高井研のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
内容も、読み物としても、すごく面白かった。
これを読むと、生命の発生って意外とハードルは高くないのかもしれないという気がしてくる。
ただ、僕らが思っている「生命」よりも少し概念を広げたほうがいいのかもしれない。
初期生命というのは、ほとんど化学物質の代謝のことなんだなぁということや、
そのとき(40億年前)の岩石や海水の成分がとても重要なんだということなど、
視野が広がった気がする。
それにしても、単なる化学物質の代謝活動がこうも複雑な人間という生き物につながっていくとは。
生命の複雑にも興味があるが、その上に乗っかっている「人間活動」の複雑さにも興味がある。
これは社会や文学の領域。
けど、その人間を追求していくと、どうしても生命ということも避けられない。
どうして生まれたのか。
人生とは何か。
生命とは何か。
我々が生きている宇宙ってどうなってるのか。
性とは何か。
死とは何か。
人生とは何か。。。
ループ宇宙を今日も漂っている。 -
Posted by ブクログ
偉大な研究者は偉大な教育者でもあって欲しい、という願いが届いたような本。とにかく熱い。というか浮かれ加減がすごいのだ。杉田玄白の『蘭学事始』のような雰囲気がある。
・地球の誕生・46億年前→生命の誕生40億年前→光合成生命の誕生35億年前→光合成生物が地球の表層に進出30億年前
・有人潜水艇を所有、運行しているのは、米仏露日のみ。
・岩石と水の化学反応は地球だけの特別な現象ではない。
・深海底熱水活動域の周辺に、きわめて豊かな微生物生態系が形成されていた。
・特に、水素と二酸化炭素からメタンを作り出す好熱性メタン生成と硫酸還元。
・「生命が生命だけで存在することはあり得ない。生命を取り囲み、生命を含んだ環境のあり方やその中のエネルギーとか物質の流れがむしろ重要」
・火星では地球の進化と似たプロセスがすべて地球より早く進行したという仮説。
・模擬隕石実験でアンモニア生成。
・地球生命が深海熱水環境で生まれた可能性は一番高い。
・RNAだけのシステムが存在しなければ行けない理由はない。
・化学進化は必ずしも熱水環境だけで起きたわけではないが、宇宙で起きた化学進化も、隕石衝突で起きた化学進化も、地殻の中で熟成する化学進化も、熱水環境で集約された可能性が高い。
・光合成によるエネルギー革命の前に、呼吸に近い形でのエネルギー革命があったはず。
・それは水素を使うエネルギー代謝か、メタン生成か硫黄還元か鉄還元。 -
Posted by ブクログ
地球上で生命がどうやって発生したのか?という疑問に対して、最新の仮説=“ウルトラエッチキューブリンケージ"仮説を使って説明する話。最終章でその仮説がサマリされているが、「深海の熱水活動によって有機化合物が化学進化し、やがてエネルギー代謝する生命が誕生する」って説明は、「生命は宇宙から来た(=パンスペルミア説)」みたいな説明よりずっと説得力があるように思えた。
個人的に残念な点は、エネルギー代謝する有機化合物の誕生を“生命の発生"としているように読めてしまい、「自己複製はどうなった??」という疑問が残ったところ。第三章で生命の定義として挙げていたので、その部分は満たして欲しかった。 -
Posted by ブクログ
極限環境(深海とか地殻内)の生物が専門の著者が,すんごくくだけた文体で,生命誕生の謎に迫る。
子供のころ,NHKで「地球大紀行」という番組に熱中したのを思い出す。「地球大紀行」でも生命の起源が描かれていたが,今はだいぶ研究も進んでいるみたい。まずは45.7億年前に太陽系ができ,0.3億年程度で今ぐらいの大きさの原始地球が誕生。45.3億年前には巨大な微惑星が激突して一部が飛び出し月になった(ジャイアントインパクト説)。
出来立ての月は,いまよりずっと地球の近くにあって,随分とでっかく見えたらしい(見た人はいないが…)。それが潮汐力によってエネルギーを失いだんだん遠くになった。ていうか,今も徐々に遠ざかりつつある。
原始地球はマグマオーシャンに覆われていて,液体の水はなかった。次第に地表が冷えて水蒸気が水になり海を作る。「地球大紀行」でもやってた。でも,その時期は,最近ではだいぶ早かったと考えられているらしい。最速44億年前という。海がなくては生命は始まらない。でもその頃はまだ隕石重爆撃期と考えられており,せっかくできた海も直径100kmクラスの隕石衝突で蒸発してしまったりした。過酷な環境だな…。でもとにかく42~39億年前ころには重爆撃はおさまって,化学進化から生命が誕生し,今に至る進化につながったと見られる。
そのころはちょうど最古の岩石が残る時代で,地質学で言う冥王代と太古代の境。今知られている地球最古の岩石は,カナダ北部のアカスタ片麻岩で,40億年前という。さすが大陸の岩石は古い。日本なんかせいぜい4億年…。
最古の生命は,深海熱水活動域で誕生した。呼吸や光合成といった高級な代謝はまだないが,有機物を発酵する生命はいただろう。しかし有機物が枯渇するとそれらは死滅。生きながらえたのは,水素と二酸化炭素をエネルギー源とするメタン生成エネルギー代謝を有する超好熱性の生命だった。
著者たちは,このようなメタン生成超好熱菌は,現代の深海熱水活動域にもいるはずだという仮説をたてた(ハイパースライム仮説)。でそれをいろいろと探すと,日本近辺にはなく,インド洋の「かいれいフィールド」で見つかった。水素濃度が高いことが必要だったらしい。でなんで水素濃度が違うのかと言うと,鍵は太古の地表には多く存在した「コマチアイト」という岩石だという。これが熱水と反応すれば水素ができるはず。「かいれいフィールド」にはコマチアイトがあるに違いない。
調査の結果,「かいれいフィールド」にはコマチアイトに似た成分の岩石が存在することがわかった。また,著者らは,実験によって熱水とコマチアイトの反応で,実際に水素が生成されることも示したそうだ。まだ著者たちの説が定説になったわけではないのだろうけど,いろいろと調査・研究がされていて,興味深い。しんかい6500で潜って調査したりもするらしいが,ああいうのって近くで大地震が起こった時は安全なのかな?とふと考えてしまった。 -
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最近よく聴くポッドキャストで紹介されていた本。こんどお会いすることになっている学者センセイの頭の中の深いところを探るのに役立つかと思って読んだ。
やはり興味深く読んだのは、このところどっぷり浸かっている鳥類関係のはなし。川上先生は軽妙な語り口で、キャッチーな論文を紹介してくれた。恐竜学者の小林先生の項では、鳥類の祖先が恐竜だったことが学会の主流になったのは
1998年の論文発表からだった、と知った。1985年生まれの私は、子どもの頃から始祖鳥の存在は知っていたが、それが鳥と恐竜とを繋ぐ存在だという認識は薄く、あくまで鳥の祖先だ、という理解だったのだが、それが当時はふつうの解釈だったようだと再認識。
恐竜、土、岩石、老化…。知っていたことよりも知らなかったことが多かったし、自分が生きている間に分かったことも多いな、いうのが率直な感想。世界はまだまだわからないことで溢れていて、それを知ろうとする面白い人がたくさんいる、ということが伝わる本。 -
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AIに聞いたところ、オタクとは、アニメ、漫画、ゲーム、アイドルなど特定の趣味分野に強烈なこだわりを持ち、時間や金銭を極端に費やして深い知識や情熱を持つ人を指すらしい。趣味、ではないが特定の分野に強烈なこだわりを持つ面では研究者もオタク気質なのだろう。オタク達が自分の推しを語る際の勢いは凄まじい。5W1Hを駆使して推しの尊さを押し出してくる。多分、相手に伝えたいのではない、語りながら自分の中で推しの尊さを整理している。この本に登場する研究者達もそんなオタク達だ。自分の愛する分野での推し論文をピックし、尊さを語っている。研究分野も、文章から覗く著者の性格も、どれも多様だけど、愛する論文のために筆を走らせる事が苦ではない様子は共通している、というかみんな紙面が足りなさそうだった。
自分の愛する分野を見つけ、その分野への愛を深める事によって生活できるとは、なんとも幸せな仕事なんだろうなぁと感じました。 -
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これからはアストロバイオロジーの時代。生命の本質が明らかになっていない部分がある以上、現在のバイオロジーは地球生物学で、まだ本当の意味でのバイオロジーにはなっていない。
地球外生命はいないだろうではなく、いたとしても文明が短かったり、宇宙は広いためある程度予測して探査しなければならず我々が見つけられていないだけという可能性もあり、出会える確立は低いということだが、宇宙を調べれば地球外生命が存在するかもしれない、もしくは生命の起源や進化の解明に近づけるかもしれない可能性を秘めている。
アストロバイオロジーが発展し研究が進むことで、新たに分かることも出てくるだろう。アストロバイオロジーの今後の最新の情報に注目したい。 -
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2人の意見は常に平行線で、お互いの批判を受け入れて第3の意見が出てくることはない。最初はもどかしく、不毛な議論に見えた。でも、それだけの印象に終わらせるのはもったいない。
意見が合わないことを前提として読むと、いろんなトピックが、お互いに補完しながら説明されていて、わかりやすく、おもしろかった。
「生命は地球産の材料でできてるらしい」という事実ベースの話をした後で、「宇宙起源の有機物が生命誕生に大きな役割を果たした可能性は大いにある」と主張するところが面白かった。
わりとロマンチスト。宇宙由来のなにかで生命が誕生したのでは、という素朴な疑問。事実から導き出される話だけでなく、素朴な感覚を持ち続けてるみたい。