竹内久美子のレビュー一覧
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おもしろかった。
第1章「実はキビしい!社会の掟」
第2章「おかしな性行動」
第3章「悪魔の卵・生存競争」
第4章「恐怖の操りと寄生」
各章ごとに8~21の話題を各々数ページで紹介していて、気軽に読めて楽しいです。豊富なイラストはもじゃクッキーが描いています。
著者の著作は全部読んでるし、リチャードドーキンスの初期の主著も「祖先の物語」まで読んで、たいがいの話題は「知ってるはず」と思っていましたが、最新研究成果も盛り込んだ本書で、僕にとって「初耳」もありました。
例えば、ハダカデバネズミの長寿命(第1章の「恭順のポーズ」と糞尿で部下を従わせる)小さい動物ほど鼓動が早く、鼓動に比例して寿命がだいたい決まる。というのが定説だと認識していましたが、そうではなかった。
三つの婚姻形態が循環しながら永続性を維持している社会があるカエル(第2章の「ジャンケン戦略でメスを奪い合う」)
シマウマのシマシマが何の役に立っているのかが判った(第4章の「恐怖の吸血バエをさけるシマを持つ)
など。
豊富な話題で、生物の競争社会が理解できる内容になっていると思います。
世知辛い人の世も、野生生物の社会も、どちらもキビしいのだな、と思いました。
逆に人の世に生きていると、時々人を丁寧に対等な関係として扱ってる大人や、全体最適を考えて交渉の場でも共通の利益を模索する議論をする人と一緒に仕事をすることがあり、タイヘン気持ちが良いのが人の社会に生きているメリットだ、と思い直しました。
ちなみに、リチャード・ドーキンスの場合は「だから、教育が大切なのだ。」と人間に限らず厳しい競争社会が観察される野生動物の生態を紹介してコメントしていたのが記憶にあります。
また、残酷な寄生生物の生態については「残酷なのではなく、無関心なのだろう。」と、なるべく死なない部位から食べていく幼虫などの生態を考察していたのもなるほど、と思いました。
教訓を読み取る、と言うよりは、固定観念や、自分の倫理観に囚われずに、観察し、その目的(何が、どう適応的なのか)を考える訓練になったように思います。 -
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■性行動について男性同性愛者は男性異性愛者と同じ傾向にある,どころか超男性とでもいうべき特徴を持っている。一方で女性同性愛者は女性異性愛者と同じ傾向にある。
・男性同性愛者が数打ちゃ当たる方式であるのに対し,女性同性愛者は慎重に相手選びをしている
・同性愛にしろ異性愛にしろ,それぞれの性に特徴的な行動パターンを示している
■カンペリオ=キアーニらの研究によれば,男性同性愛者には父方よりも母方に男性同性愛者が多い。
・男性同性愛者の母方,父方の血縁者に男性同性愛者が存在するケースは,母方:22/396,父方:12/593
・一方,男性異性愛者の母方,父方に男性同性愛者が存在するケースは,母方:0/370,父方:8/604
■兄弟についてはさらにまた従来の研究結果と同じで男性同性愛者には男の兄弟が多いことが分かった。
・異性愛者の兄弟:男57,女57
・同性愛者の兄弟:男69,女45
■兄弟については出生順についても男性同性愛者は後ろの方であることが多く,兄が多い傾向にあった。
■この研究の最大の山場は血縁者の繁殖状況である。
・男性同性愛者の母方の血縁者が男性異性愛者の母方の血縁者よりも子を多くなしている
・両集団の血力についてはこのような相違点は見られない
・さらにその違いは母方の女の血縁者,それも母と母方の叔母とで特に現れる
・男性同性愛者の母と母方の叔母が男性異性愛者の母と母方の叔母よりも,よく子をなしている
・これが男性同性愛遺伝子が消え去らない最大の理由と考えられる。男性同性愛遺伝子が母方の女に良く子を産ませる働きをするので男性同性愛遺伝子が間接的にのよく残ってくる
■女の繁殖力を高める遺伝子があったとする。それが男に乗った場合,彼を同性愛者にする確率を高め子を残すうえで不利にするが,それは彼の母方の女における大いなる繁殖によって十分に相殺されその遺伝子が残ってきている。そしてこの女の繁殖力を高める遺伝子こそが男性同性愛遺伝子の正体である。 -
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ネタバレすごく面白い本だった。
竹内さんが疑問を抱いているように、私も佐藤さんみたいな知性を持った人がキリスト教徒なのか不思議だった。
その点については、やっぱり分からなかったけど、(人の信仰は、理解できないものなのかも)「最初の一撃」という考え方が教養のない私にも分かりやすくて、なるほど!と思った。
後半の竹内さんの動物行動学の話も興味深かったし、読んでよかった。
「『聖書』には、到底できないことを基準として掲げることによって、全員がそれを守れない罪びとであることを認識させる。 」「神が人間をつくったんじゃなくて、人間が神をつくった」とまで言うのに、それでも信仰の揺るがない佐藤さんはすごいな。
表紙のイラストが可愛すぎる! -
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トラウマからの帰還 140611
一度依存・搾取・支配と言う甘い汁をおぼえると
それがどれほど致命的な危険だと気付いても
抜け出すことは非常に難しい
いざその危険で孤独で住みにくいにも関わらず
甘い汁を無くす危険が迫ると
パニックを起こすというトラウマにはまる
これは麻薬におかされた状態と同じである
つまりほかの物理的な危険におかされるという
更なる危険を通り抜けるか
同じ追体験をリアルにスローモーションによって
咀嚼し直すことで頭だけでなく無意味だという体感を
心でする狭き門を通る以外に抜け出す方法がない
この経験によってのみ無菌状態に戻ることができる
この世というパラドックス体感を得る冒険の旅は
この追体験によって自分という存在が部分性と全体性の
両面を持っていることを納得する場のなのである
まさしく考えられない程に馬鹿げて理不尽な
物的痛みの状態を往復することで自らの肉体と意識を使い
理解と納得を得る場なのである -
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読書録「パラサイト日本人論」5
著者 竹内久美子
出版 文藝春秋
P170より引用
“そのために宿主には、ぜひとも元気で長生きをして欲しい。子
孫も増やして欲しい。逆説的に聞こえるかもしれないが、それが
彼ら本来の願いである。”
目次から抜粋引用
“二つのルーツを持つ日本人
男と女のパラサイト
日本人の死生観
ウイルスが作った日本のこころ”
動物行動学者である著者による、日本人の気質の形成について
記された一冊。
猫の尻尾の形の違いと分布についてから成人T細胞白血病ウイル
スと人間の関係についてまで、歴史背景やデータを元に記されて
います。
上記の引用は、ウイルスや他の病原体の繁殖戦略について書か
れた項での一文。自分が利益を得たいのならば、周囲と上手く折
り合いをつけなければいけないというのが、ウイルスなどのレベ
ルの大きさの存在からくるものとは…。闘う相手を全て滅ぼすよ
うな方法は、双方に不利益をもたらすのかも知れませんね。
極端に対処せずに、少しずつ関係を調整し共に生きる事の大切
さがよく分かる一冊です。
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リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子(原題:『The Selfish Gene(セルフィッシュ・ジーン)』)」を中心に、生物の行動の不思議を解釈する。
柳田邦男の『犠牲(サクリファイス)―わが息子・脳死の11日 』に出てきた話題”遺伝子死”のところで、利己的な遺伝子(セルフィッシュ・ジーン)について述べてあり、気になっていた。
竹内氏の解説はコミカルではあるものの、生物の行動の意味や、生殖のあり方、文化などを利己的な遺伝子の視点から、”こう考えると都合良く納得できる”よう、やや冷徹な面もある。
『生物とはいったい何なのか。 生物は遺伝子が自らのコピーを増やすために作った生存機械にすぎない』
アリが戦う姿、母親が子どもを愛するために取る自己犠牲の行動、クジャクの雄の美しさの意味など...遺伝子の思うがままになっていると思うと、やや恐ろしくも感じるし、行動が遺伝子にコントロールされていると思うと、虚無感も感じる。
遺伝とのアナロージーが考えられている”文化”。
R・ドーキンスが提唱した”ミーム”・・・遺伝的伝達単位を遺伝子と呼ぶのに対し、文化的伝達単位をミーム”と呼ぶ。
人間は、遺伝子とミームという二種類の自己複製子の乗り物(ヴィークル)であるという観点で、さまざま語られていて、面白かった。
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【内容(「BOOK」データベースより)】
嫁と姑はなぜ憎み合わねばならないのか?魅力的で性格もいい男がどうして浮気だけはおさまらないのか?そもそも賢いはずの人間がときとしてアホなことをしでかすのはなぜなのか?この深遠なる人間行動の謎に「利己的遺伝子」という考え方から迫る“天才”竹内久美子の最高傑作。新たに「美人論」を付す。
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【目次】
プロローグ
第1章 すべては遺伝子から始まった
・二人のキョウダイか八人のイトコ ~J・B・S・ホールデン
・働きバチはなぜ子を産まないのか? ~W・D・ハミルトン
・完全無欠のスーパースター ~R・ドーキンス
・自由な魂の遍歴 ~F・クリック
第2章 我々は乗り物である
・遺伝子が行動を支配する ~『衛生的』なミツバチ
・意地悪の実力のうち ~忙しいアオアズマヤドリ
・黒幕は誰だ!? ~土と唾液の建築家・シロアリ
・ミームという名の曲者 ~ニホンザルのイモ洗い文化
・個体の幸福は遺伝子の不幸 ~妊娠をめぐる戦い
第3章 利己的遺伝子の陰謀を暴く
・子どもは恐い ~ゼンソクで操作する
・ゲームの理論 ~タカ派とハト派
・自分の姿に気がつかない ~鬼の嫁姑戦争
・男の分類学 ~繁殖戦略としての離婚
・誰のための“しつけ”か ~親とても乗り物
・出生率は低下しない ~福祉のおとし穴
第4章 利己的遺伝子のさらなる陰謀
・アリの戦争と平和 ~ミツツボアリの竹馬歩行
・チンパンジーの仁義なき戦い ~タンザニアのヤマグチ組
・遺伝子が神をつくった ~血縁を超えたリーダー
・知らないあいだに武闘訓練 ~「鬼畜」のミーム
エピローグ
解説(柴門ふみ)
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ネタバレ目からウロコの面白さ。
最近社会では子供の虐待や殺人が問題になっているけれど、動物の世界ではよくある話なのだそう。
パンダは大概2頭の子供を出産し、大きい方だけ育ててもう一匹は育児放棄するらしい。
今動物園で何頭も育っているのは、飼育員さんが、子供をすり替えて上手く親パンダをだましているらしい。
どうも母乳の量だ足りなくなるのを見越しての行動ではないかという。
継子殺しもよくある話。
動物の行動を人間にあてはめればなんとなく理解出来る所は多い。
もちろん動物と人間は違うけれど。
一番興味深かったのは中国、四川省と雲南省の境にある高地に住むモソ人の結婚形態の話。
モソ人は少し変わった母系の家族形態をとる。
男女は年頃になると「走婚」といって、男が女のもとに通う。
そのうちお披露目して公式カップルにはなるのだが、男が婿として同居はしないのだそう。
ここが普通の母系家族と異なるところ。
男はずっと実家に留まり、姉や妹の生んだ子供の世話をする。
同居家族は血縁だけで構成される。
例えば一人子供が居たとして、その子の同居家族は大おじさん、おばあさん、お母さん、おじさん、おばさん、いとこ達・・ということになる。
こうなると日本社会で問題となっている事は起きにくい。
女も男も舅、姑とは同居しないのでその手のもめ事はナシ。
女の生んだ子供は父親が誰でも一族には変わりないので、大事に育てられる。
よって虐待も起きにくい。
不倫も不倫ではないかも。
「なんだか最近こなくなったわねー、他所の女の所行ってるのかなー。」
という感じか。
男は妻子を養わなくてもいいので、経済力がなくても結婚は出来るが、ルックスや性格、才能でアピール出来ないとダメなので、それはそれで結構厳しいかも。(笑)
ずっと二人で暮らしたくなったら家を出たりするのかな?
もし上手くいかなくて別れても実家には帰りやすいだろうねぇ。
この結婚形態、案外いいかも。 -
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「母親スイッチ」なんてない。そんなものは、たぶん誰かの(当事者じゃないだれか)の願望なのだ。
にも関わらず、それが実在していると信じられてしまっているために、「理想の母親」を演じられずに苦しむ女性のなんと多いことか。
少子化を憂いつつも、若年出産や未婚の母を蔑視し、差別する。一家の苗字がバラバラなだけで家庭が崩壊すると心配する。
「よりよく育てられない」という予測が出た時点で、次へ進むのは、動物としてはなんら間違っていないやり方なのだが、人間世界ではそれが通用しない。
「動物の愛情あふれる子育てを見習え」という人は、動物のシビアな選択もまた受け入れなければならないだろう。動物の生態のイイトコどりだけするのは虫が良すぎる。
人間もまた動物の一種である、という謙虚さを思い出したほうがいいよなあと思った。
「虐待行為」のみに焦点を当てて、行為者を非難したり糾弾したりしても、問題はなんら解決しない。人間なら「理性的」に判断すべきじゃないのか。
よけいな知恵や文化が発達したせいで人間は苦労しているようにしか思えない。
もっと動物行動学が広く知られればいいのにといつも思う。 -
Posted by ブクログ
前の職場を去る時、餞別でいただいた本
ずっと積読していたが
文句なく、面白い!
「人間が子供が欲しくなるのは、利己的遺伝子が乗っている乗り物を早めに新しく活きの良いのにしておきたいから」
「親が子をしかるのは子に嫌われて自立を早く促すため、そうすれば節約できた資源を下の子供に使える」
「子を産みたくない、仕事が生きがい、特殊能力を持つ女性に”無理に”子供を産ませるのではなく、彼女の血縁者にもっと繁殖機会を与えるべき(一夫多妻)」
「姑が嫁をいびるのは、息子の遺伝子をもった子供をつれて嫁が出て行って欲しいから、そういう子供が増えていけば自分の遺伝子が増える!」