。
    読む度に、見える景色が変わるような気がする。
    これもイリュージョン?
    出逢えてよかった本。
    また近いうちに読みたい。

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    2021年09月25日